
衣替えはクローゼットやタンスを占拠している洋服類や収納を見直すチャンスです。今後着ることもなさそうな夏服を処分し、クローゼットの衣装ケースに片付けたら、次は秋冬服を選別します。限られた収納スペースを有効に使えるようにしましょう。
夏物を衣装ケースに収納したら、次は秋冬物の選別です。
髙橋さんのお宅では1階のクローゼットにご主人のスーツ類をしまっています。そのスーツ類を2階の夫婦共有スペースに移し、空いたスペースをお子さんの洋服専用にする計画です。ただ、移動先のスペースに対してスーツ類の量が多いのが問題です。
「主人に確認したらもう3年も着ていないスーツもあり、クリーニング店のビニールカバーがかかったまま。コロナ禍ですっかりスーツを着る機会が減りましたし、型が古いのでもう捨てましょうと言い続けてきたのですが……」
髙橋さんがこう嘆く一方、ご主人はそれなりの値段だったし、海外で買ってきたものもあり、また着るかもしれないと弁解したそうです。
また、基本的にトラッドなアイテムだから流行に左右されないと主張するのだとか。しかし、昨今のトラッドスーツは以前より細身なデザインになり、明らかに古さを感じます。
「流行は繰り返すというけれど、傾向としては似たデザインでも、細部は違いますよね」とミヤマさんに同意を求める髙橋さん。ミヤマさんは、2階クローゼットに入れられるだけ入れてみて、あふれるようだったら処分する方法を提案しました。ご主人も決心し、スーツに関しては夏物1着、冬物3着を残すだけにしました。
秋冬の洋服も、第1回で紹介した夏服の選別同様、ミヤマさんは「シーズン中に一度も着なかったものは処分の対象」にすることを提案します。とくにかさばるセーターやニット類は、少し処分しただけでかなりの省スペースに。流行を追って買ってしまった洋服、現在の体型に合っていないような洋服は、この際、処分の候補に入れてみてはいかがでしょうか。
秋冬服の選別では、5年ほど着たダウンジャケットとストール類を処分することにしました。
夏服、秋冬服を整理したら、衣装ケース2つ分のスペースが空きました。以前の髙橋家の2階クローゼットは、衣装ケースや荷物が高く積み重ねられていたのでジャケットやスーツ、コートを掛けるスペースがほとんどありませんでした。
ミヤマさんのアドバイスで衣装ケースは高く重ねず、また中央に配置して、左右に丈の長いコートが掛けられる空間をつくることに。
「左右で髙橋さんとご主人のスペースを区切りましょう。そうすればご主人も、自分のスペースに収まらないスーツや衣類の処分の決断がしやすくなるのではないでしょうか」
仮に冬物スーツ3着を残し、Yシャツなどをハンガーに掛けて収納しても、余裕ができました。一間(約180センチ)のクローゼットを夫婦で半間(約90センチ)ずつ使う仕様にします。
「ハンガーは髙橋さん用とご主人用をマスキングテープで色分けします。しまうとき、取り出すときにも区別がついて便利ですよ」
押し入れ的に使われていた髙橋さんのクローゼットは、衣類だけ収納することで、使い勝手も大幅に向上しました。
「夏用の衣装ケースには、誰の何が入っているかがすぐにわかるようにラベルを貼っておくといいでしょう。たとえば青字がご主人、赤字が奥さまと決めておけば、来シーズンの衣替えのときにスムーズに作業ができます」
シーズン中に着る衣類については、ニットやセーターといったハンガーに掛けると型が崩れてしまうデリーケートな素材の服はたたんでおきます。一度着たものとまだ着ていないものとを混在させたくない場合は、別の衣装ケースにしまうのがいいでしょう。
コートなどハンガーに掛けている冬物は、クリーニング店のビニールカバーは通気性が悪く湿気がこもりやすいので、不織布などの通気性のいいものに交換しておきましょう。そこにも中身は何かわかるようにシールを貼っておくと、冬が来たらすぐに取り出せて便利です。
コロナ禍というだけでなく、外から帰ってきたとき、コートやスーツをすぐにクローゼットにしまいたくないと思う方も少なくないことでしょう。花粉の季節も同様ですね。髙橋さんのお宅では、玄関にコート掛けを用意して、部屋に持ち込まないようにしているそうです。
ですが、部屋にちょっと掛けておきたい、翌朝、着ていくスーツを用意しておきたいという場合もあるでしょう。そんなときに重宝するのが簡易ラックです。Yシャツなども同時に掛けられるので、いちいちクローゼットを開け閉めしないですみ、一度着たものをクローゼットには入れたくないという方にもおすすめです。
「おかげさまでクローゼットがすっきりしたばかりか、気になっていた主人のスーツ類が処分できてほっとしています」と髙橋さん。ミヤマさんも「喜んでいただいて何よりです」
必要な夏服、秋冬服を選別して収納法を見直し、すっきりした髙橋家のクローゼット。次回(第3回)は、選別で「不要」となった衣類の活用法をレポートします。
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lixil.co.jp/lineup/livingroom_bedroom/vietas_panel/文◎三星雅人 写真◎平野晋子
収納をはじめインテリア、料理、手作り雑貨、DIYなど、生活全般のジャンルを手掛けるスタイリスト。整理収納アドバイザーの資格を保持し、雑誌・書籍・WEBで一般家庭の収納をアドバイスした企画多数。
最小限のモノで暮らすのが理想の主婦。今回の企画で、ご主人の着ないであろう洋服が処分できて気分爽快、思わず笑みがこぼれる。公立の保育園で保育士を勤める。