テレワーク環境を整える防音対策アイテム
家の中の生活音や、家族の話し声などが気になってしまい、仕事に集中できない。コンプライアンスの観点から、Web会議中の話し声を聞かれたくない……。テレワークが普及したことで、テレワーク中の音の問題に悩む人が増えています。
防音工事をせず、手軽にテレワーク環境を整えたいなら、吸音パネルなど、市販の防音対策アイテムを使ってみてはいかがでしょうか。なお、防音対策アイテムを選ぶときは、パーティションよりボックス型のブースのほうが、空気がより遮断されるので、防音効果が高まるそうです。
「折りたたみ式のつい立てで、机のまわりを囲うパーティションタイプのものは、少しは音をカットしてくれますが、上からの音までは防げません。そのため、防音素材でできたBOXを机の上に置き、これに顔を入れ込むようにして使うボックス型のブースや、電話ボックスのように完全に囲ってしまうタイプのもの、突っ張り棒で天井近くまで壁でふさいで固定してしまうタイプのものを選ぶことをおすすめします」
防音ボックスを楽器の練習室に!
家のなかでピアノを演奏したり、大音量でホームシアターを楽しんだりしたい場合、第2回でご紹介した防音工事では対処できません。この場合は、建物全体の防音性を高めるよりも、専用の防音室を設けるほうが効率的です。
防音室を設けるには、一部屋を防音室としてリフォーム工事する方法以外に、市販の防音ボックスを設置する方法があるといいます。
「防音ボックスを設置すると部屋は、より狭くなりますが、部屋を防音リフォームするよりも壊す工事や手間を抑えられ、決められた防音性能を確保できる点が魅力的です。防音工事は設計や工事方法の優劣によって、思っていた防音効果が得られないことがあるからです。一方、防音ボックスならどのくらいの防音性能が得られるかが、あらかじめ測定されて造られているので、想定通りの防音効果を得ることができます。
よりコストをおさえたいなら、新品ではなく中古の防音ボックスは半額程度で購入できるので検討するといいでしょう。いずれを選んでも換気扇やエアコンも設置できるようになっています」
防音ボックスにもさまざまな種類があり、サイズや防音性能も選ぶことができます。家のなかで楽器やホームシアターを楽しみたいという方は、一度音楽ボックスの設置を検討してみてはいかがでしょうか。
トラックの振動音は防音工事だけでは防げない
屋外の騒音対策では、近隣の生活音や自動車の走行音であれば、第2回でご紹介した防音工事である程度対処できます。しかし、「トラックが通ると家が揺れる」などという場合、振動音を低減するには大がかりな工事が必要になります。
「大型トラックが通るたびに音と振動が来る場合、空気伝播音は通常の防音工事で低減することができます。ただし、地面を伝わってくる振動による固体伝搬音は、地盤の振動を伴っているため、防音工事だけでは対処できません。
トラックが通るたびに家が揺れるのは、地盤が弱いからです。そのため、まずは敷地と道路の間にある地盤の縁を切り、振動が自分の敷地に伝わってこないようにする必要があります。さらに、地盤が弱いことが多いため、地盤を固めてしまう方法を取れればさらに良いです。また、家屋の耐震補強をして建物自体の揺れを少なくし、振動や音を防ぐことも必要となります。ここまですれば、トラックの振動音は気にならなくなるでしょう。
大がかりな工事になりますが、トラックの走行による振動に対処するには、建物だけでなく地盤を伴うリフォームの検討が必要になります」
自身が出す生活音の抑え方
外部の騒音だけでなく、子どもが走り回る音や家電の音などで近所に迷惑をかけないか心配されている方も多いでしょう。清水さんによると、新築の場合には、事前の設計指示によってかなり抑えられますが、既存の住宅で「固体伝搬音」を簡易に防ぐには、以下の方法がおすすめだそうです。
「椅子を引く音や、子どもが走り回る音が気になるなら、椅子の脚にフェルトやカバーをつけたり、フローリング床にタイルカーペットなどを敷いたりすることで、階下へ音が響くのを緩和することができます。さらに吸音効果を高めたいなら、床材を防音カーペットや防音フローリングに張り替えるといいですよ。
洗濯機やエアコンの室外機など、家電の音が気になるなら、洗濯機やエアコンの脚に防振ゴムを敷いてあげましょう。家電の振動を弱めれば、床から固体音が広がるのを防ぐことができます」
近年は、エコキュートによる騒音が問題になるケースも増えているそうです。
「エコキュートの音は決して大きくありません。ただし、低周波音のため、隣家の寝室の近くにあると、人によってはうるさくて寝られないといった騒音トラブルにつながります。隣家の寝室との距離が近い場合は、設置場所を変えるか、遮蔽ブロックや塀を建てて音をできるだけ遮断する必要があります」
自らが快適に暮らすだけでなく、近隣への気配りとしても、改めて「住まいが発する音」についてチェックしてみてはいかがでしょうか。
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