私のインテリア~福岡県A邸 [第2回]

究極の動線で、
住み心地抜群!

空間
玄関まわり
関心
ライフスタイル建築事例

とても便利な「玄関横の洗面台」

「家を建てると決めたとき、住宅メーカーさんにまずお願いしたことといえば、“ウォークスルー”というか、回遊性のある家にしたいということでした」
 Aさんが話す理想の住まいは、開放的で、いろいろな動線に対応できる家です。
「わが家は、玄関を入って廊下を進むと、リビングに通じるドアがあるのですが、その横のドアがキッチンに続いています。買い物の後だと、食材などをたくさん持っているので、玄関から直接キッチンに入ったほうが便利です」

 ちなみに、玄関のシューズクローゼットは収納力も十分で、靴の脱ぎっぱなしはなくなり、いつでもお客さまを気持ちよく迎えられる玄関になっているのだそうです。
 言われてみれば、玄関は来客を迎える家の顔のような場所なのに、靴のほかにも雑多なものが置かれ、ともすれば散らかりがちです。それを解決してくれるのが、シューズクローゼットというわけです。

 また、玄関の横に独立した洗面台があるのもA邸の特徴。
「お客さまに『手を洗ってからお入りください』とは言いにくいけれど、玄関の横にあると、『どうぞ使ってください』と、勧めやすいのです」と話すAさんは、さらにこう続けます。

「洗面所って、来客を案内する場所であるのに、プライベートなものがあふれていて、中には見られたくないものもあります。そんなこともあって、玄関横の手洗い専用の洗面台はとても使い勝手がいいですよ」
 玄関を入ってすぐの動線上で手が洗えるのは嬉しいことです。

「第二のリビング」のようなウッドデッキ

「キッチンでは、いつもリビングを眺めながら料理しています。ここからの眺めが大好きです」
 一目惚れといっても過言ではないほど気に入って購入を決めたという、システムキッチンのリシェルSI。ダイニングには、合わせて購入した、システムキッチンとカラーを合わせたセラミック素材のテーブルが並びます。その向こうのリビングには、グレートーンのソファが。このソファも、キッチンの色に合わせて選んだもので、Aさんにとって、とても心地いいコーディネートです。

「すごく気に入って買ったソファで、沈み込まない座り心地が抜群です。でも、それだけではないんです。このソファだと、ロボット掃除機の動線を邪魔しないんです」
 ちゃんとそのサイズも確認したそうです。

 リビングの床材は、素足に心地いい無垢材。その先にあるテラスには、ウッドデッキ(人工木デッキ)を設置しました。選んだのは、LIXILの「樹ら楽ステージ」のグレーウッドです。カラーは、リビングからのつながりを考えて選択したそうです。

 また、A邸ではサッシを含めて段差を一切なくし、綺麗なバリアフリーにしています。
「室内からウッドデッキまでが、まるで一面のフローリングに見えるようにしたい」
それがAさんのご希望でした。
 このため、ウッドデッキにテーブルやチェアを並べると、リビングの先にもう1つの部屋が連なっているように見えます。

洗濯室の家事ラク動線

 A邸の洗濯室や洗面所は2階にあります。最近の洗濯機は機能的にも優れています。それでも洗濯には、干す、乾かす、取り込む、たたむ、しまう……、と多くの作業があり、大変です。Aさんは、これを少しでも簡単にしたかったのだそうです。

「これら一連の仕事をできるだけスムーズに行い、かつ、一部を省略できないか考えました。そこで考えたのが、洗濯室の隣にウォークスルークローゼットを設けること。これなら、ハンガーにかけて乾かした衣類を、たたむことなくそのままクローゼットに収納できます」

 洗濯室とウォークスルークローゼットが、2階の寝室の隣にあるのもポイント。Aさんは主に夜、洗濯をするのだそうですが、「そうしたライフスタイルもあって、寝室と洗濯室が近いのはラクです。以前の住まいに比べ、洗濯のストレスは大幅に軽減しました」と話します。

 これらA邸の「究極の動線」に助けられているのは、人間だけではありません。Aさんは2匹の猫と暮らしています。しかし、愛猫家が猫のために設けるキャットタワーやキャットウォークは見当たりません。
「いろいろ考えてみましたが、わが家には猫が遊ぶ十分な広さがあるし、飛び移ったり、駆け上がったりする階段や段差もあります。1階も2階も回遊できることが、猫にとっては楽しいみたいですね。だから、あえてこのままでいいんじゃないかと思います」

(第3回に続く)


文◎牛島千絵美 撮影◎松隈直樹

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