経験者に学ぶ! DIYリノベで作る「自分が主役の暮らし」[第1回]

工具を持つ前に「理想の生活イメージ」を固めよう

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オリジナル住まいづくりの
経験者に直撃!

「DIYリノベって興味あるけど、難しそう」「どうすればよいか、イメージが湧かない」といった不安や疑問を感じている人も多いのでは。「私も同じ悩みを抱えていました」と柔和に話すのは、一軒家を自らの手で全面リノベーションした川名恵介さんです。

 川名さんは、古い和の空間を、広々としたカフェ風インテリアに大変身させたセンスと、それを形にできる腕の持ち主です。現在は自らの体験をいかし、ブログとYou Tubeで、お役立ちDIY情報を発信しています。

 DIYリノベに乗り出したのは、6年前のこと。
 祖母が介護施設に入ったのを機に、空き家になった東京都墨田区にある築25年の木造住宅に転居したことがきっかけです。
 当時、奥さんは里帰り出産中で、「奥さんと赤ちゃんを新しい家で迎えよう」と、ほとんど一人で、3か月ほどで完成させました。

 DIY経験豊富だったからできた技なのかと思いきや、それまで電動工具をにぎったこともない、ゼロからの出発だったのです。

 第1回は、川名さんにとっての理想の生活や、工務店への依頼ではなく「DIY」を選択した経緯などをうかがい、私たちの暮らしに生かせるヒントを探っていきます。

自分にフィットする空間を手作りしたい

 DIYリノベの検討者のなかには、「工費を浮かせたい」と考える方もいることでしょう。
 しかし、川名さんが家を手作りで改装したいと思った理由は、節約意識からだけではありません。5軒ほど引っ越した経験から、「日本の住宅事情に対する不満が積もり、それを解消するには自ら手を加えるのが早い感じたから」と語ります。

「どの家も似たりよったりで、個性がない。引っ越して変わるのは、窓から見える景色ぐらいに思えました。人がモノのように扱われている感覚というか、量産型の"箱"に入れられているようで、うんざりしてたんです。

『家に自分が合わせるのではなくて、自分に合う家が欲しい』という気持ちが、高まっていきました。“住む人間が主役となる”心地よい暮らしを実現するために、DIYリノベはぴったりの手段だったんです」

 なぜDIYリノベが適しているかというと、家族の「理想」に合わせて、住まいを自分の手で気軽にアップデートできるからだと、説明してくれました。

「例えば、天井の高い家にずっと住みたかったので、天井板を取りはらいました。他の家では感じられない解放感で、家に帰るたびにスカッとします。天井の梁が見えている感じも、普通の家にはない特徴なので、“自分だけの”という満足感を味わえます」

 また、自分の暮らしを手作りできる人への憧れが、川名さんをDIYリノベに駆り立てました。
「昔から、『家具を作れる人ってすごい』と、思っていました。ものづくりの力をつければ、どこに移り住んでも、自分の好きな空間を手作りできます。生きる力が欲しかったんです」

理想の暮らしを実現するために、
必要な準備

 いざ、DIYリノベを始めようと思った時に、初心者にとってハードルになるのが、ものづくりのスキルです。しかし、初心者でも「やる気さえあれば、軽いノリで始めても何とかなる」と、勇気づけてくれる話をしてくれました。

「途中で、『やっぱりできない』と思ったら、プロにまかせてもいい。私も、わからないところは施工のプロにアドバイスを受けられるサービスを利用したり、電気工事は職人さんに依頼したりしました。

 プロのように仕上げられなくても、自分の手で作った部屋は愛おしく感じられます。例えば、漆喰塗装で、ちょっと失敗した痕跡を見ても、当時、奮闘していた自分の姿が思い出されて、温かい気持ちになるのが、DIYリノベのよさです」

 その一方で、始める前におさえておきたい下調べや準備については、
「一番大切なのは、好みのテイストや、叶えたい暮らしを、具体的に固めていくことです。甘く考えがちな工程だけど、何がしたいかのイメージがぼんやりしていると、設計図を描けないし、何を準備すればよいかもわかりません」と、川名さんは指摘します。

 続けて、「自分の好きなインテリアや、テイストって意外と自分でも理解しきれていない。ものづくりに落とし込むために重要なのが“何がしたいかについて、解像度を高めていくこと”です」

 DIYリノベに限らず、プロに改装依頼する場合でも、自分のイメージを具体的に伝えられないと、「想像と違う」といったトラブルの原因になります。
 では、川名さんは、「叶えたい生活像」を、どのように具体化していったのでしょうか。

「まずは、いろいろな事例写真を見るようにした」と、川名さん。
「写真共有サイトのPinterest(ピンタレスト)には、空間の写真がたくさん載っているので、自分の好みを知るのに役立ちました。
そして、好きなテイストの部屋を見つけたら『どのような色や素材が、どのような場所に使われているか』など、写真の細かいところまで観察していきました」

 川名さんがPinterestを参考に仕上げた箇所の一つがリビングの窓枠です。
「うちの窓枠は、もともと木材の色がそのまま見えていましたが、壁と同じ色で窓枠を塗り潰した部屋を見て『ああ、こういう仕上げもアリなんだ』と気づいたんです。それで、見よう見まねでやってみました」(川名さん)

窓枠を壁と同じ白で塗装している。

DIY前の窓枠。比較すると印象の違いが明らかだ。

 おしゃれなカフェのインテリアも、DIYの手がかりになるそうです。
「お店に足を踏みいれて『この雰囲気いいな』と思ったら、壁や床の色や素材、家具や小物の使い方を吸収しようと、常に意識していました。例えば、『フローリングに無垢材を使うと、本格的な雰囲気になるな』とか。そこで得た気づきを、この部屋にも盛り込んでいます。」

「自宅でも真似できないかな?」という視点で写真やショップを観察すると、暮らしのアイディアであふれていることに気づきます。

 住まいのコンセプトが定まったら、いよいよ実践。
 はじめてのDIYには、「壁に穴を開けるのが恐い……」「自分でペンキを塗ってもうまく仕上がるのかな……」などという不安がつきものですが、作業プロセスと知識があれば大丈夫。
 次回、川名さんが進めたDIYリノベの流れと、用心すべきポイントについて伺います。

お話を伺った方

川名恵介さん

1986年、東京生まれ。築25年の一軒家をセルフリノベーションしたDIYリノベの名人。奥さん、5歳になる息子さんとの3人家族。「自分の経験が誰かの役に立てば」という思いから、DIYブログ「99%DIY」や、You TubeなどでDIY情報を発信中。
https://99diy.tokyo/

文◎井口理恵 撮影◎平野晋子

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