エアコンの点検・替えどきは今![第2回]

空調機器メーカーが教える、エアコンの活用術

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冷房と除湿は何が違う?

 エアコンを使う際、真夏のカンカン照りには冷房、雨でジメジメしているときは除湿を選択します。
 しかし、冷房でも除湿でも、冷たい空気が出てくるので、その違いを理解している人は少ないかもしれません。

 それもそのはず。実は、この2つの機能、基本的には同じ仕組みなのです。

「エアコンの除湿運転は、空気を冷やすことで乾燥させます。機種によって、『弱冷房除湿』と『再加熱除湿』という2つのタイプがあり、水分を外に追い出す仕組みは同じです。ただ、弱冷房除湿は、弱い冷房をかけているだけの状態なので、肌寒く感じることがあるかもしれません。
 一方、再加熱除湿の場合は、空気の湿度を下げた後に、冷気を少し温めます。湿気だけを取り除いてくれるため、梅雨や夜間でも体が冷え過ぎず、寒さが苦手な方でも快適に使うことができるんです」

 再加熱方式の除湿機能をもっているエアコンは、上位機種に多いようです。
 エアコンを選ぶ際には、こうした違いをチェックすることも肝心ですね。

フィルターは2週間に1回、掃除しよう

 エアコンを使っていると、なぜか効きが悪かったり、カビ臭さを感じたりすることがあります。
 それは、普段のお掃除でかなり解消されるそうです。

 効きが悪い場合は、フィルターを疑ってみましょう。
 1回目でお話したように、室内機のカバーを外すと、すぐにフィルターが出てくるので、クリーニングは簡単です。

「フィルターにほこりなどが付着していると、吸排気しにくくなり、冷房や除湿の運転効率が落ちます。大掃除のタイミングなどで、フィルターをチェックなさる方が多いかもしれませんが、夏の間は、なるべくこまめに掃除していただく方が良いでしょう。できれば、2週間に1回くらいを心がけてみてください」

 カビ臭さは、除湿した水分がうまく排出されていなかったり、室内機の送風口にある整流フィンが結露したりして、カビてしまっていることが原因だそうです。

「送風口のフィンなどは、ときどき固く絞った雑巾で拭くと良いでしょう。それでも、カビ臭さが残る場合、水漏れはしていなくても、ドレーンが詰まって水盤に水が溜まっている可能性があります。エアコン内部のクリーニングを、プロに依頼しましょう」

室外機まわりにも要注意

 エアコンの性能をフルに発揮するためには、室内機だけではなく、室外機周辺にも工夫が必要です。

「室外機まわりにあまり物を置かないで、空気の流れを良くすることはもちろんですが、夏の直射日光を当てないようにすることもおすすめです。日の当たる場所に室外機がある場合、夏の間は、葦簀などの日よけになるものを本体から1mほど空けて置いたり、オーニングを設置して日陰をつくったりすれば、運転効率が上がり、省エネにもなります」

 ゴーヤのグリーンカーテンなども、有効とのこと。
 梅雨前に苗を買ってくれば、真夏にはすくすく育って、直射日光を遮ってくれます。

扇風機やサーキュレーターで、さらに効率UP!

 効率良く部屋を除湿したり冷やしたりするためには、エアコンから出てくる空気を循環させることも重要です。

「扇風機やサーキュレーターなどを併用して、屋内の空気を対流させると、部屋の隅々まで冷気を行き渡らせることができます。エアコン自体も、上下左右に風向を調節する機能をもつ機種が増えていますが、特に湿度や温度が高い季節は、部屋全体に空気を循環させることで、より快適な空間になるでしょう」

 ちょっとした工夫やメンテナンスで、エネルギー効率も上がり、過ごしやすくなるのです。

「夏場の室内は、気温が26〜28℃、湿度が50〜60%で快適な環境だといわれています。エアコンをその温度に設定したとしても、うまく空気が循環していなければ、実際の室温はそれより高くなってしまうでしょう。
 最近は、温湿度計も手頃な値段で買えますので、実際の温度や湿度をモニタリングしながら、エアコンの設定を変えたり、少し工夫してみたりするのも良いと思います」

 次回は、今がベストシーズンという、エアコンの買い替えについてのお話。どんな機種を選んだら良いのか、アドバイスを伺います。

〈お話を伺った方〉

由井明日香さん

ダイキン工業株式会社 コーポレートコミュニケーション室広報グループ


取材・文・撮影◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
写真提供◎Shutterstock

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