「脱衣所に除湿機を置いて干す」のが賢い干し方
「3本の突っ張り棒」と「除湿機」が、矢野さんのおすすめする部屋干しセット。
そもそも矢野さんは梅雨時でなくても、オールシーズン室内で干している「部屋干し派」だといいます。
「天候や時間に左右されず、洗いたい時に洗って干せるし、花粉や黄砂、PM2.5などが付着しないので、洗濯後の衣類を清潔に保つことができます。紫外線による衣類の色あせや生地の劣化を防げますし、特に女性の場合は防犯にもなります。だから私はずっと部屋干しです」
では矢野さんが実践している「賢い部屋干し」とは、どのようなやり方なのでしょうか。
洗濯物が重ならないよう風通しに注意!
「脱衣所に突っ張り棒を3本設置して干場にしています。洗濯物を干したら除湿機をONにするだけ。乾く時間は洗濯物の量によって違いますが、30リットル(1.5kg)くらいなら除湿機だけで3時間もあれば乾きます。50リットル(3.5kg)くらいなら、さらに下から扇風機をかけますが、それでも6時間以内に乾きます」
ポイントは「除湿器」。
というのも、適度な除湿や換気を行わずに部屋干しをすると、室内結露を起こし、カビを発生する原因となることがあるからです。
部屋干しをする際は、除湿&換気もセットで対策を取るようにしましょう。
部屋干しの最大の問題点と解決法
では、そのプロセスをもう少し詳しく解説していただきましょう。
まず、部屋干しの最大の問題点は、洗濯物が臭くなること。その原因は雑菌の繁殖。
「室内は直射日光が当たらず、無風なので、乾くのに時間がかかります。その間に雑菌が増えて、ニオイの元となるのです。つまり、雑菌をいかに増やさないかということがポイントになるわけです」
では雑菌を増やさないためにはどうすればいいのでしょうか。
矢野さんは「洗濯前」「洗濯中」「干す」という3つのフェーズそれぞれに対策が必要だと解説します。
【フェーズ1:洗濯前】
洗濯槽を清潔に保つ
「まず大前提として、雑菌が増える原因となるのは洗濯槽の汚れ。洗濯槽に洗剤や柔軟剤の残りカスが溜まるとそれをエサに雑菌が繁殖するのです。よって、最初に実施しなければならないことは、洗濯槽を清潔に保つことなのです」
そのためには、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか。
「最低でも1ヶ月に1回は専用洗剤を使って洗濯槽を掃除しましょう。また、洗濯が終わって洗濯物を取り出した後、すぐに蓋を閉めると洗濯槽の湿度が上がってしまい、それが原因でカビが繁殖してしまいます。ですので、洗濯が終了したら蓋を1時間ほど開けっ放しにすることをおすすめします」
洗濯前の衣類の扱いにも注意が必要だと言います。
「脱いだ衣服をそのまま洗濯機の中に放り込む人も多いと思いますが、これもNG。衣類についた汗や皮脂が原因となり、洗濯槽の中で雑菌が増えてしまうのです。ポイントは、汗で湿った衣類を洗濯槽に長時間放置しないこと。
脱いだ衣類はできるだけ風通しのいい場所に設置した洗濯カゴやネットに入れましょう。汗をよくかく人は、少しでも汗の量を少なくするために、脱いだ衣服をハンガーにかけて、洗濯機周りにかけておくことをおすすめします」洗濯する前から勝負は始まっているのです。
【フェーズ2:洗濯】
洗濯の段階で少しでも雑菌を除去する
洗濯フェーズでも雑菌を除去する方法はあるそうです。
「洗濯する際、酸素系の漂白剤を使うと除菌作用があるので、通常の洗濯用洗剤よりもニオイを抑えることができます。部屋干し用の洗剤には酸素系の漂白剤が入っているので、ニオイ減少の効果はあります」
「さらに、一度にたくさんの衣類を洗濯すると、干す時に衣類が密集、密着して、乾くスピードが落ちます。それを防ぐため、1回に干す量を少なくするのも部屋干しのポイントです。洗濯物を溜め込まず、洗濯の回数を増やしましょう。そうすれば雑菌の繁殖も抑えられるし、乾かす時も部屋の湿度が一気に上がらないのでおすすめです」
簡易乾燥機能付きの洗濯機についてはどうでしょうか。
「あくまでも補助的な機能で、完全には乾かないし、メーカーによって機能の差が大きいことを知っておきましょう。しかし、干すのは最初の数分間が勝負と言われているので、乾燥機能で少しでも水分を取った方が、干してから早く乾きます。また、雨が降りそうな天気でも、最初の数十分だけでも外で干せればそれだけでもかなり違いますよ」
「干す」フェーズについては次回、詳しく解説します。
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