10年目のキッチン 我が家は何をすべき?[第1回]

5万円の修理費をケチって1000万円の大損!? なめてはいけない水まわりのトラブル

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機械モノは10年でトラブル発生?

「キッチンでも機械モノ、たとえば給湯器などは、だいたい10年くらいで何かしらトラブルが起こり始めます。交換部品もメーカーが製造しなくなり、なくなってきます。そうすると器具をまるごと交換しようということになります。水栓(蛇口)のゴムパッキンなども摩耗し劣化してきます。これは基本的な仕様のものであれ高級なものであれ、スペックに関係なく起こります」

 こう語るのは、神奈川県川崎市のNENGO工務店の吉﨑啓太さんです。

 もちろん、トラブル発生は使い方によっても左右されるといいます。レンジフードは最低でも年1回は掃除しないと、こびりついた油や汚れが簡単には落ちなくなりますし、頻繁に開け閉めする引き出しのスライドレールもガタがきます。

「意外に多いのが単純な施工不良で、排水口と排水管の接続が悪く、10年経つとダダ漏れで、床下がひどい状態になっていたことがありました」

保証期間を忘れず覚えておこう

「一般的に、電気機器やガス機器はメーカーによる1年保証、その他の設備や壁紙などは工務店による2年保証があります。不具合は、新築から間もないときには、1カ月点検や1年点検の際に相談すれば無償で修理、補修をしてもらえるでしょう。電気・ガス機器は、明らかに瑕疵があれば、1年を超えていてもメーカーが交換してくれます」

 ちなみに、柱や梁、雨水の浸入を防止する“基本構造部分”に関しては、工務店や不動産業者による最低10年の保証があります。雨漏りなどの基本構造部分の不都合が出た場合には、新築後10年間にわたって無償で修理してもらえます。

業者に頼むか、自分で修理するか

 水漏れといえば思い出すのが、24時間365日対応の水道修理業者さんです。水まわりのトラブル解決を謳って、チラシやマグネットなどで盛んにアピールしています。

「分譲住宅なら工務店などに連絡して対応するのがいいと思いますが、賃貸住宅で夜中にトラブルが発生したら困りますよね。オーナーさんにも管理会社にも連絡がつかず、こうした業者さんに頼んだりするわけでしょう。緊急度が高いので料金も高めですし、応急なので、永続的な修理にならなかったりします。しかし、緊急の場合は仕方ないでしょうね」

 また、個人で修理できそうな水漏れについては、
「結論からいえば、自分で修理するのはやめておいた方がいいと思います。マンションなどで失敗すると、下の階で大迷惑となったりします。業者さんなら5万円だったのに、失敗したばかりに1000万円かかってしまったなどということさえありえます」

気になる排水の臭いをどうする?

「臭いの原因で考えられるのは、1番目は自分のせいで排水口が汚れていること。2番目は、集合住宅の場合は共用部分からの臭気です。マンションなどで夏に1週間家を空けると、共用部分の臭気が入ってくることがあります。これは排水トラップと呼ばれる部分の水が蒸発したのが原因です」

 排水トラップは、排水経路の途中を水で常に遮断しておく構造です。経路を水でふさぐことで、そこから先の空気や硫化水素などのガスを遮断するのです。害虫などの排水管から屋内への侵入も防ぎます。

 排水管は専有部分と共用部分がつながっているので、区分所有者の責任なのか、マンション全体の責任なのか、明確でない場合もあります。区分所有者が勝手に修理するといったことはやめておいた方がいいようです。排水管の高圧洗浄なども下階トラブルにつながりかねないので、慎重に考えた方がよさそうです。

(第2回に続く)

お話を伺った方

吉﨑啓太さん

一級建築士。大学時代は住環境システムを学び、卒業後、工務店に就職。主にキッチンやトイレのリフォーム現場で働きながら、専門学校に入り直して建築を学ぶ。株式会社NENGOに入社後、一級建築士の資格を取得し、NENGO工務店のマネージャーに就任。施主・設計・施工など現場に関わる人々のチーム力を大切にしながら、リノベーションや新築物件の施工に携わっている。

文◎森田健司(阿吽堂) 撮影◎加々美義人
トップの写真(I邸)◎提供:NENGO

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