“動線”で人生が変わる「家事ラク」作戦[第3回]

動線で時短がかなう! キッチン収納

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キッチンの動線を見直す、
“2アクション”以内を徹底

 調理道具だけでなく、調理家電やお皿、カトラリー類といった収納する物が多岐に渡るキッチンスペース。効率的な動線を考えた、水回りや火回りの収納のポイントはどこにあるのでしょうか。

「まずは、使う場所に使いたい物が集まるように。キッチンをスッキリと使用したい場合は、シンクなどの下の収納には、包丁やまな板、洗剤のストックなどを。コンロの下の収納には、油や鍋類を。いずれも使用頻度の高い物が手前にくるようにするのが基本です。

 みそ汁を毎日作る人なら、みそ汁用の鍋は水回りに置いてすぐ取り出せるように。お米を毎日炊く人なら、米びつも水回りの下にあったほうがいいかもしれません。自分の生活ルーティンを考えてアレンジすることがポイントです。

 動線の考え方としては、自分が作業スペースの前に立って、最少の動きで家事ができるかを考えます。左右にシンクとコンロ。振り返った後ろに電子レンジや冷蔵庫など、歩数がなく届く範囲で作業ができることが理想です」

 第1回で紹介したように、必要なものを取り出す際は、“2アクション”で済むかどうかを基準に。使用頻度の高い鍋や調理器具は壁に吊るす、引き出しの取り出しやすい場所に入れるなどの、無駄を省く工夫を。

 また、キッチンの動線は回遊性の高さもポイントに。障害物を除いて移動しやすい通路幅も確保できるようにしましょう。ただ、通路の幅が広すぎると歩数も増えますので、自分に合った適度な広さを意識することも大切です。床に飲み物などのストックをダンボールのまま置いたりするのはNG。衛生面を保ちたいキッチンは何より掃除のしやすさも大切です。

LIXILの「リシェルSI」収納

ほしい道具が最小限の動きで取り出せ、軽く開いてたっぷりしまえる「らくパッと収納」。
www.lixil.co.jp/lineup/kitchen/richelle/parts/parts09.htm#parts09_01

冷蔵庫は“グルーピング”と“余白”で無駄を省く

 使いたい物を集めておく“グルーピング”は、冷蔵庫内の収納に利用することで大きな動線省略になります。

「例えば、冷蔵庫にみそ汁を作るセットを一式入れておくことでも、アクションを少なくすることが可能に。使用する鍋、みそ、出汁、具、を“みそ汁セット”としてトレイに入れておけば、その出し入れのみで済みます。

 冷蔵庫内はグルーピングが基本です、“味噌汁セット”だけでなく、いつも使う“朝食用セット”、“おつまみセット”などをグルーピングして入れておくと、物を探す手間も減り時短になります」

 冷蔵庫の収納のコツは、“満タン”にするのではなく“余白”を作ること。隙間があることで冷蔵機能も最大限に活用でき、内容も見えやすく取り出しもラクに。

「冷蔵スペースの一番下の段は一番冷える場所ですが、ここを敢えて空けておくようにすると、その日作った料理を鍋のまま入れることもできますし、いただきものをパッと入れることもできます。“空けておく”と、物をどかしたりせずに活用できるのでおすすめです」

「使いやすい」キッチン収納のコツ

 収納場所に物が溢れていると取り出しづらくなり、余計な手間とストレスもかかってしまうことに。どうしても増えていってしまうカトラリー類やお皿などの収納はどう考えたらいいのでしょうか?

「これはキッチンだけではなくすべてにおいて言えることですが、基本は物を手放すこと、そして自分の家の収納に合った物量を知ること。

 引き出しの中が空いているとどうしても埋めたくなる心理が働きがちですが、実は余白があったほうが取り出しやすく使いやすいということに気付いてください。自分が所持している物も把握できるのでムダ買いも減るし良いことづくめです。

 収納用品も、物が溢れているから買うのではなく、まずは今ある収納の中に収める(7割程度を目安に)物量を減らすことが基本ですが、それでも足りないようなら買い足すという順番にしてください」

 所持する物は“7割”を基準に考え、物を手放して余白ができたところから、本当に快適な動線が身をもって実感できると竹村さんは語ります。

 “当たり前”に行っていたことを意識して気付き改善し、自分だけのラクな家事動線を作ってみてはいかがでしょうか。

《お話をうかがった方》

竹村真奈さん

編集者、ライター、整理収納アドバイザー、ルームスタイリスト・プロ。主な著書に『整理収納を仕事にする』『あたらしい暮らしを作る。』『小さなお店、はじめました』(翔泳社)シリーズなど多数。

文◎藤本あき
画像◎Shutterstock

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