
前回は防犯アドバイザーの京師美佳さんより、「置き配」のリスクとその対処法について伺いました。置き配による盗難や商品の破損を防ぐ手段として、京師さんは宅配ボックスの設置をおすすめしています。今回は宅配ボックスの設置を検討されている方がご予算に合わせて選べるよう、価格帯別に4種類の宅配ボックスをご紹介します。
ご予算をおさえたい方におすすめしたいのが、ビニール製の宅配ボックスです。多くのタイプには南京錠とワイヤーが付属しており、ドアノブや窓のサッシなどにワイヤーをつないで使用します。
簡易型ビニール製ボックスのメリットは、なんといっても価格が安いことです。中には2,000円程度で購入できるものもあるといいます。一方で「簡単に持ち去られてしまうリスクもある」と京師さんは話します。
「付属のワイヤーをどこかにしっかりと結んでおかなければ、ボックスごと盗まれてしまう可能性があります。また、素材の耐久性が高くないので、日除け効果はあるものの、雨風などで商品が汚れたり、破損したりするリスクがあります。
簡易型ビニール製ボックスでも、ないよりはあったほうマシです。しかし、可能であればもう少し高価格帯の宅配ボックスをご利用いただくことをおすすめします」
「予算はおさえたいけれども、ビニール製よりは頑丈なものがいい」という方には、アルミやステンレスといった金属製の宅配ボックスがおすすめです。
「イメージとしては、簡易版金庫のような宅配ボックスだといえます。重量もあって、素材自体も頑丈なので、壊される心配もありません。
とはいえ、ボックスごと持ち出されるリスクがないわけではありません。セキュリティ面を重視するなら、簡易設置タイプではなく、工事設置タイプの宅配ボックスを推奨します」
なお、簡易設置タイプの宅配ボックスは、「目立たないところに置くのが鉄則」だと京師さんはいいます。
「泥棒は普段、スーツ姿や作業着姿で街中を徘徊し、宅配ボックスの場所をチェックしています。簡易設置タイプの宅配ボックスは盗まれるリスクがあるので、玄関前ではなく、側道に入ったところなど、なるべく目立たないところに置いておくのが得策です」
「簡易型」「据え置き型」のほとんどは、一度荷物を入れたらロックがかかるため、ひとつの荷物しか受け取ることができません。とはいえ、コロナ禍でネット通販の利用が増えた昨今、不在時に2つ以上の荷物が届くこともあるでしょう。
「複数の荷物を受け取りたい」という方におすすめなのが、スマートフォンのアプリで荷物を一括管理できる「IoT宅配ボックス」です。
百貨店のエレベーターガール、セキュリティ企業、防犯ガラスメーカーをなど経て、2005年に独立。京師美佳セキュア・アーキテクトを設立し、防犯対策専門家として防犯アドバイザーとして、マンションや戸建ての防犯のプロデュースや設計、防犯診断、防犯の施工などを行う。4000件を超える相談や診断、企業のセキュリティ商品などの企画・販売戦略のアドバイスを行う一方、テレビ・新聞・雑誌などメディアで防犯の専門家としてコメンテーターとして活躍。全国で防犯の講演を行うなど防犯の啓蒙活動を展開している。一般社団法人全国住宅防犯設備技術適正評価監視機構理事
文◎八木麻里恵
人物写真◎平野晋子
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