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家での花粉症対策の基本は室内に花粉を入れないことですが、コロナ禍のもと、こまめな換気が求められ、どうしても完全には防げません。建築家の黒岩哲彦さんにお話を伺いながら、どうしたら快適に暮らせるのかをご紹介します。
家の中は、昼間は人が動くので、花粉も部屋の中で舞いやすくなります。
「花粉はある程度重さがありますので、徐々に、落下していくといわれています。特に人が動かなくなる夜は、部屋の空気の動きが少なくなるので、床の上に積もるのです」と黒岩さん。
布団で寝るよりベッドで寝た方が花粉症の症状が軽くなるのは、夜は花粉が床に近いほど増えるからです。布団で寝ている方は、すのこを敷いてかさを上げたり、ベッドに変えてみたりするのもひとつの手かもしれません。
夜の間に床に落ちた花粉は、朝になって人が活動を始めると、再び舞い上がります。そうなる前に、掃除機で吸い取ってしまいましょう。最近の掃除機は、空気清浄機同様にHEPAフィルターを採用している製品があります。こうした機種なら、再び部屋の中に花粉がばら撒かれることはありません。
「フローリングの場合、濡れモップなどのお掃除用具で拭き掃除を行うのもいいでしょう。溝を丁寧に拭くことが大切です」と黒岩さん。
カーテンは静電気を帯びやすく、窓から入ってきた花粉が付着することがあります。粘着式のクリーナー、いわゆる「コロコロ」を使って花粉をこまめに取り、静電気を防止できる花粉クリーナーなどをスプレーしましょう。ソファなども同じ方法で花粉を取り除けます。
花粉を鼻の粘膜や目に入れないことで、花粉症の症状はかなり抑えられます。
例えばめがね。目を完全に覆わない一般的なめがねでも、50%の花粉をシャットアウトできます。花粉用のフード付きめがねなら、さらに効果は高まります。普段コンタクトを使う方も、この季節はめがねがおすすめです。めがねが不要の方には、度が入っていない花粉用のゴーグルもあります。
そして、口や鼻を守るのに効果的なのは、なんといっても「マスク」です。ウイルスに対する性能は落ちるといわれるウレタンマスクでも、花粉対策には十分です。
また、鼻の穴の中に花粉シャット用の軟膏やワセリンなどを塗るのも極めて効果的です。粘膜を物理的にコーティングしてくれるので、花粉がもし鼻の中に入っても粘膜にはつきません。花粉用の軟膏の中にはミント成分が入っているものもあり、鼻がスースーして快適です。
早い人は、2月の初旬から花粉症の症状が現れはじめます。まだ寒い季節なので暖房は必須ですが、エアコンを使うとどうしても部屋の中に大きな空気の対流が起き、花粉が舞ってしまいます。
「ファンを使わないオイルヒーターなら、上昇気流は起きますがエアコンのようにファンで風を起こさないので花粉が舞うのを減らせます。また、加湿も大切です。加湿器を使って部屋の湿度を50%~60%くらいに調節するといいでしょう」
花粉は湿気を吸って重くなり、床に落ちます。また花粉で荒れた喉や鼻の粘膜ケアにも適度な湿気は必要です。換気時に入ってきてしまう花粉にも、こうした対策を取ることでかなり症状を抑えることができるでしょう。
次回・最終回は、花粉症のためのリフォームを考えてみましょう。
くろいわあきひこ。東京理科大学工学部建築学科卒業、建築家・一級建築士。 エクセルギーハウス開発者。太陽熱や雨水、風の力など自然を活かし、低エネルギーの建築物を設計する。東京建築賞優秀賞、サステナブル・ハウジング賞などを受賞。 著書「エクセルギーハウスをつくろう」「雨の建築学」など。
文◎坂井淳一
写真◎Shutterstock
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人の出入りとともに、空気も出入りする玄関は、人間で言えば「口」や「鼻」のような場所。人が空気の汚れ、ニオイを防ぐためにマスクをするように、玄関での脱臭、除菌について再度LIXILは考えてみました。