「宅配ボックス」のある生活 [第2回]

宅配ボックスはこう選べ! 価格帯別の特長と防犯効果

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防犯リフォーム事例

【ご予算:約2,000~3,000円】
簡易型ビニール製ボックス

 ご予算をおさえたい方におすすめしたいのが、ビニール製の宅配ボックスです。多くのタイプには南京錠とワイヤーが付属しており、ドアノブや窓のサッシなどにワイヤーをつないで使用します。

 簡易型ビニール製ボックスのメリットは、なんといっても価格が安いことです。中には2,000円程度で購入できるものもあるといいます。一方で「簡単に持ち去られてしまうリスクもある」と京師さんは話します。

「付属のワイヤーをどこかにしっかりと結んでおかなければ、ボックスごと盗まれてしまう可能性があります。また、素材の耐久性が高くないので、日除け効果はあるものの、雨風などで商品が汚れたり、破損したりするリスクがあります。

 簡易型ビニール製ボックスでも、ないよりはあったほうマシです。しかし、可能であればもう少し高価格帯の宅配ボックスをご利用いただくことをおすすめします」

【ご予算:約5,000~20,000円】
簡易型金属製ボックス

「予算はおさえたいけれども、ビニール製よりは頑丈なものがいい」という方には、アルミやステンレスといった金属製の宅配ボックスがおすすめです。

「イメージとしては、簡易版金庫のような宅配ボックスだといえます。重量もあって、素材自体も頑丈なので、壊される心配もありません。

 とはいえ、ボックスごと持ち出されるリスクがないわけではありません。セキュリティ面を重視するなら、簡易設置タイプではなく、工事設置タイプの宅配ボックスを推奨します」

 なお、簡易設置タイプの宅配ボックスは、「目立たないところに置くのが鉄則」だと京師さんはいいます。

「泥棒は普段、スーツ姿や作業着姿で街中を徘徊し、宅配ボックスの場所をチェックしています。簡易設置タイプの宅配ボックスは盗まれるリスクがあるので、玄関前ではなく、側道に入ったところなど、なるべく目立たないところに置いておくのが得策です」

【ご予算:約30,000~60,000円】
据置型ボックス

 盗難防止に効果のある宅配ボックスを選びたいなら、工事設置タイプの「据え置き型ボックス」がおすすめです。

「据置型ボックスには、ポールで建てるタイプ、地面に埋め込むタイプ、壁に埋め込むタイプの3種類があります。どのタイプも宅配ボックスごと盗まれる心配がなく、揺すって中身を確認されることもないので、防犯面で優れています」

【ご予算:約100,000円~400,000円】
IoT宅配ボックス

「簡易型」「据え置き型」のほとんどは、一度荷物を入れたらロックがかかるため、ひとつの荷物しか受け取ることができません。とはいえ、コロナ禍でネット通販の利用が増えた昨今、不在時に2つ以上の荷物が届くこともあるでしょう。

「複数の荷物を受け取りたい」という方におすすめなのが、スマートフォンのアプリで荷物を一括管理できる「IoT宅配ボックス」です。

「IoT宅配ボックスならリアルタイムで配送状況が確認できるうえ、追跡番号自体が鍵になっているので、誤配もなければ“なりすまし”による受け取りの心配もありません。

 また、複数人で共有できるのもIoT宅配ボックスならではの特長です。ご家族や友だちに追跡番号さえ渡していれば、荷物の受け取りを別の方に頼むことができます」

 現在、最先端のIoTボックスといえるのが、LIXILの「スマート宅配ポスト」です。この宅配ボックスは、機能面で優れているだけなく、シンプルでスマートなデザイン性も評価されています。

 次回は、この「スマート宅配ポスト」の詳細について、ご紹介していきたいと思います。

お話を伺った方

京師美佳さん

百貨店のエレベーターガール、セキュリティ企業、防犯ガラスメーカーをなど経て、2005年に独立。京師美佳セキュア・アーキテクトを設立し、防犯対策専門家として防犯アドバイザーとして、マンションや戸建ての防犯のプロデュースや設計、防犯診断、防犯の施工などを行う。4000件を超える相談や診断、企業のセキュリティ商品などの企画・販売戦略のアドバイスを行う一方、テレビ・新聞・雑誌などメディアで防犯の専門家としてコメンテーターとして活躍。全国で防犯の講演を行うなど防犯の啓蒙活動を展開している。一般社団法人全国住宅防犯設備技術適正評価監視機構理事

文◎八木麻里恵
人物写真◎平野晋子
画像提供◎Shutterstock/PIXTA

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