春に始めたい外まわりのメンテナンス[第2回]

家の外まわりのチェックと掃除

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雨樋の掃除はまず下から!

 雨樋が詰まっていると雨が降ったときに雨水がうまく流れずに溢れたり、虫や動物が住みつきやすく、巣を作ったりすることがあります。春先のまだ動物や虫の活性が低い時期に雨樋を掃除しておくことで、トラブルを未然に防げます。

 雨樋の掃除は、家の下側から始めるといいでしょう。まずは縦樋を掃除します。軍手や作業用のグローブをはめ、ホウキで縦樋の先端付近のゴミや枯葉を掃き集め、雨樋の中にもゴミがあるようならトングなどで掻き出します。

 次いで、縦樋を軽く叩きながら、中に詰まっているゴミを落とし、またトングなどで掻き出しましょう。このとき、雨樋にひび割れなどがないか確認します。ひび割れがあったら補修や交換が必要です。小さなひび割れならアルミテープやブチルテープ、コーキング剤での補修も可能ですが、見た目を考えると業者に交換・修理を依頼したほうがいいでしょう。

上からの掃除

 雨樋の下側の掃除が終わったら、屋根の縁に設置された「軒樋」に取りかかりましょう。樋や集水器にたまった枯れ葉やゴミをトングなどで取り除きます。2階のベランダなどから届く場合はベランダから、それ以外の場所ははしごや脚立などを使います。

 2階以上の屋根の雨樋は、慣れていない人が上るのは危険なので自分で掃除をするのは避けましょう。普段、雨のときに流れにくいなどの状態が確認できている場合は、業者に依頼しましょう。

 ゴミを取り除いたら、バケツなどを使って雨樋に水を流します。また縦樋の上部にゴミや枯れ葉がたまっている場合、集水器から縦樋の中をクリーニングします。ホームセンターなどで売っている3~5mのワイヤー付きブラシでもいいですし、高圧洗浄機を使ってもいいでしょう。

 ベランダや軒樋にも、たまった雨水が原因でコケやカビが発生している場合があります。高圧洗浄機を使えばこうしたものもキレイに洗い流せます。ただし、枯れ葉などのゴミをあらかじめ取り除いてから噴射しないと家の周囲に飛び散ってしまい、あと片付けが大変になります。

 高圧洗浄機は、最近は手頃な製品も出てきましたが、レンタルもできます。

外壁の傷みもチェック!

 雨樋の清掃が終わったら、次は家の外壁をチェックしてまわりましょう。外壁材は丈夫だと思いがちですが、必ずしもメンテナンスフリーというわけではありません。またいくつかの種類があり、それぞれチェックするポイントも異なります。

 外壁材は、定期的に塗装などのメンテナンスを必要とする場合があります。春は季候がおだやかで、外壁の塗装にうってつけの季節です。状態をチェックして、必要なら早めに塗装を依頼することをお勧めします。

・モルタル壁
 古い戸建てに多く、水とセメントを混ぜ合わせた素材です。継ぎ目がなく、金属製の外壁のように壁の表面が熱くなりにくいなどのメリットもありますが、表面の防水塗装が経年変化で劣化しやすいので、一定の期間で再塗装などのメンテナンスが必要です。

 またひび割れが入る傾向があり、ひびができると雨水やゴミが入りやすく、さらなる劣化の原因となります。チェックの際、ひび割れに対しては特に気をつけて確認しましょう。ほかにも浮きや剥がれ、防水機能が失われて起きるチョーキング(触ると粉のようなものがついてくる)、カビやコケなどが発生しやすいという側面もあります。

・ALC外壁
 「軽量気泡コンクリート」とも呼ばれるコンクリートの1種。耐久性は高いのですが、吸水性も高く、冬の間に吸水と凍結を繰り返してクラック(ひび割れや亀裂)が入ることがあります。チェック時には、ひび割れがないかよく確認しましょう。

・窯業系サイディング
 現在の戸建て住宅の大部分を占める外壁材です。セメントがおよそ8割で、そこに繊維質などを組み合わせた板状の壁材です。工期が短く防火性に優れていますが、素材そのものには防水性はありません。一般的な窯業系サイディングは施工時に継ぎ目をシーリング処理する必要があり、その部分の浮きや劣化で水が染みこむことがあるので、チェック時に確認しましょう。

 LIXILの窯業系サイディング「AT-WALL」は表面にフッ素コートが施されており、塗膜の変色・褪色に対して20年/15年等の保証がつけられていますが、条件によっては業界最長の30年保証がつけられる場合もあります。また施工時にもシーリング処理が不要です。

・金属サイディング
 金属サイディングは、硬質プラスチックフォームなどを芯材に、表面にガルバリウムなどの耐候性の高い金属を用いた壁材です。軽量で断熱・遮熱性が高く、リフォーム用の壁材としても人気です。金属の種類によっては錆びやすかったり、傷がつきやすいものもあります。チェック時にはそうしたところにポイントを置きましょう。

 LIXILには「Danサイディング」という金属サイディング外壁材があります、軽量で耐候性にも優れ、独自のフッ素コートで耐食には10年、変色には15年の保証がついています。

・樹脂系サイディング
 樹脂系サイディングとは、塩化ビニール樹脂で作られた外壁材です。耐腐食性、耐候性、耐震性に優れ、軽量でシーリング加工もいらない優秀な素材です。耐用年数も25~30年と長いのですが色やデザインのバリエーションが多くなく、素材は高価ではないものの、施工費はやや高めです。

 LIXILにも「WALL-J」という樹脂系サイディングの製品があります。

蜂の出入りや雨の侵入にも注意

 外壁チェックの際に、もうひとつ注意しておきたいのが「蜂の巣」です。蜂は4月末くらいから活発に活動を始めることが多く、巣をつくり始めます。壁だけでなく、雨樋や屋根裏などにも巣をつくる場合があるので、家の中に蜂が出入りしていないか、羽音が聞こえないかなども注意しましょう。

 また外壁にクラック(ひび割れ)が見つかった場合は、家の中、押し入れや屋根裏に雨のシミがないかも要チェックです。

 不具合は早めに見つけて対処することが、家を長持ちさせる秘訣です。次回は敷地の外まわりのチェックについてお伝えします。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
画像◎Shutterstock

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