ダニの習性を逆手に取って一網打尽!
ダニは夜行性なので暗くなると活動的になる。
掃除機がけをするとき部屋を暗くしておくと、しっかり吸い取ることができる。
布団やカーペット、カーテンなどの布製品はダニの格好のすみか。ダニ退治の最もオーソドックスな方法は掃除機をかけて吸い取ることですが、ダニは1ミリ以下と小さく、繊維の奥に潜んでいます。いくら強力な掃除機をかけても、なかなか吸い取ることはできません。
「しかも、ダニは夜行性。日中は繊維の奥でじっとしています。ですから私がおすすめするのは、朝一番に、窓を開けずにカーテンやブラインドや雨戸も閉めたまま、ダニの活動中に掃除機をかける方法です。日中ならば、1時間くらい遮光してダニが活動する環境にしてから掃除機をかけます」
このように、ダニの習性を逆手に取ると効率よくダニを吸い取れるとアドバイスするのは、家事代行マッチングサービス「タスカジ」のベテラン家政婦みけままさんです。
サイクロン式掃除機のゴミを捨てるときは、ホコリが飛び散らないようにあらかじめ用意した袋の中でダストカップをそっとあけて中身を捨てる。ダストカップは水洗いしてペーパーで拭き取る。
水気をしっかり乾かしてから掃除機に装着しましょう。
「喘息などのアレルギーの原因となるのは、ダニそのものではなく、その死骸やフンです。ダニのエサとなる人のフケや皮脂、食べこぼしのカスなどがたくさん落ちているカーペットは、掃除機をこまめにかけるだけでもアレルギー対策になります。薬剤やダニ取りグッズも上手に活用すれば、ダニの大発生も抑えられます」
ダニを退治するには、掃除機にたまったホコリなどの処理方法にも注意が必要だと言います。
「紙パック式の掃除機は、吸引したゴミを紙パックごと捨てられるので、ダニを含んだチリやホコリを掃除機の外に逃すことなく簡単に処理できます。問題はサイクロン式の掃除機。吸い込んだだけではダニは死滅していませんから、まずビニール袋を用意して、ダストカップを袋の中でそっとあけてゴミを捨て、袋を閉じてダニを閉じ込めましょう。そのあと、水洗いできるものはこまめにダストカップを洗っておくと衛生的です。ゴミを圧縮してポンと捨てられるタイプのサイクロン式掃除機の場合も、ダニ退治を考えると、そのままゴミ箱に捨てるのではなく、ビニール袋など別の袋に入れて口を閉じてゴミ箱に捨てるとよいでしょう」
また、窓を開けて換気をしながら掃除をしている方は少なくないと思いますが、みけままさんは、そうするとホコリが舞ってしまい、ダニが拡散してしまうことのほうが心配だと言います。
「ホコリは窓を開けて外に出そうとするのではなく、フローリングならペーパーモップで拭き取ってください」
ちなみにみけままさんは、レンタルのモップと掃除機でホコリを取り、仕上げにウェットタイプのフロアモップで拭き上げているのだとか。空気清浄機も常時稼働させているそうです。
布団のダニ退治はコインランドリーで
写真◎shutterstock
最もダニが潜んでいる場所といえば、寝具でしょう。フケや皮脂がつきやすい上に、ダニが好む高温多湿の環境がつくられるからです。布団を天日干しすればダニが退治できると思っている方もいるでしょうが、ダニが死滅する温度は50℃、卵は70℃。天日干ししたくらいではそんなに高温にはならないのです。
「天日に干しても、ダニは布団の綿の中を移動して、日に当てているほうの反対側に移動してしまいます。布団たたきでたたいても出ていくこともありません。ですからダニ対策をするなら布団乾燥機の“ダニ退治モード“で熱するか、それ以上におすすめなのが、もっと高温で乾燥できるコインランドリーの洗濯乾燥機の利用。近頃のコインランドリーにはたいてい、布団も洗濯・乾燥できる大型のものがありますよ」
また、ダニが生息しやすいにもかかわらず、忘れられがちなのがカーテンです。吊るしている状態で掃除機をかけても、ダニどころかホコリさえなかなか吸い取ることはできませんよね。
「カーテンは、定期的に洗って汚れやホコリやダニの死骸を落としてやれば、アレルギー対策になります。さらに、布団同様にカーテンもコインランドリーで高温で乾燥させるとベスト。ですが、カーテンは素材によってお手入れ方法が異なりますし、一気にやろうとするとサイズが大きいうえに枚数が多いなど、布団以上に手間がかかり負担が大きくなります。そのため、天気のいい日に自宅で洗濯してカーテンレールに吊るして干すのが、一番簡単にできてシワになりにくく、ダニ対策の効果も期待できるのでおすすめです」
ペットが持ち込むマダニに注意
キャットウォークは「コロコロ」で猫の抜け毛やダニの死骸などをキャッチ。
ペットがいるご家庭は、ダニ対策をより徹底しなければいけません。毛が長い犬や猫は体にダニが棲みつきやすく、それがペットの寝具に移ってダニの温床になってしまうこともあります。そうなると、次は家中にダニが繁殖することに……。
みけままさんも、猫を2匹飼っています。猫がよく遊んでいるキャットウォークも抜け毛やフケなどが落ちやすいので、コロコロ(粘着テープ)を使ってこまめに掃除しているそう。コロコロはホコリやダニの死骸、フンなどもくっつけて取ることができます。
ペットにつくダニで、心配なのは家の中のダニだけではありません。外から持ち込まれるマダニにも注意が必要です。
「マダニは人の血を吸いますし、感染症の原因になるので、たいへん危険です。うちの猫は、1匹は家の中にいますが、もう1匹は外が好きで、リビングの窓から庭に出入りしています。窓のところに足拭き用のマットを敷いているほか、ダニ対策として、猫用のノミ・ダニ駆除剤を定期的に首の後ろに滴下しています。こうすることで、ノミ・ダニを寄せ付けず、できる限り家の中に持ち込まないようにしています」
家の外にペットの足を洗う場所を用意しておくのもいいですね。
マダニは草むらややぶなどに多く生息しています。第1回で紹介したように人にも取りつくので、ペットと一緒にそういう場所を散歩したときは、ペットだけでなく自分にもくっついていないかしっかりチェックしましょう。もし肌に咬みつかれていたら、すぐに医療機関へ!
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