エアコンの点検・替えどきは今![第3回]

省エネ性能の高いエアコンにするべき!

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梅雨入り前は、一番買いやすい時期

 12月と6月のボーナスシーズンは、大型家電や白物家電が、年間で一番売れる時期です。エアコンも需要が高く、家電量販店やTVショッピングなどでも、エアコンを前面に押し出した商戦が繰り広げられます。

「実は、エアコンを買い替えるなら、5月〜6月初旬がおすすめの時期なんです」というダイキン・広報グループの由井さん。

「真夏になると、多くの方がエアコンを使い始めます。そのタイミングで機器の不具合に気付くため、特に7月から8月は、エアコンの購入や修理のご相談が集中するでしょう。そうなると、エアコン業界は一時的に人手不足になり、据え付けや修理が完了するまでに、通常以上に長い時間がかかってしまうかもしれません。その間、暑さを我慢しながら過ごさなければならず、熱中症も心配です」

 注文したのに、工事まで1カ月待ち、という話をよく聞きます。ボーナスシーズンであることもあって、需要が一気に高まるのかもしれません。

 また、ハイシーズンは、やはり価格相場も高め。今のうちにお目当ての機種を選んで、手配しておくのが、賢い買い物の仕方といえるかもしれません。

最近増えてきた「200V仕様」

 エアコンを選ぶときは、どんなことに着目すれば良いでしょう。カタログやwebサイトを見ていると、「200V仕様」のエアコンが増えているようです。一般家庭では100Vの電源しか轢いてない場合がほとんどです。

「一般的に、14畳用以下程度のエアコンは100Vの家庭用電源に、それ以上の能力のエアコンは200Vの家庭用電源に対応したものがラインナップされています。強力なものは、200V仕様の方が効率的なためです。エアコン用コンセントの電圧も確認し、ご自宅の環境に適した機種を選びましょう。広いリビングが増えたことで、最近では200V仕様のエアコンも豊富になっています」

 また、エアコンの省エネ性も向上しているそうです。

「カタログなどを見ていただくと、省エネ法に求められる省エネ基準の達成率や、通年エネルギー消費効率を確認できます。最近では、カーボンニュートラルやSDGsに対する世の中の意識も高まっているので、エアコンを選ぶ際は、省エネ性もぜひ気にしてみてくださいね」

 100Vと200Vではコンセントの形状が異なるほか、200V駆動のエアコンを設置するには、資格をもった技術者による工事が必要な点も変わってきます。

 一戸建てでも集合住宅でも、もともと200V電源があれば、そのまま使えますが、無い場合は新たに引き込み、現状の100V電源とは違う配線を用意することが必要です。

 最近建てられたマンションなどでは、200V電源があらかじめ配線されていたり、配電盤までは引き込まれたりしていることがあります。そうした場合は、室内配線やコンセントの増設だけで、200V駆動のエアコンを設置できます。
 気になった方は、大家さんや管理会社に確認してみましょう。

プロがおすすめする、エアコンの選び方

 エアコンを購入するときに見かける、6〜8畳用や12〜14畳用という表記。
 広い部屋に対応した機種の方が、当然出力も大きくなります。

「出力の大きいエアコンの方が、性能が良い、あるいは小さい部屋用のエアコンは消費電力が少ないなど、さまざまな考え方をする人がいますが、エアコンの出力は部屋の広さに最適になるよう、設計されています。サイズが合ってないと、かえって効率が悪くなり、電気を余計に使うことにもなりますので、部屋の広さに合わせた機種を選びましょう」

 同じ広さ向けのエアコンでも、普及機(エントリーモデル)は10万円以下、6〜8畳用なら4〜6万円という製品もあります。一方で、上位機種(フラグシップモデル)は15万円、20万円というものも少なくありません。
 この違いは、どんな部分にあるのでしょう。

「普及機は冷やす、暖める、除湿するというシンプルな機能に特化しているものがほとんどです。上位機種は、第2回でご紹介した再加熱除湿や加湿、フィルターの自動クリーニングなど、さまざまな付加機能を備えています。また、省エネ性能も高いでしょう」

※住宅設備用カタログ | カタログビュー (daikinaircon.com)より。
エアコン本体価格は2022年5月時点での実勢価格

 上の図は、ダイキンの上位機種と普及機種について、機種代金(市価)とランニングコストを試算し、比較したものです。
 上位機種の方が、省エネ性能が優れていることがよくわかります。
 10年間の使用で、トータルコストの差は4万円以内。1年あたり4000円しか変わりません。

 その差額で、上位機種がもっているさまざまな付加機能を考慮すると、決して高い買い物とはいえなさそうです。

エアコンのライフサイクルは10年

 シーズン前に点検して不具合がなければ、古いエアコンでも「これで十分だ」と思うかもしれません。
 けれども、エアコンの性能はどんどん上がっていると、由井さんはいいます。

「一般的に、エアコンのライフサイクルは10年と設定されています。メーカーも、10年間は大きなトラブルを起こすことなく、お客さまに安心して使っていただけるよう、設計しているんです。
 ただ、私たちは日々研究開発を進め、エアコンを進化させています。10年前のエアコンと比べ、最近の機種は快適さももちろんですが、省エネ性能が抜群に上がっている。なので、まだまだ使えると思っていても、10年以上使用しているエアコンであれば、買い替えを検討されてみるのも良いのではないでしょうか」

 カーボンニュートラルやSDGsを考えて、省エネ性能がますます重要視される時代です。
 けれども、真夏の熱帯夜は寝苦しいこともあり、24時間、エアコンを付けっぱなしにすることもあるでしょう。

 エアコンをフル稼働させるシーズンがくる前に、ぜひ、ご自宅の機器を見直してみてはいかがでしょうか。

〈お話を伺った方〉

由井明日香さん

ダイキン工業株式会社 コーポレートコミュニケーション室広報グループ


取材・文・撮影◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
写真提供◎Photo AC

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