エアコンの点検・替えどきは今![第1回]

除湿を使う梅雨の前に、点検とクリーニングを

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まずは、フィルターと室外機周辺をきれいに!

 エアコンは今や、夏に部屋を涼しくするだけではありません。冷房、除湿、暖房など、空調を一年中フル稼働させているご家庭も、多いのではないでしょうか。
 その一方で、5月から入梅前の6月初旬までは、過ごしやすい気温で湿度も低いため、エアコンを使う機会が少なくなる時期です。しかし、すぐに蒸し暑い梅雨がやってきます。

 その前に、エアコンを点検しておくことを推奨しているのが、空調機器メーカーのダイキン工業株式会社です。
 今回は、同社の広報グループ・由井明日香さんに、今のうちにやっておくべきチェックとメンテナンスの方法について伺いました。

「冬の間、暖房でお部屋を暖めていたエアコンですが、少しずつ春の陽気が感じられる3月くらいから、あまり使わなくなってくるでしょう。その後、6月の入梅から除湿のために運転するようになり、真夏にかけて冷房をフル稼働させることになります。

 その時期を快適に過ごしていただくため、本格的に稼働させる前の今、ぜひ、エアコンに不具合はないか点検してください。まずは、電源を入れる前にフィルターのクリーニングをすること、室外機周辺をチェックすることから始めましょう」

 春の間は使っていなかったエアコンを、再び動かす場合、試運転をする必要があります。
 ただ、その前に、エアコンが本来の性能を発揮できるように、各部の手入れをして、環境を整えてあげることが大切だそうです。

「フィルターは、エアコンのカバーを開けると、簡単に取り外すことができます。はたきやブラシを使い、ホコリを取り除きましょう。掃除機で吸い込むのも良いです。最近のエアコンは、フィルターの目が細かいので、破かないように注意してください。

 また、汚れがひどかったり、油などで落ちにくかったりする場合もあります。喫煙者の方であれば、たばこのヤニをフィルターが吸着しているでしょう。そんなときは、中性洗剤とお湯で優しく洗います。濡れたまま戻すのではなく、きちんと乾かしてから再装着してくださいね」

 洗ったフィルターを乾かしている間に、室外機周辺も点検していきます。

「室外機の周囲には、なるべく荷物を置かないようにしましょう。冬の間に枯れ葉が溜まっていたり、ゴミやホコリがついていたりすることもあるので、ホウキなどで払ってください。室外機カバーをかぶせているお宅もありますが、空気の流れを邪魔するようなタイプは、エアコンの運転効率が落ちますので、できれば外した方が良いですね」

異常がないか、試運転で確認

 フィルターと室外機のクリーニングが終わったら、次は試運転です。
「一番低い温度に設定して冷房をつけてください。機種によりますが、冷房の最低温度は16℃〜18℃です。この状態で10分間、運転してみてください」

 エアコンを久々に動かす場合、故障や不調があれば、この段階ですぐにわかるそうです。

「まずは、異常を知らせるランプが点灯していないかを確認します。きちんと冷気が出ているかどうかも、確認してください」

 異常が見つかった場合は、電気屋さんなど、専門の業者に連絡して診断してもらいましょう。不具合を抱えたまま運転を続けると、大きなトラブルにつながります。

「試運転で不具合がないことを確認したら、そのまま30分間、運転を続けてください。長い間休んでいたエアコンの慣らし運転をする意味もありますが、そのタイミングでわかる不具合もあります。室外機や室内機から異音がしていないか、チェックしましょう。室外機から音がする場合は、コンプレッサーやファンの異常、中に異物が入り込んでいる可能性も考えられます」

慣らし運転で見つかる3つのトラブル

 30分間の慣らし運転で見つかる不具合で、一番多いのは水漏れだそうです。

「エアコンを運転することで発生した水は、水盤に溜まり、そこからドレーンを経由して外に排出されます。しかし、水盤が汚れていたり、ドレーンが詰まっていたりすると、室内機からぽたぽたと水が垂れてきます」

 こうしたトラブルが起きた場合は、専門の業者に依頼して、詰まりの原因を取り除いてもらいましょう。

「市販のクリーナースプレーなどを使って、ご自分で解決しようとする方もいらっしゃるようですが、メーカーとしてはあまりおすすめできません。そうしたスプレーの中には、機械を傷めてしまうものもあるのです。他にも、除菌・消臭・殺虫剤などのスプレー類をエアコンに直接吹きかけると、樹脂の変形や劣化、金属の腐食、電子部品の故障、水漏れなどの原因になる場合があります。

 スプレーによって溶け出した汚れが、室内に流れ出してしまうこともあり得るでしょう。室内機のフィルターを外すと、熱交換器という金属製の細かいフィンがあるのですが、そこを傷つけてしまったり曲げてしまったりするケースも考えられますので、ノウハウをもった業者に依頼することをお勧めします」

 また、エアコン運転中の室内でスプレー類を使用する際には、エアコンを停止または十分な換気を行うべきだそうです。

 ガス漏れによる不具合も散見します。
 試運転や慣らし運転では、設定できる最低温度で動かしますが、いつまで経っても冷気が出てこないことがあるのです。

「最近の、きちんと設置されたエアコンであれば、めったに起こらないのですが、古い機種では、ガス漏れが発生していることがあります。何かの拍子に室外機が倒れてしまい、配管に無理な力がかかった場合にも、そうした現象が起きます」

 かつては、ガス漏れで冷えなくなったときに、エアコンのガスを補充する、という話をよく聞きました。

「ガスをチャージすれば、また冷えるようになることもありますが、専門家がチェックしなければ、本当にガス漏れが原因かは判断できません。この点検作業は、ご自分では無理ですから、業者に依頼なさってください」

 梅雨の前に点検しておけば、不具合が出ても、エアコンが必要となる前に対応できます。
 クリーニングと試運転で、しっかりと確認しましょう。

 次回は、エアコンの性能をフル活用する方法について、お話を伺います。

〈お話を伺った方〉

由井明日香さん

ダイキン工業株式会社 コーポレートコミュニケーション室広報グループ


取材・文・撮影◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
写真提供◎Shutterstock、Photo AC

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