24時間換気システムは万能ではない
2003年7月に改正建築基準法が施行され、一戸建ては24時間換気の設備が義務づけられました。一戸建てやマンションの多くに採用されているシステムの多くは「第3種換気装置」というもので、設置コストが安く、室内に湿気がこもりにくいというメリットがあります。24時間換気システムは、1時間で室内の半分の空気を入れ換えることができ、シックハウス症候群の原因になるホルムアルデヒドなどを屋外に排出します。
「ただ、このシステムはファンなどを使って室内の空気を強制的に外に出す一方、給気は自然に行っているだけなんです。フィルターを付けてないことも多く、花粉を含んだ空気がそのまま室内に入ってきます。それに、電気代やファンの騒音を気にして、電源を切ってしまうお宅も少なくないんです」という黒岩さん。
「十分な換気をするなら、部屋の壁に、基準値の能力を上回る大きな開口を持つ吸気口と、大きな送風量をもつ換気扇付きの排気口を設けるといいでしょう。花粉などは重力で下に落ちますから、吸気口は高い位置に、排気口は低い位置に作る方が効率的です。給気口にはHEPAフィルターなどを取り付けると花粉の侵入を抑えられます」
また、LIXILには「エアマイスター」という熱交換換気と空気清浄の2つの機能を持たせた製品があります。
室内の壁材を張り替えてクリーンに
花粉が室内で舞わないようにするには、第2回でお伝えしたように「静電気対策」も重要になってきます。ところが、カーテンやソファ、衣類などに対策をしても、部屋の壁が静電気を帯びやすい素材だと、壁に花粉が付着して効果は半減してしまいます。
「静電気を抑える壁材や、乾燥を防ぎ、調湿性を持った壁材に変えるのはとてもいい解決策です」
LIXILでは、1ナノメートル(1mm の100万分の1)という非常に小さな孔があいた「エコカラット/エコカラットプラス」という壁材があります。寝室やリビングルームなどの壁を樹脂系の壁紙からエコカラットに替えることで静電気が起きにくくなり、適度な湿度を保ってくれます。リビングなどで洗濯物を部屋干しする場合にも、余分な水分をエコカラットが吸い取ってくれます。
玄関周りを花粉・コロナ対策仕様にリフォーム
第1回で紹介したように、花粉症対策の一番のキモは「花粉を玄関で落として家の中に入れない」ことです。そのために、ぜひ玄関周りのリフォームをおすすめします。
まずは、外の空気に触れるコート、帽子などを掛けたり、鞄を置くスペース。花粉を吸い取るためのハンディ掃除機なども収納できるとより良いでしょう。この程度なら、セルフリフォームでもできそうです。お気に入りのコートフックを探したりするのも楽しいですね。
玄関の壁や床には、LIXILの高機能タイル「アレルピュア」を貼るのがおすすめです。
アレルピュアにアレルゲン溶液を滴下し、一定時間後にその溶液を回収したところ、アレルゲンの働きを低減した実験結果もあります。
黒岩さんは玄関に手洗い場を設けることもすすめます。
「玄関付近には浴室や洗面所、キッチンなどがあることが多いので、給排水の配管工事もさほど大変ではありません。お湯が出ればなお一層良いですね」
このリフォームなら、玄関で手洗いやうがい、顔についた花粉を洗い流すこができます。マスクを洗って干したり、めがねについた花粉を洗い流すことも可能です。
これらの行動が玄関ワンストップで行えるようになれば、家の中に花粉を持ち込むことはさらに減らせるでしょう。
洗濯物を室内干しできるようにリフォーム
洗濯物を干すときに、室内干しにすることも重要です。外に干すと服には花粉が付着します。LIXILでは、浴室用ランドリーパイプや、室内用の物干しなどの製品を揃えています。また、「サニージュ」シリーズなど、テラスを囲って室内干しのスペースにリフォームをするのもおすすめです。
花粉症は、それまでなんともなくても、ある日突然症状が出ることがあります。コロナ禍での花粉の来襲におびえている方もたくさんいると思います。けれど、きちんと対策を講じれば、花粉にもコロナにも負けない、快適な生活を送れることでしょう。
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