アイテムひとつで「アートな家」になる! [第1回]

今年こそ「芸術に触れる暮らし」を!

空間
リビング・寝室・居室
関心
ライフスタイルデザインリフォーム

暮らしを豊かにするアートの魅力

淀川さんがリビング空間のインテリアを手掛けた事例(左:アートなし/右:アートあり)。黄色のアートが部屋のアクセントとなり、華やかな雰囲気に。

 過ごしやすい気候の秋は、アート鑑賞にぴったりです。とはいえ、今年はコロナ禍の影響もあり、外出先でゆっくりアート鑑賞をするのが難しいという方もいるでしょう。

 そんな方におすすめしたいのが、住まいにアートの要素を取り入れることです。インテリアコーディネーターとして空間づくりを提案する際、インテリアに合ったアートを一緒に選ぶことも多いという淀川さんは、アートのある住まいのよさを次のように語ります。

「住まいにアートをひとつプラスするだけで、住空間の雰囲気、居心地がより良くなります。また、インテリアに合ったアートを選べば、インテリアがより素敵に見えるという効果もあります」

 アートを取り入れることは、住まいの個性を表現する手段でもあるそうです。

「マンションや建売住宅など、間取りも壁紙もまったく一緒の家でも、アートを飾ることで自分らしさを演出したり、個性的な空間をつくったりできます。リフォームなどの大掛かりな工事を必要としないのも嬉しい点です」

 さらに、精神的な充足感を得られる可能性もあるといいます。

「人は心地よいものに囲まれていると、精神的にリラックスできるといわれています。最近では新型コロナウイルスの関係で免疫力というワードがフィーチャーされる機会が増えましたが、アートによって住空間が心地よいものになれば、リラックスすることでストレスが軽減され、さらには免疫力がアップする効果も期待できるかもしれません」

 プラスアルファの要素として、アートには「非日常の気分を味わえる」というメリットがあるそうです。

「カフェやホテル、リゾート施設などでは、非日常な空間を演出するためにアートが使われていることがあります。自宅でも、アートによって非日常な空間をつくることは可能です」

 在宅ワークをされている方も多いと思いますが、「自宅のワークスペースに飽きてきた」という方にもアートはおすすめ。好きなアートをひとつ飾ってみると、非日常的になり、新鮮な気持ちで仕事に臨めるかもしれません。

初心者におすすめなのはトイレ

「アートのある暮らし」をはじめると決めたら、アートを飾る場所を決めましょう。ここではアートを飾るおすすめの場所をいくつかご紹介します。

玄関

 家族が帰ってきて最初に見る場所であり、お客さまをお迎えする場所でもある玄関には、見た人の気持ちが明るくなるようなアートを飾るのがおすすめです。

リビング

「リビングは家族が一番長く過ごす場所であるからこそ、インテリアとの調和性を意識することをおすすめします」と、淀川さん。インテリアがナチュラルであれば、アートもナチュラルなもののほうが、部屋の雰囲気を損ねないでしょう。

寝室

 家のなかで最もプライベートな場所であり、休息する場所でもある寝室。ヒーリング効果を求めるなら、やさしい気持ちになれるようなアートや、自分の好きなものを飾るといいそうです。

廊下

 限られたスペースに、ごちゃごちゃしたデザインのアートを飾ると、空間が狭く見えたり、圧迫感を感じたりすることがあります。調和させるためには、シンプルなデザインのアートを飾るのがおすすめです。

トイレ

 淀川さんは、アート初心者が住空間にアートを取り入れるなら「まずは小さい空間から飾ってみるのがおすすめ」と提言しています。なかでも、一番ハードルが低いのがトイレだそうです。

「トイレは家のなかでも小さく、限られた空間です。たとえ家の雰囲気に合わないアートを選んでしまったとしても、他の部屋への影響がありません」

 下の写真は、淀川さんが手掛けたトイレの事例です。壁にアートを一枚飾るだけで、おしゃれな空間に様変わりしていますね。アート初心者の方は、まずはトイレにアートをひとつ飾ってみるところからはじめてみてはいかがでしょうか。

「壁紙が紫色ベースで大人っぽい感じなので、モダンで落ち着いた印象のアートを選びました」と、淀川さん(左:アートなし/右:アートあり)。

(第2回に続く)

〈お話を伺った方〉

淀川美和さん

一級建築士、インテリアコーディネーター、2児のママ。「ママをきれいにする空間づくり」 をミッションの一つに掲げ、住宅・店舗・ホテル等の設計、内装コーディネートを行う。自身も仕事と家事と育児のバランスをとりながら、忙しいママがいかに快適に家族と暮らせるかに焦点をあてつつ「お部屋のコンシェルジュ」として皆さまのお役に立てるよう奮闘中。

文◎八木麻里恵
画像提供◎淀川美和

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