ベテラン家政婦が指南するお手入れ術[結露編]第3回

結露防止の理想は「断熱の家」。まずは「窓リフォーム」から

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窓まわり
関心
季節お手入れ悩み

結露知らずの断熱の家

「結露がまったくないお宅があります。それは家の断熱が施され、窓も多重のガラスで、サッシもアルミではなく樹脂製。このようなお宅では、暖房も冷房も効きが違うことが実感できます」

 こう語るのは、お掃除のプロとしてテレビをはじめ新聞や雑誌などメディアでお掃除のテクニックを指南するみけままさん。家政婦マッチングサービス「タスカジ」のアンバサダーであり、超人気の家政婦さんです。数多くのお宅を訪れる中で、結露と無縁のお宅の共通点は断熱だとみけままさんは証言します。

「窓まわりの結露がないということは、掃除の時間が削れ、ほかの家事に回せるということ。もし家政婦さんにお掃除を依頼しているなら、別の場所をよりきれいにしてもらえます」

 結露の掃除の時間も、積もり重なれば大きな時間のロス。対策を施してこの時間を削れば、自由な時間が増えるというわけです。

窓を変えるだけで大きな効果

 結露は、暖房で暖められた室内の空気が外との接点である窓まわりで冷やされ、空気中の水蒸気が水になることで現れます。断熱が十分でない家の場合、結露が目につくのは窓ですが、湿気を帯びた暖かい空気は、暖房が効いていない空間に流れ込みます。

 その空間とは、クローゼットや押し入れ、納戸などです。気がつくとカビだらけ。その原因は、実は結露だったのです。

「窓を拭いて結露ひいてはカビを防ぐのは簡単ですが、クローゼットや押し入れ、納戸などの壁についた結露には気がつきづらく、ここにできたカビはなかなか手ごわいです。固く絞ったクロスに塩素系のカビ取り剤を染み込ませて拭くのが、最も効果が期待できる方法です。ただ、素材への悪影響を及ぼすリスクもありますので、最終的には依頼者さまにご判断いただいております」

 壁だけでなく、寝具、洋服などにもカビは発生します。ほこりとあいまみれば、ダニにとっては絶好の環境。そして、そのフンや死骸は私たちの健康を脅かすのです。最悪の場合、結露は家の骨格である柱や床に達し、白アリ被害をも呼び込む可能性もあります。

 そのような問題の元凶である結露は、建物の断熱で解消します。

 結露は室内と外気の境目である窓ガラスに発生します。ですから、窓部分の断熱対策をするだけでも、結露は劇的に改善されるのです。

「古いお宅でもリフォームで内窓を設けて二重にしている場合、明らかに違います。結露で困っている様子はありません」

 窓を二重にする工事は半日あれば設置できるうえ、予算的にも「リフォームしなくては!」と構えることなく実現でき、結露はもちろん、冷暖房の効きが変わることも体感できるはずです。昨今、自宅で仕事をする方も多くなっていますが、防音の効果も期待できます。窓の二重サッシ化のメリットは結露だけにとどまらないのです。

理想は断熱住宅×全熱交換換気

 24時間換気が結露対策になることは第2回で紹介しましたが、冬場、換気をオンにすると、まるで隙間風のようになんだか冷たい風が出てくるという経験をされたことはないでしょうか。

 しかし、暖めた空気を逃がさずに(夏なら冷えた空気を逃さずに)、室温を保てる換気システムがあるのです。

 それは、全熱交換システムというもので、最新の戸建て住宅やマンションでは新築時に設置されていることもあります。戸建てなら後付けが可能で、集合住宅でも設置できるケースがあります。換気システムに加え、フィルターを適切に装着していれば、汚れた外気が室内に入ることがないので、花粉症の対策にもなります。

 断熱住宅に全熱交換換気システム。次のリフォームや建て替え計画の際は、結露と無縁の健康住宅を目指してはいかがでしょうか。

≪お話を伺った方≫

みけままさん

家事代行マッチングサービス「タスカジ」で掃除のタスカジさんとして活躍中。大手ハウスクリーニング会社に15年勤務していた経験を生かしたテクニックで、家中の汚れをピカピカにすると評判で、レビュー評価が圧倒的に高く、熟練の掃除ワザでリピーターも多い。「タスカジ」内にとどまらず、一般向けの掃除講座の講師としても活動している。『タスカジさんが教える最強の「家事ワザ」』(マガジンハウス刊)はじめ著書、取材歴多数。
https://taskaji.jp/user/profile/8697/

文◎三星雅人
写真◎平野晋子

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