外壁ビューティで家を長持ち [第2回]

サイディング外壁材の種類とメンテナンス周期

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外壁材の主流は「窯業系サイディング」

 近年、住宅の外壁材の主流は「サイディング」になりました。耐用年数が長く、工期を短く工費を安く抑えられ、豊富なデザインが揃うなどの理由で人気があり、広く普及しています。サイディングには、窯業系、金属系、木材系、樹脂系の4種類があります。

 なかでも窯業系のサイディングが一般的で、サイディング外壁の戸建て住宅の実に7~8割を占めているのがこの素材です。セメントや繊維質などを原料とした板状の外壁材で、製造過程において窯(かま)の中で高熱処理されるため、窯業系と呼ばれています。耐火性に優れ、4種の中で最もコストが低く、素材やカラーなどデザインも豊富です。

窯業系サイディングは素材やカラーなどデザインも豊富。同じ系統の色でも濃淡、光沢の度合いなど豊富なカラーから選べる。塗り替えに際しては、新しいカラーにすれば気分も変わる。

「外観の特徴として、外壁につなぎ目がありシーリング材で埋められています。規格品ですので、縦張りなら高さ約3mのところに水平方向のシーリングのつなぎ目が、横梁なら垂直方向につながりが確認できるはずです」

 こう教えてくれたのは、高気密住宅から小さなリフォームまでを幅広く手掛ける吉田工務店社長の吉田誠治さんです。

 ただ、耐久性に優れるサイディングにあっても維持管理は必要。第1回でもお伝えした通り、外壁表面の塗装は劣化しますので再塗装が必要です。また、防水維持の面でも、つなぎ目のシーリング補修をしなければなりません。家が建っている場所の条件によっても異なりますが、7~15年周期でメンテナンスを行えば、20~40年ほど耐用します。

「クラック(ひび割れ)が起こりやすく防水性に難があり、ケースによっては防水塗料を塗らなくてはならないモルタルの外壁に比べれば、格段に手間いらずの素材といえるでしょう」。

 またLIXILのグループ会社の旭トステム外装では、窯業系サイディング(AT-WALL)のシリーズが多彩にラインナップしています。

注目の金属系サイディング

リフォーム時に、外壁、屋根ともに剥がさず外側に貼り付ける時短工法も人気。

 最近、増えてきているのが金属系サイディングです。軽量なガルバリウムを使用したものが主流で、さびにくい上に断熱材付きのものもあり、遮音性にも優れています。軽量なので建物負担をかけないので、耐震性にも効果が期待できます。ガルバリウムの特性を生かす施工法が確立され、夏熱く冬寒いというイメージがあるトタンや亜鉛鋼の外壁材とは大きく異なります。塗装などのメンテナンス周期は10~15年で、耐用年数は20~40年です。

 また金属系サイディングは、古いモルタル外壁の住宅リフォーム時に、外壁を剥がさず覆うように外側に貼り付けられることから工期が短く済むため、人気が高まっています。

 LIXILには金属系サイディング(Danサイディング)のシリーズの取り扱いもあります。

個性的な外観を求めるなら

 風合いや温もりのあるデザインが魅力的なのが木材系のサイディング。断熱性の高さも特徴です。木材といえば耐火性に難があると思われるかもしれませんが、最近では難燃性のタイプも登場しています。杉の表面を焼いて加工した外壁は、地方の古民家で見かけることがありますが、木材サイディングの中には。焼杉材のようにクラシカルな外観にすることもできます。ただ、汚れやすく外観の美しさを維持管理するには3~10年周期のメンテナンスが必要で、コストがかかるという面も。

 樹脂系のサイディングは冷害に強く北米では主流となっており、国内でも寒冷地では採用されることもありますが、種類が少なく希望のデザインを選びにくいため、普及には至っていません。塗装が不要で耐用年数は最大50年とサイディングの中で最も長く、メンテナンス周期は10~30年と維持管理の手間もあまりありません。

 サイディングの寿命

種類 耐用年数 メンテナンス周期
窯業系サイディング 20〜40年 7~15年
金属系サイディング 20〜40年 10~15年
木質系サイディング 15〜40年 3~10年
樹脂系サイディング 20〜50年 10~30年

種類によって特徴はそれぞれ。メンテナンス周期と耐用年数も異なる。

「家が置かれている環境にも左右しますが、塗料の劣化による再塗装や防水修理、一部張替えといった適切なメンテナンスを周期的に行えば、耐用年数は伸びます。汚れやカビ、割れたり剥がれたりといった外見上の見栄えの問題だけでなく、雨漏りなどトラブルが起きた場合には、張り替えや別の素材で外壁を覆う処理が必要になります」

 サイディングは種類によって特徴が異なりますが、メンテナスさえしていれば、カタログ通りの耐用年数は維持できると考えられます。紫外線や熱、温度変化、北国の場合なら雪害や凍害など、外壁のダメージは自然環境による違いもあります。新築や張り替えの際には、工務店や設計士とよく相談しながら、最適な外壁を選びましょう。第3回では、日頃のお手入れで注意すべきポイントをご紹介します。

≪お話を伺った方≫

吉田誠治さん

1964年生まれ。工務店で4年間の大工修行の後、父親が経営する吉田工務店に入社、建築の現場でもまれながら建築士の資格も取得し、2011年に二代目社長に就任。外壁リフォームはもちろん、高気密住宅の施工から小さなリフォームまで幅広く手掛けている。設計士の視線と現場の状況を柔軟に折り合わせ、施主の要望に応える。
http://yoshidakoumuten.sakura.ne.jp/

文◎三星雅人
写真◎平野晋子 Shutterstock

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