収納をエリア分けして場所を確保
リビングダイニングなど、日常を過ごす場所にモノをため込まないためには「バックヤード」となるスペースをしっかり整えることが大切なのだそう。
バックヤードにスペースをつくるポイントは、「高さを活用する」こと。床一面にモノが置いてあるのに、腰高から上はまったく使われていなくてもったいない……、というケースが多いそうです。その場合、180センチ高のスチールラックや突っ張り式のシェルフなどを使うと、効果的に高さを活かせます。
高い場所には重さがそれほどなく、出し入れする機会も少ないものを置くようにすると、「高くてしまいにくいから取りあえず手前に積んでおく」といった事態を防げます。
また、その時空いているスキマに突っ込んでしまうと後で探しにくくなるため、エリアを決めることが重要だとseaさんは話します。
「フタをされた小さな箱がいっぱいあると、どこに何があるのか探すのにも、使い終わった後に戻すのにもひと手間かかります。同じ分類のものは大きめのケースにざっくりまとめ、できればフタをしない、もしくは透明で外から見えるケースを使うのがオススメです。
例えば夏のレジャー関連、ウインタースポーツ関連、クリスマスやハロウィンなど季節のイベントの飾り物などは、全部まとめてひとつの塊にしたうえで、『だいたいこのあたりはこれを置くエリア』とマップをつくるイメージで場所取りすると、探すのも出し入れもしやすくなります。また、エリアごとに少し余白を残すようにすると、後からモノが増えた時にも『空いていないから取りあえずココに突っ込んでおく』といったしまい方を防げます」
「ディスプレイスペース」は収納ではない
では、日常的に生活で使う空間にある「今使うモノ」の収納は、どうすれば戻しやすくなるのでしょうか。
「リビング収納は、できる限り“今使うモノ”に絞ることを意識して。文房具、認め印、マスクや体温計、薬、今使う書類など、置いておくモノを厳選しましょう。保険や契約書類、映画のパンフレットなど、『保管』目的のものはバックヤードに移動させてください。
よく使うもの、出す機会が多いものほど手前に、そうでないものは奥にしまうのが鉄則です。ただし使わないモノから奥に詰めていくと、最後に一番使うものを置くスペースがなくなってしまうので、まず手前に“絶対に使うモノ”の場所を確保し、だいたいの配分が決まった後で全体の配分を調整するのがオススメです」
seaさんのディスプレイスペース。季節ごとに1、2点に絞ってスッキリと。
また、リビングの「見せる収納」で意識すべきこととして、seaさんはこう指摘します。
「ディスプレイスペースと収納するスペースは、別のものです。ディスプレイは家族の思い出を飾る場所であって、モノを片づける場所ではありません。眺めて楽しむという目的を越えてモノがあふれてきたら、それは入れ替えのサイン。役割を終えた思い出の品は、バックヤードに保管されている思い出グッズ入れにしまいましょう」
よく使うものだけを使いやすい場所に置くのがポイントですが、例えば美容・健康関連グッズ、お菓子づくり用の調理グッズなどの、「使用頻度は高くないものの、できれば使いたいモノ」は、アクセスの悪い場所に置くと全く使わなくなりそうです。
こうしたあいまいなモノはどちらに分類するといいのでしょうか。
「『使いたい』の度合いは人によって違います。絶対使いたい、使えたら使いたい、使うかもしれない……など、どのぐらい本気で使いたいのかを問うといいですね。買ったばかりの美顔器だからどうしても使いたい、という場合は、使うシーンに合わせて洗面所がいいのか、リビングがいいのかなど検討したうえで、置き場所をつくります。
『今はもうあまり使っていないし、使う優先度合いもそれほど高くない』という場合は、保管目的の家電としてバックヤードに片づけます。また、あえてソファの横などに置き、今シーズン使うかどうか様子を見て、それでも使わなければ処分するなど、ルールを決めるのもオススメです」
片づけやすいおもちゃスペース。絵本もここにあると、子どもが手に取りやすい
この3択から選んでいくことが大切です。
キッチン収納は「食品」「食器」「調理道具」の三大アイテムのうち、循環を滞らせてはいけないのが「食品」です。賞味期限が決まっている食品は取り出しやすくするために、最初に場所取りをする必要があります。
続いて、洗剤やラップなどの消耗品の買い置き、ビニールなどキッチン作業に必要なモノの場所を決めて、残ったスペースに食器や調理道具を入れていくといいそうです。
家のあちこちに山積みされていることが多い本は、基本的には「今読んでいる本」以外は、別に置き場を作る方がよいそう。
「どういった本を、どういう目的でどの程度リビングに置きたいかによって、アプローチが何通りか考えられます。リビングに本の背表紙が並ぶと文字情報が目について落ち着かないから置きたくない、という場合は、寝室など別の部屋の壁面を利用して書架をつくります。愛蔵品であれば「思い出グッズ」同様、箱詰めしてしまっておきましょう。
仕事の資料や期間限定のインプット資料ならワークスペースに本棚を置き、キャパを守って一定期間そこで管理。
子どもに本を読んでほしい場合は、読書するタイミングが寝る前なら寝室、くつろいでいる時間や遊びの時間ならおもちゃなどと同じエリアで、自分で手に取りやすい場所にあるといいですね。いずれも、今読む本や読む頻度の高いものから順に、届きやすい場所を確保していきましょう」
レンタル収納には「定期的に使うモノ」を
モノを収納するスペースはないけれど、リフォームも断捨離もできればしたくない。そういう場合の外部ストレージとしてレンタル収納スペースを活用するのも効果的、とseaさん。ただし何を預けるかは注意が必要です。
「目にする機会がないモノは、存在を忘れてしまいます。『こんなモノにお金を払って預けていたのか』と思ってしまうのを避けるためにも、『使う機会があり、定期的に出す必要があるモノ』を預けるのがオススメです。
例えば、海外旅行用の大きめのスーツケースや、サーフボードなど季節限定のスポーツ用品でかさばるもの、オフシーズンの衣類や季節の飾り物などは、必要になるタイミングが決まっているので、存在を忘れることがありません」
一方、庭の物置は、湿気がこもりやすいため、衣類や家電製品の保管には適しません。ガーデニング用品や車の掃除道具、キャンプ用品などは庭の物置で問題ありませんが、温度や湿度の管理が必要なモノは、屋内型のレンタル収納スペースも検討してみるといいですね。
最終回の3回目は、効果的な「収納用品・家具選び」について教えていただきます。
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