LIXIL浄水カートリッジ「おいしさ」の秘密[第1回]

小さな浄水カートリッジに詰まった驚くべき技術

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関心
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カートリッジの中身はこだわりの天然素材
数ミクロン単位で活性炭をブレンド

 スタイリッシュな水栓に収められたコンパクトな浄水カートリッジには、水道水の不純物や有害物質をろ過・吸着するだけでなく、おいしさを作り出す秘密がたくさん。約11cmと片手に乗るほどのサイズの中には、いったい何が詰まっているのでしょうか?

「浄水カートリッジのコアとなる、セラミックフィルターは土から生まれて土に還る天然素材です。窯業の歴史を築いた旧INAX時代からのノウハウと技術が詰まっています」

 開発を手掛ける田崎氏によると、安全と安心を届けるには、まずは素材が重要。LIXILの浄水カートリッジに使用する芯材は、SIAA(抗菌製品技術協議会)に認定された抗菌性の高いセラミックを使用。そこに自社でブレンドした活性炭フィルター、さらに不織布フィルターが層をなして構成されています。

 浄水カートリッジと水栓を国内自社開発しているからこそ実現可能な小型化。そして小型ながらもこれまでの2倍の長寿命を両立した技術には、活性炭の“設計と管理”がカギになっていると田崎氏は語ります。

「活性炭の粒は原料によって吸着する物質が違うので、ブレンドする技術が重要になります。ブレンドは数ミクロン(1mmの1000分の1)単位で行われます」

肉眼では見えない緻密な活性炭の“設計”とは

 数ミクロン単位という、肉眼では確認できない活性炭の粒。その設計には苦労がたくさんあるそう。

「活性炭の粒を細かくすると隙間が小さく密になり、有害物質の除去性能は上がりますが、そこを通る水の流量は減って使いにくくなってしまいます。逆に粒を大きくすると水の流量は増えますが、活性炭同士の隙間が大きくなり除去性能が落ちてしまう。この絶妙なバランスを設計することは非常に大変です」

 高い除去能力を有する活性炭の緻密な設計と、快適に使用できる水の流用のバランスをどう取るのか。中身の見えないこの小さなカートリッジの中には、「お客様に快適に安心してお使いいただきたい」という、開発者の思いが詰まっていました。

自社内で行うから実現できる
「超純水」を使用した通水検査

「見えないからこそ」徹底される検査は、「安全と安心」を生み出すための大きなこだわりのひとつです。

 LIXILでは、自社内に検査研究機関を整備し、超純水(不純物を取り除いた極めてレベルの高い水)を使用した通水検査を実施しています。

「ひとつのカートリッジの開発には1年半から2年はかかります。製造までには活性炭のブレンドを調整するたびに、カートリッジの通水検査を数百回は繰り返します」

 繰り返される検査の手間と根気を想像するだけで「気が遠くなりそうですね」と尋ねると、田崎氏は笑顔でこう語ります。

「もちろん大変ではありますが、全てはお客様に安心でおいしい水を快適に使っていただくために必要なことです。“これでもういい”と諦めず、除去できる物質と性能を高めていったことで、PFAS(ピーファス)の一種である、PFOS(ピーフォス)及びPFOA(ピーフォア)もLIXILのすべての浄水カートリッジで除去(※OEM品、浴室用浄水カートリッジは除く)できる性能を有していることもわかりました」

 PFOS・PFOAとは、自然界に存在しないはずの有機フッ素化合物のこと。近年、この化学物質は、発がん性や子どもの発育への影響など、人体への影響がある有害性を持つと懸念されています。

 LIXILの浄水カートリッジは、水道水の「水質管理目標設定項目27項目」に設定されたPFOS及びPFOAの濃度の水を各浄水器で80%以上除去できることを、第三者試験機関にて確認しました。(※浄水器協会自主規格※1による試験に準ずる)

浄水カートリッジ 除去物質一覧
https://store.lixil.co.jp/cartridge/performance.html
浄水カートリッジのPFOSおよびPFOA除去試験結果のお知らせ
https://newsroom.lixil.com/ja/20230901_02

おいしさを「味覚センサー」で数値化
有害物質を取り除いてもミネラルは残す

 安全で安心な水を生み出すLIXILの浄水カートリッジですが、「おいしい」理由はどこにあるのでしょうか?

「フィルターで不要な有害物質を除去しながらも、水の味を“おいしい”と感じるミネラル分(マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムなど)は残る設計になっています。なので雑味はないのにまろやかなおいしい水になるんです」

 徹底した検査は水質だけでなく「おいしさ」にまで及びます。LIXILでは自社内に「味覚センサー」を導入し、味覚を数値化しておいしい水を追求する研究も進めているそう。

「世界水の日」に考える、付加価値の高い水が持つ可能性とは?
  浄水に関する新たな自社研究結果を発表

https://newsroom.lixil.com/ja/20230317_01

 30~40代女性を対象にした調査(※)では、LIXIL浄水・国内製ペットボトル水・海外製ペットボトル水・水道水の飲み比べを実施したところ、「LIXIL浄水が最もおいしい」という結果も。雑味がないだけでなく「おいしい」という確かな評価も調査に現れています。

※関東地区在住の30~40代女性106名に、4つの水を飲み比べて頂き、最も美味しいと感じた水を選定。LIXIL浄水は、水道水をオールインワン浄水栓(浄水カートリッジ:JF-22)にて、浄水したものを使用。

 家庭の水栓使用を快適に、こだわりの浄水カートリッジで「おいしい水を届けたい」と語る田崎氏。「時代とともに求められる新しい機能や形状の浄水器はLIXILから出していきたい。“浄水といったらLIXIL”と世界的に言われるように」と、飽くなき開発への思いを明かしました。

 次回は、どのように浄水カートリッジの安心・安全は生み出されているのか。徹底したクリーンな環境が保たれている「工場」から、おいしさの秘密を探ります。

LIXILが運営する浄水カートリッジの公式通販サイト
LIXILストア:https://store.lixil.co.jp/

≪お話を聞いた人≫

田崎弘人

LIXIL水栓事業部水栓開発部。LIXILに入社以来、浄水カートリッジの開発に携わり、オールインワン浄水栓用やビルトイン形など多くの商品を開発。現在は、海外向け浄水商品や水栓の開発に従事している。目標は「“これいいね” と思われる商品を発信し続けること!」

文◎藤本あき

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)