梅雨の季節、気になる「ニオイ」対策 [第3回]

ニオイの「タイプ別」おすすめ対策アイテム

空間
リビング・寝室・居室
関心
季節お手入れ悩み

「消臭剤」は限られた空間の
浮遊するニオイに効果的

 ニオイ対策としてまず思い浮かぶのは消臭剤ですが、選ぶときにはどのようなポイントに注目すればよいのでしょうか。

「ニオイの種類は、原因となるものが空気中を漂っているものと、染み込んだニオイ分子が揮発したもの、大きく2つのタイプに分けられます。

 消臭剤でも、例えばビーズタイプは、落ちてくるニオイ分子をキャッチして吸着させることはできますが、自らニオイ分子を捕まえにいくことはできません。濡れたタオルを振り回して空気中のニオイを吸着させるという方法もありますが、それで捕まえられるのは空気中に漂っているニオイだけで、染み込んでしまっているニオイは捕まえられません。だからどこにニオイの原因があって、それはどんな状態なのかによって、効果があるものとないものがあるのです。

 消臭剤は、例えば下駄箱の中や冷蔵庫の中など、限定された空間の消臭には一定の効果がありますが、広い空間に一つ消臭剤を置いたからこれですべて大丈夫、というわけではないのです」

 リビングなどの広い空間を消臭するには、空気の流れに沿って消臭剤を置くか、イオンなどを発生させる空気清浄機を設置するとよいのだそう。また、ピンポイントで消臭したい場合は、スプレータイプの消臭剤でニオイの発生源になっている場所をねらい撃ちして消臭するのも効果的です。

「吸湿効果」「吸着効果」でニオイをキャッチ

 ニオイ対策としてよく取り上げられる“知恵袋”的なアイテムの効果はどうなのでしょうか。

「消臭グッズとしてよく挙げられるものとして、備長炭や重曹、新聞紙、珪藻土などがありますが、これらは吸湿効果があるため、カビの発生抑制となり、結果的にニオイ予防になるといえます。
 またコーヒーやお茶の出し殻は、吸着効果が認められているため、ニオイ分子が発生しやすい場所に乾かしたものを置いておくと、置き型消臭剤と同様の消臭効果が期待できます」

 また、カーテンや布団、壁紙などで防臭加工がされているものも見かけます。それぞれ何らかの触媒を練り込んであって、それが活性化してニオイ分子やウイルスを退治してくれるそう。ただ壁紙だけでなく、その奥の石膏ボードにニオイ分子が染み込んでいる場合もあるため、その場合は石膏ボードをベイクアウト(室内温度を上げて揮発性の科学物質を強制的に放散させる方法)する必要があるそうです。

「大切なのは、ニオイをごまかそうとするのではなく、まず『消臭』すること。原因を取り除いてニオイを消さないと、強い芳香剤などでニオイを被せても根本的な解決にはなりません」

臭気判定士オススメのニオイ対策アイテム

 松林さんにニオイ対策に効果的なオススメのグッズを3つ紹介していただきました。

 1つ目は、OKAの「イヤなニオイのしないふきん」。繊維に銀イオンが練り込んであるため抗菌効果が高く、カビが発生しにくいため長く使っていてもニオイを感じないそうです。

 2つ目は「低濃度オゾン発生器」。オゾンはウイルス発生を抑制し、脱臭機能があるため、染み込んでしまった生活臭などのニオイにオゾンを当てると高確率で取れるそうです。また漏水してしまった後のカビ臭いニオイや、賃貸物件で以前住んでいた方のタバコのニオイが染みついている場合などにも効果が期待できるのだそう。

 3つ目は「くつ脱臭機」。足は非常に多くの汗を出すため靴のニオイはけっこう強いものが多いですが、毎日ニオイ対策をするのは面倒という場合、これを靴に差し込んで脱臭するだけでもかなり違うそうです。新陳代謝の活発なお子さんがスポーツをされているなど、靴のニオイが気になるなら、こうしたアイテムを取り入れてみるのもオススメです。

 また、LIXILでは「光触媒」と「深紫外線」2つの力で脱臭し、菌の増殖を抑えるLED脱臭除菌照明「MIKAZE」という製品があり、一般家庭だけでなく病院や自治体などでも採用されています。

 とはいえ、消臭アイテムを設置する前に、ニオイ対策の順番としてまずやるべきは、発生源を特定すること。どこからニオイが出ているのか複数人で嗅いで回って確かめ、原因とおぼしきものを見つけたら、それに向けて対策を講じることが大切です。

「ニオイの原因は一つとは限りません。複数のニオイが混ざっている場合は、まずAのニオイの発生源を特定して対策を取り、Aのニオイがなくなったら次はBのニオイ・・・という風に追い込んでいくといいですね。ニオイの発生源に近い部分は当然ニオイが強くなるので、このあたりにあるはずと“探偵”していくことが大切です。
 複数人であちこち嗅いで回ってもどうしても発生源が見つからない場合は、壁の裏側や配管など見えない場所に原因がある可能性があります。その場合は私たちのようなニオイ対策の専門家や工務店などに相談してください」

 湿度と温度が高くなりやすい梅雨の季節は特に、ニオイの原因をつくらないことと発生源別にそれぞれ対策を取ることが大切です。快適で過ごしやすいお部屋を保つと同時に、その家の記憶が快いものになるように、できるところから取り入れてみてくださいね。

≪お話を伺った方≫

松林宏治さん

株式会社共生エアテクノ代表取締役。脱臭装置の設置、悪臭調査と臭気対策の提案・設計などを行うほか、「におい刑事(デカ)」の愛称で、テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。保有資格は臭気判定士、シックハウス診断士、におい・かおり環境アドバイザー。

文◎中原絵里子
画像◎Shutterstock

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