住まいの困りごと解決【収納編】

【第4回】家の不満 「収納問題」クローゼットの新常識!

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クローゼットの新常識は 「上にボトムス、下にトップス」これで収納容積が増える!

上にボトムス、下にトップスで収容力UP!

これまでは収納を飛躍的に変える「350㎜の法則」についてと「L字使いの棚板」についてのメリットをお伝えし、ウォークインクローゼットから物入れまで、4つのタイプで収納スペースをアレンジできるのがヴィータス パネルとご紹介させていただきました。最終回は、「ムダな空間を無くしたい」という要望に、ヴィータス パネルがどれだけ答えられるか、解説します。 

ヴィータスパネルは、住まい方アドバイザーの近藤典子さんが提唱した「350㎜の法則」に基づいて、350㎜間隔で棚板が入れられるようになっています(詳しくは第1回)。棚板やパイプを受けるレールは、手前から奥まで1本でつながっているため、棚板やパイプは好きな場所に固定できます。
「これにより自由度が上がりました」と話すのは、ヴィータス パネルを開発したLIXILの倉田昌和。生活スタイルや持ち物の変化に合わせて、棚板やパイプを動かせるのは、確かに便利そうです。 

LIXILの開発チームでも、実際にどんな使い方が考えられるのか、近藤さんが蓄積してきたパターンをもとに、シミュレーションを行いました。その中で倉田が印象に残っていると話すのが、「クローゼットタイプ」で提案する「上のパイプにボトムス(ズボン)、下のパイプにトップス(上着)をかける」ということでした。(ヴィータス パネルのタイプについては第2回を参照) 

ボトムスの奥に棚が!

ボトムスを上にすることで、奥行きを有効活用できる!

「最初、上にトップス、下にボトムスではないのかな、と思いましたが、実際にやってみたら、上のボトムスも下のトップスも、腰をかがめたり背伸びしたりすることなく、ラクに出し入れができたんです」と、倉田さんは感動した様子。
近藤さんによると、洋服についても、長さや奥行きなどの「サイズ」をしっかり押さえることが、整った収納につながるのだそうです。 そこで、収納の「上」と「下」の役割分担について説明しておきましょう。 通常のクローゼットは、高い位置にパイプが1本取り付けられているだけですが、ヴィータス パネルであれば、下から3段目(床から1090㎜)と、5段目(床から1830㎜)の2カ所にパイプを取り付けます。 

このうち、下にトップスを、上にボトムスを掛けて収納するのです。 ボトムスはハンガーに二つ折りにしてかけたとき、長さは約70㎝になります。対してジャケットは約90㎝、シャツは100㎝以上になります。 
「短めのボトムスを下に吊るすより、若干長めのトップスを下に吊るしたほうが、無理なく取り出せます。開発チームで実際に試してみて、『確かにトップスは下の方がラクだ』と気づきました」(倉田) 

「ボトムスが上」のメリットはそれだけではありません。ボトムスはトップスよりも幅が少ないので、そのぶん空間が生まれます。 平均的な幅は、トップスが600㎜、ボトムスが400㎜です。つまりボトムスを収納する上段に、奥行き200㎜の棚を取り付けることができるのです。

ボトムスを下にすると、同様に棚を取り付けても低い位置になり、モノを取り出す際はかがまなくてはなりません。その意味でも、「ボトムスが上」がいいのです。

近藤さんは「洋服の収納は吊るすか畳むかのどちらかですが、ハンガーに掛けて吊るして保管するのがベスト」と指摘します。 

「シワになりにくいし、型崩れしにくい。それに傷みにくいですし、出し入れしやすく、管理しやすい。いいこと尽くめです。それなのに、多くのクローゼットはパイプが1本しかついていないので、すべての服を掛けることが難しかったんです。ヴィータスパネルなら、そんな悩みも改善できます」(近藤さん) 

暮らしに寄り添い、進化し続ける収納システム

お話をうかがった(左から)近藤典子さん、LIXILの倉田昌和、金子寛子

ヴィータス パネルで空間を有効活用することによって、しかるべき収納ができたことにより、新たな空間が生み出される可能性もあります。 

「空間ができたら、そこにフロアーランプを置いてみたり、それまでの生活では考えられなかったものが置けるようになります。部屋の楽しみ方も変わって、豊かな暮らし方ができるようになりますよ」と近藤さん。 

近藤さんは、ヴィータス パネルによって「部屋が活きてくる」とも表現します。うまく使えなかった空間や部屋が活かされることは、安心安全な暮らしにもつながると言います。

「モノは活かさなくては意味がありません。ブランドの洋服や食器、本を買っても、それらを収納する場所が整っていないと、モノは活きてこないのです。しっかりと収納のベースづくりをして、モノの管理の仕方を学んでおけば、そこに入れたモノたちが活きてくるでしょう」(近藤さん)

1人暮らしから結婚して2人になって、子どもができて家族が増えて、やがて子どもは独立してまた夫婦2人暮らしになり……と、ライフステージに合わせて、必要な家のサイズやモノの数は変わります。収納のスタイルも変わらざるを得ないのです。 

「ですから、新築やリフォームをしてから1、2年経って、『ああすればよかった』と後悔するのは当たり前。将来、どう住まうかなんて、誰にもわからないのですから。ただ、起こりうるいろんなパターン、いろんな状況に、自由自在に合わせられればいいのではないでしょうか。そうしたいろいろな変化に寄り添ってくれるのがヴィータス パネルだと思います。今後もヴィータス パネルは進化していくでしょう」(近藤さん) 

LIXILの開発チームによると、すでに「ヴィータス パネル進化計画」が着々と進んでいるといいます。次世代の収納スタイルがどうなっていくのか、今後の展開が楽しみです。 

お話を伺った方

近藤典子さん

住まい方アドバイザー。約30年にわたり暮らしの悩みを解決し、その経験から生み出された収納や家事動線、掃除術などわかりやすい暮らし提案が好評。メディア出演や講演会、ヴィータスパネルやオリジナル商品など企業との商品開発、間取り監修など幅広く活躍。著書は累計部数400万部以上、海外での翻訳本も多数。資格取得もできる「住まい方アドバイザー養成講座(東京・大阪)」を開講中。 

編集協力:株式会社プレジデント社 ライター 江頭 紀子 撮影 加々美 義人

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