2021春 ウィズコロナの花粉症対策 [第1回]

家の中に花粉を入れないために

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花粉は玄関で落とす

 室内での花粉症対策としてもっとも有効なのは、花粉を家に持ち込まないことです。今年はコロナ禍ということもあり、「窓を開けてこまめな換気を」といわれています。しかし、従来の生活スタイルのなかでも花粉は侵入していました。まずは、その対策から徹底しましょう。

「窓を開けない限り、花粉が家に入り込んでくる最大の入り口は『玄関』です」と話すのは、高エネルギー効率の建築やリフォームを手がける建築家の黒岩哲彦さん。

「現代の住宅は気密性が高いので、窓を閉めて、給気口に適切なフィルターをつけていれば、さほど花粉が入ってくることはないといわれています。しかし、人が出入りするたびに玄関のドアが開きます。花粉が侵入するのはまさにここからです」

 黒岩さんによると、帰宅時に玄関で花粉を落として、家の内部に持ち込まないことが花粉症対策の基本だそうです。

帰宅時のポイント

 では、家の中に花粉を持ち込まないためには、帰宅した時、具体的にどのようなことに気をつければいいのでしょうか。ポイント別に対策法を見てみましょう。

1)花粉が付着したものは脱ぐ
 帰宅したら、まず玄関で帽子やコート、ジャケットを脱ぎます。玄関にクロークや収納がない場合は、コート掛けやコートハンガーなどを玄関に置くのがおすすめです。これで服の表面についた花粉は家の中に入り込みません。

 花粉を落とす作業も大切です。ハンディ掃除機や静電気が起きにくい洋服ブラシを使うといいでしょう。静電気が発生すると、花粉はうまく落ちません。

2)マスクやめがねも外す
 花粉症はもちろん、今やコロナ対策のために必須のマスクも、外側には花粉がたくさん付着しています。マスクも玄関で外し、リビングルームやベッドルームには持ち込まないようにしましょう。また、めがねなどにも花粉は付着しているので、外して洗うと良いでしょう。

3)手洗い、うがいを確実に
 むき出しの手には花粉が付着している可能性があるので、帰ってきたら、石けんを使って丁寧に手洗いをしましょう。コロナ対策としても極めて有効です。そして、うがいをすれば口の中に入ってきた花粉やウイルスも洗い流せます。洗顔もとても有効です。

 こうしたことを習慣づければ、家の内部に花粉が入り込むのはかなり防げます。

コロナ対策の換気はTPOを考えて

 厚生労働省は、コロナ対策として1時間に2回以上窓を全開にして行うこまめな換気を推奨しています。しかし、花粉が飛散する季節に何度も大きく窓を開けて換気をすると、当然、花粉が大量に部屋の中に入ってきます。70m2程度のマンションで窓を全開にして1時間換気をすると、侵入する花粉の量は約1,000万個にもなるそうです。けれど、その窓の開け幅を10cmにして網戸とレースのカーテンを閉めれば、その量は50%~25%に低減できます。

「コロナ対策はご存じの通り、まだ科学的にもよくわかっていません。ですが、窓を細く開けることが花粉の通過をかなり抑えるという事実から、反対に、窓を細く開けることは、ウイルスが室外へ出て行く量も少なくしてしまう可能性があると想定しておいた方が、安全と思われます。

 そこで、一人でいるときは窓を細く開けて花粉対策をし、複数人ですごすときは、できるだけ窓を大きく開ける、といった『TPO換気』が良いのではないか、と思います」と黒岩さん。

空気清浄機は効果的?

 花粉の大きさは直径30~40μm(マイクロメートル)、ウイルスの大きさは0.1μmです。HEPAフィルターの規格は、直径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率なので、コロナウイルスに対しては限定的ですが、花粉対策には有効です。空気清浄機を利用する際は、リビングルームに加え、さらにもう一台、ドアで隔てられた玄関に設置するのがおすすめです。玄関に漂う花粉が部屋の中に入る前にカットするというわけです。

 次回は、「人」の花粉対策についてお伝えします。

≪お話を伺った方≫

黒岩 哲彦さん

くろいわあきひこ。東京理科大学工学部建築学科卒業、建築家・一級建築士。 エクセルギーハウス開発者。太陽熱や雨水、風の力など自然を活かし、低エネルギーの建築物を設計する。東京建築賞優秀賞、サステナブル・ハウジング賞などを受賞。 著書「エクセルギーハウスをつくろう」「雨の建築学」など。

文◎坂井淳一
写真◎Shutterstock

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