衣替えを機にすっきりクローゼットに!【第1回】

夏服の選別&しまい方

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学ぶ整理収納悩み

不要な衣類の整理と保管場所の見直し

 2LDKの2階建て一軒家にお住いの高橋喜久枝さんのお悩みは、家族の洋服の保管場所がバラバラなこと、そしてご主人の滅多に着ないスーツをはじめとするあふれかえった洋服。衣替えと同時にこれらの問題を一気に解決できる方法を、スタイリストのミヤマカオリさんに教えていただきました。

 2年前まで髙橋家は、ご主人と2人の息子さんの4人で暮らしていました。ところが、下のお子さんが全寮制の高校に通うことになり、社会人の上のお子さんもこの春から地方都市へ配属になり、現在は2人暮らしです。ただ、来春になると下のお子さんが家に戻ってくるため、不要な衣類の整理と保管場所を見直すことにしました。

 現在1階のクローゼットにはご主人のスーツ類と上のお子さんのスーツの一部、下のお子さんの洋服が保管されています。2階のクローゼットは髙橋さんの洋服と、ご主人、お子さんたちの秋冬物が衣装ケースに入れられています。

 来春から1階をお子さんの部屋、2階を夫婦の部屋として使う予定のため、今回の衣替えでは1階のクローゼットをお子さんたち、2階のクローゼットを夫婦用と分け、入りきらない洋服は思い切って処分することにしました。

クローゼットを空っぽにする

「さあ、クローゼットの中身を全部出して空っぽにしましょう」

 ミヤマさんのクローゼット整理術は、ここから始まります。
 髙橋家のクローゼットはそれなりに整理されていますが、まずはクローゼットにある衣装ケース、掛かっている冬物などをすべて出して、現状を把握します。

「こうしてみると、洋服以外にも結構いらないものがありますね」
 髙橋さんは汗だくになりながら部屋に中身を広げました。築20年ほどですが、クローゼットを完全に空っぽにしたのは初めてだとか。このタイミングで、クローゼット内を隅から隅まできれいに掃除します。

 ミヤマさん指導の下、まずは夏服の整理から。不要な夏服を選別していきます。

「この夏、一度も着なかった洋服は処分していいと主人に言われていますので、気持ちよく分別できます」と髙橋さん。
 コロナ禍で、スーツを着用して仕事することが激減した上、猛暑を理由にすっかりカジュアルな格好で出社する機会が増えたため、型が古くなったスーツ類はいらなくなったそうです。着用しなかった夏用のスラックスやシャツ類であっという間に山になりました。

 髙橋さんのように、着なかった洋服は処分するという潔さがあれば別ですが、捨てるときはそれなりの決心が必要ではないでしょうか。

「処分するかどうか迷った場合は、保留用の衣装ケースを用意して、少し猶予期間を設ける方法をおすすめしています」ミヤマさんはこうアドバイスします。
 流行を追ってはみたもののしっくりこなかった服、買ったまま一度も着ていない服、流行は繰り返すと信じて保管している服などは、保留ケースに入れておきましょう。

縦にしまえば見やすく取り出しやすい

 夏物はさほどかさばりませんが、次のシーズンにお目当てを探し出しやすくよりコンパクトに収納するには、たたんだ服を上下に重ねるのではなく、縦に並べていくといいでしょう。

縦収納の基本であるシャツのたたみ方を教わる高橋さん。

正方形にたたみ、最後を山折りにすれば、手を放しても立ったままに

「袖を折りたたんで正方形にして、最後は半分に山折りするとシャツが自立します。これを衣装ケースに順番に入れていきます。どうしてもうまくたためないのなら、100円ショップなどで扱っている縦収納に便利なお助けグッズを利用するのも一手です」

 髙橋さんも縦収納派で、ミヤマさんのたたみ方や100円ショップグッズの利用法に共感したようです。とくに、仕様書どおりにたたむと箱に収まるグッズの使い勝手の良さに感心。

「箱のまま縦収納ができて、きれいにたたんだ状態のまま取り出せるのには驚きました。これは下の子が帰ってきたらぜひ本人にやらせます(笑)」

 もっとお手軽に縦収納がしたいなら、円柱状にするという方法もあります。ビジネスやお出かけ用のシャツというよりは、普段使いのTシャツや肌着などに向いていますが、夏物を手早くしまえるというメリットは大きいでしょう。このたたみ方をアシストするグッズも100円ショップで手に入れられます。

 整理した夏物を髙橋さんのもの、ご主人のものに分け、さらにお子さんたちの衣類は1階のクローゼットにしまう準備ができました。次回(第2回)は秋冬物について、不要なものを確認していきます。

ミヤマ流 服をしまう5つのポイント

1.落とし切れていない皮脂などの汚れは、シミなどの衣類トラブルの原因

 酸素系の漂白剤を使ってしっかり汚れを落とし、すすぎ残しのないように洗剤を完全に落とす。洗いあがった衣類は湿気が残らないようにしっかり乾燥させる。

2.収納は晴れた日を選ぶ。雨の日は湿気も一緒に収納してしまうためNG

クリーニングのビニールカバーも通気性が悪く湿気がこもりやすいので必ず外すこと。カバーをする場合は、通気性のある不織布製がおすすめ。

3.シワを防ぐには、衣装ケースに衣類を詰め込みすぎない

 衣装ケースに衣類をぎゅうぎゅうに詰め込み過ぎると、シワの原因に。次のシーズンも気持ちよく着るには、手持ちアイテムの数を見直し、余裕をもった収納がポイント。

4.デリケートな衣類は上段に、丈夫な素材は下段にしまう

 引き出し式の衣装ケースの場合、湿気は下に行きやすいので、絹やおしゃれ着などのデリケートな衣類は上段、化繊は中段、丈夫で洗いやすい綿や麻素材は下段と使い分けるとよい。

5.防虫剤の成分は空気より重く上から下へ流れるので、衣類の上に置く

有臭系(ナフタリン、樟脳など)の防虫剤は種類を混ぜて使うと衣類のシミなどの原因になるので注意が必要。防虫剤と一緒に、衣類乾燥剤も併用して湿気を防ぐ。

参考商品 「ヴィータス パネル」

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文◎三星雅人 写真◎平野晋子

収納の先生 ミヤマカオリさん

収納をはじめインテリア、料理、手作り雑貨、DIYなど、生活全般のジャンルを手掛けるスタイリスト。整理収納アドバイザーの資格を保持し、雑誌・書籍・WEBで一般家庭の収納をアドバイスした企画多数。

収納の生徒 髙橋喜久枝さん

最小限のモノで暮らすのが理想の主婦。今回の企画で、ご主人の着ないであろう洋服が処分できて気分爽快、思わず笑みがこぼれる。公立の保育園で保育士を勤める。

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