春に始めたい外まわりのメンテナンス[第1回]

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春まきの花やハーブ・野菜がたくさん!

 植物が芽吹く春。進学や就職など新しい生活が始まる季節であり、おうちでも何か新しいことを始めたいと思う方も少なくないでしょう。そんな方にお勧めなのが、ガーデニングです。

 植物は種類によって春まき、秋まきなど、種をまくタイミングがあるのですが、最も種類が多いのは春。下の例に挙げただけでも、実に多彩な植物が春まきに向いています。花壇をつくったり、ハーブや野菜を育て始めたりするのに最適な季節なのです。

肝心なのは土づくり

 家庭菜園や花壇は、まず土づくりから始めましょう。花やハーブ、野菜などに向いているのは、移植ごてやスコップが軽く入る柔らかい土壌です。土に水を軽く含ませて握ると固まり、指で押すとはらはらと崩れる「団粒構造」の状態にするのが理想的です。さらに、雨が降ったり水やりをしてもさっと水がはけ、同時に、土の水分が長時間保たれる土が理想です。

 そのためには、花壇や菜園にする区域を深さ20~30cmほど掘り返し、その土を細かく砕いてから、状態をみて土を改良していくといいでしょう。パーライトやバーミキュライトという排水性・保水力を同時に向上させる土質改良材を加えます。ホームセンターや園芸店で手に入ります。

 また、肥料をすき込むのもいいでしょう。野菜の中には肥沃な土壌でよく育つものも少なくありません。最初の土づくりの段階で堆肥や腐葉土を混ぜてみましょう。植物の生育に必要な肥料は、主に窒素、リン酸、カリウムの3つです。化学肥料もありますが、油かす、草木灰、発酵鶏糞など、有機系の肥料を使うのもいいでしょう。

 プランターを使って育てるなら、底石を敷いた上に調整された市販の園芸・野菜用の土を入れるのが手早くてお勧めです。

種のまき方は?

 品種によっては前処理として種皮に傷をつけたり、あらかじめ水に浸したり、発芽させたほうが確実なものもあります。ポットにまいて苗を育ててから移植、という方法もあります。初めてのトライなら、気温が高くなった時期に「直まき」をしてみるのもいいかもしれません。

 発芽率は落ちるかもしれませんが、ある日、土の中から芽がぴょこんと出てくるのを発見するのは楽しいものです。たくさんの芽が密集して出た場合、ある程度伸びてから間引きをするといいでしょう。

初心者は苗から育ててみよう

 春になるとホームセンターや花屋さんの店頭で、苗が売られていることがあります。種から育てるほうが、発芽させるところからじっくり育てる楽しみもありますが、初心者はある程度育った苗を買ってきて挑戦してみることをお勧めします。苗から育てれば、きれいな花が咲いたり、野菜やハーブを収穫したりする楽しみを気軽に味わえます。

庭木は剪定が必要

 最近の一戸建ては昔ほど大きな庭は少なく、小さなスペースにシンボルツリーを植えるお宅が増えています。花壇だけでなく、庭木の手入れにも挑戦してみましょう。庭師の小池多聞さんは、次のように話します。

「ほとんどの植木は剪定が必要です。常緑針葉樹は3~4月、椿などの常緑広葉樹は3月下旬から5月下旬に行うのがお勧めです。落葉広葉樹は冬の間、12月~2月の葉が落ちている期間ですね。ただし、植物は生き物ですから成長は気候などに左右されます。状態をよく観察した上で手入れを行うとよいでしょう。木があまり大きくならないうちから剪定を行っていれば、さほど大変ではありません」

樹木が伸びたときの姿をイメージして

 いざ樹木の剪定となると、木に大きなダメージを与えてしまわないかと心配になりますが、小池さんは、自分で剪定するのはさほど難しくないと言います。

「木の枝をよく見ると、次に伸びる芽があります。芽が残っていれば切っても問題ありません。枝を大きく伸ばす樹木は、効率よく光合成できる先端の葉を優先させて幹に近い陰になる葉を落とし、結果として樹形が大きくなりがちです。きちんと日が当たる葉を残して光合成ができるようにしておけば必要以上に伸びることなく、コンパクトに仕立てられます。大げさに言うと、丸裸にしてしまっても1~2年で回復するほど生命力は強いので、 恐れずに剪定してみましょう。

 そして剪定した結果、次にどのように伸びるかを観察することが何より大切です。トライアル・アンド・エラーを繰り返すことで剪定の感覚が徐々に養われていきます」

 また、木の性質によって剪定の方法を変えるといいそうです。例えばコニファーのように上に伸びる木は、頂芽優勢といい、一番上の芽が優先的に伸びるため、高さを抑えるためにはそこを切るといいそうです。逆に横に広がる木は、全体を刈り込んで、敷地からはみ出したり、重さで倒れることを防ぎます。

「自分の中で、このくらいのバランスがいいなと思う姿や、伸びてもこのくらいの大きさ、ということをイメージしながら整えていくのがいいでしょう。伸ばし放題にしておくと、はしごを使わないと切れなくなるので、プロの手を借りる必要があります

 実は日本、特に関東は土地が肥沃なため、木の成長が早い傾向にあります。街を歩いていると、道路にはみ出して通行の妨げになったり、背が伸びすぎて二階の日差しまで遮ってしまう木など、伸びすぎた木が多く見受けられます。定期的な剪定をぜひ心がけてください」

 次回は、庭仕事をするついでにできる家のチェックについてお届けします。

≪お話を伺った方≫

小池多聞さん

京都で6年、東京で4年修行したのち独立。「風庭(かぜにわ)」という屋号で、東京でフリーランスとして活躍をする庭師。個人宅から公園、教会まで、高木の剪定などさまざまな庭のメンテナンスを行っている。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
画像◎Shutterstock

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