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住空間にアートを取り入れるなら、なにも有名アーティストの絵や写真、陶器でなくてもかまいません。趣味で集めている小物、子どもが描いた絵など、家のなかにあるものでも、飾り方の工夫ひとつで立派なアートになるからです。一級建築士&インテリアコーディネーターの淀川美和さんに、ご自身が手がけた事例を交えながら、身近なアイテムをアートに変身させるアイデアを伝授していただきました。
何でもない写真やポスターをアートに変えてくれる魔法のアイテム、それが額縁(フレーム)です。
下の写真①は、子どもの手形をマット(額縁のまわりにある余白)に入れて飾ったものです。マットに入れるだけで、子どもの手形が立派な「アート」に変身していますね。
「マットのような額縁を使うと、実際の大きさよりもひとまわり大きく見せることができます。この方法なら、普通のポストカードでも、お値段以上に素敵なアート作品として見せることができますよ」
写真②は、レコードジャケットを専用のフレームに入れて飾った様子です。フレームに入れて飾ることで、レコードジャケットのアート性がより際立っています。
写真③は、壁紙の張り替え工事の際に余った壁紙を、フレームに入れて飾った例。
「捨てることの多い余った壁紙も、フレームに入れて同じ部屋に飾るだけで、お部屋の雰囲気がおしゃれになります」と、淀川さん。
同じ要領で、布や包装紙、カレンダーの絵なども、フレームに入れるとグレードアップして見せることができます。
絵や写真に限らず、趣味で集めている小物やおもちゃを飾ってみたいという方もいるでしょうが、「オブジェを飾るのは、絵に比べて難しいんですよ」と、淀川さん。
「失敗しない飾り方は、本棚やキャビネットのようなカウンターに飾ること。なかでも、玄関の下駄箱の上はオブジェを飾る絶好のスペースで、『玄関に飾りたい』というご要望をたびたびいただきます」
オブジェを棚ではなく、壁に飾ってみたいという方もいるでしょう。オブジェで壁を飾ったインテリアは「ウォールデザイン」と呼ばれ、海外のインテリア写真を見ていると、自由な発想で壁をデコレートしている事例がたくさん出ています。
これから手軽にウォールデザインをはじめるなら、100円ショップでも手に入る「有孔ボード」を使うのがおすすめです。「有孔ボード」とは、フックがかけられる穴があいたボードのこと。フックにオブジェをかければ、簡単にウォールデザインが完成します。
また、LIXILのアクセントボードもウォールデザインの強い味方です。マグネット対応なので、釘穴や糊残りを気にすることなく壁をデコレートすることができます。
最後に、やや難易度の高いオブジェのインテリアをご紹介します。
下の写真は、外国人向けの宿泊施設として、アパートを和モダンなオブジェで飾った事例です。外国人向けのインテリアとして、兜や刀、扇子を飾ったという淀川さん。和モダンなデザインの壁紙も相まって、アパートの一室が異空間へと様変わりしています。
以上、全3回にわたって「アイテムひとつで『アートな家』になる!」をお届けしました。
家は住みながら完成させていくものだといわれており、5年ほど経った時にようやく居心地のいいパターンが見つかることも少なくないそうです。
アートも同じで、「暮らしに取り入れながら少しずつアレンジしていくことが大事」と、淀川さんは言います。ぜひ、住空間にぴったりな作品や、しっくりくる配置が見つかるまで試行錯誤をしながら、アートのある暮らしをお楽しみください。
一級建築士、インテリアコーディネーター、2児のママ。「ママをきれいにする空間づくり」 をミッションの一つに掲げ、住宅・店舗・ホテル等の設計、内装コーディネートを行う。自身も仕事と家事と育児のバランスをとりながら、忙しいママがいかに快適に家族と暮らせるかに焦点をあてつつ「お部屋のコンシェルジュ」として皆さまのお役に立てるよう奮闘中。
文◎八木麻里恵
画像提供◎淀川美和