
前編では、住まいの寿命を延ばすのに欠かせない「外装リフォーム」と「シロアリ駆除」について解説しました。後編では、機能性や快適性を向上させる内装リフォームについて、一級建築士の中内修平さんに話を伺いました。
中内さんによると、「家を長持ちさせる」という観点で見た場合、外装リフォームに比べて内装リフォームの比重は高くないといいます。
「築10年のタイミングで優先していただきたいのは、やはり外装のリフォームです。ただし、給湯器は約10年で交換の時期を迎えます。故障してからだとあわててしまいますので、前もって交換しておいたほうが安心でしょう。
壁紙や床など、建物の寿命に大きな影響を与えない部分については、傷みが気になった時など好きなタイミングでリフォームしていただいてかまいません。
浴室やトイレ、洗面台やキッチンなどの水回りは、20年前後が交換の目安です。この時期は外装の2回目の塗装タイミングと重なりますので、まとめてリフォームすると楽でしょう」
長く住み続けるなら、住まいの機能性や快適性にもこだわりたいところ。これらを手軽に向上させたいなら、「断熱性を高めるのがおすすめ」だと中内さんは話します。
「熱は窓やドアなどの開口部から逃げていきます。もし窓が単板ガラスの場合は、ペアガラスにしたり、内窓をつけたりするのがおすすめです。熱は窓のサッシからも逃げていくので、アルミサッシの場合は樹脂サッシに変えると、より断熱性が高まります。ドアについても、断熱仕様の玄関ドアにすることで、冬の寒さ、夏の暑さが軽減されます」
LIXILのインプラスは、「断熱効果」「結露軽減」「遮音効果」「UVカット」「侵入抑止効果」「経済性」の6つのメリットがあります。
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10年、20年と住み続けていると、家族構成やライフスタイルも変わっていきます。中内さんは、ライフスタイルの変化にあわせて住まいを変えられるよう、間取りに可変性をもたせることをおすすめしています。
「お子さんが増えて子ども部屋を急遽増やさなければならなくなったり、逆に子どもが独立して子ども部屋が不要になるなど、家族構成やライフスタイルの変化によって住みやすい家は変わってきます。
大掛かりなリフォームをしなくても、必要に応じて住まいを変化させることは可能です。たとえば、リビングの一画にデスクを設けたり、可動式家具などで囲むだけで、子どもが勉強するスペースをつくることもできます。長く住み続けたいなら、最初から細かく区切らず空間を広くとっておくと、後々のリフォームが楽になります」
マンションの場合は修繕積立金が自動的に積み立てられますが、一軒家の場合そのような制度はありません。中内さんは「資金計画を建て、修繕積立金程度の予算は確保しておいたほうがいい」と語ります。
「築10年のリフォームでは目安として、外壁塗装で100〜120万、シロアリ駆除で10〜20万、給湯器交換で15〜20万程度かかります。トータルで150万前後かかる計算になりますが、建物の劣化具合によってはもっとかかる可能性もあるため、余裕をもって資金計画を立てることをおすすめします」
資金計画を立てる際、リフォームの補助金制度を活用できるかどうかも気になるところです。
「補助金や助成金を使ってお得にリフォームができると考えている方は多いですが、少し誤解があるようです。補助金や助成金制度の多くは、耐震化や省エネ化といった高性能の住宅を普及させることを目的としていることが多いです。そのため、住まいの老朽化を防ぐためのリフォームにおいて、導入される住宅設備や施工方法によっては、補助金や助成金が必ず適用されるわけではないので、その点はご注意ください」
家を長持ちさせるには定期的なメンテナンスが必要です。ですが、家の寿命は建てたときの状態によって大分変わってしまう部分があると中内さんは語ります。
「住宅の基礎や柱、壁、梁といった構造は、一度建ててしまうと変えることができません。そのため、小屋組みの仕方や材料の選定などが間違っていると、リフォームが大掛かりになる可能性があります。また地盤が弱い土地に家を建ててしまうと、地盤沈下で家の重い部分から不均等に沈んでいくなど、さまざまな危険がともないます。ぜひこれから新築を建てるという方は、安かろう悪かろうではなく、長く住み続けるという前提でつくり手を選んでほしいと思います」
一級建築士。法政大学工学部建築学科(現:デザイン工学部建築学科)修了。大手リフォーム会社を経て、2020年に株式会社Colorsに参画。建築/内外装の企画、設計、施工までを住宅の改修を中心に活動し、その人にあった生き方や暮らしを、その人とともに見つけていくことに注力している。趣味は野球。
文◎八木麻里恵
人物写真◎神出暁
画像提供◎Shutterstock