電磁波が人体に及ぼす影響とは?
家電製品の普及により、私たちの暮らしは格段に便利になりました。その一方で、電磁波過敏症などの「電磁波による健康被害リスク」という、かつてはなかった問題も出てきています。
電磁波とはそもそも何なのでしょうか。土田さんによると、「交流電気を使ったときに発生する『電場』と『磁場』が、空気中を交互に伝搬していく周波数をもった波」のことだといいます。
「コンセントから電気をとるものを交流といいます。電源コードを挿したとき、家電製品の電源がオフの状態でも発生するのが『電場』です。対して『磁場』は、コンセントに電源コードを挿しただけでは発生せず、家電製品の電源をオンにしたときに発生します」
土田さんは、電磁波が身体に与える影響について、以下のようなリスクがあると語ります。
「電場は電位が高いところから低いところへと流れていく特性があるため、電位の低い私たちの身体は、電場の行き着く場所となります。そして、電場に触れることで身体の表面が電気を帯びる『帯電』という状態をつくりだすのです。
帯電状態になると、身体が緊張してこわばります。その結果、全身の血管が収縮して血流が悪くなり、自律神経の乱れ、倦怠感や疲労、頭痛、睡眠障害などが起こりやすくなるでしょう。さらに、電気を帯び続けることで、皮膚表面のバリアが壊され、赤みやかゆみが起こるほか、アレルギー症状を引き起こす可能性もある。
また、磁場は身体を貫通するため、遺伝子損傷や内臓疾患、発ガンなどのリスクが懸念されています」
実際のところ、電磁波による健康被害を証明するのは難しく、国際機関などの報告もあくまで「リスクがある」という表現にとどまっているそうです。しかし、土田さんは長年、住まいの電磁波対策に関わってきた経験から、電磁波が身体に害を与えている可能性は高いといいます。
「弊社が推奨する住まいの電磁波対策を行ったお客さまは、ほぼ100%と言ってもいいほど、『よく寝られるようになった』『アトピーが治った』など、それまで抱えていた辛い症状が和らいだと報告してくれています。少なくとも、電磁波対策を行ってもまったく効果がなかったお客さまは、一人もいませんでした。私はお客さまの反応が、電磁波による健康被害を証明していると考えます」
安全基準の“10倍以上”におよぶ電磁波
電磁波は目に見えないので、影響に気づきにくいのがやっかいなところです。土田さんはこの問題を解決するため、20年前に、電磁波測定器による電磁波の可視化をスタートしました。
日本で唯一の、住宅における電磁波に関する安全基準「EMFAセーフティガイドライン」によると、家電製品や電気配線から発生する5Hz~2kHzの極低周波帯において、以下のような安全基準が設けられています。
電 場 | 25V/m以下 |
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磁 場 | 2.5mG以下 |
しかし、電気機器にあふれた環境下では、私たちは安全基準の10倍以上の電場に触れ続けている可能性があるといいます。
ためしに充電中のノートパソコンを測定していただいたところ、577.5V/mの電場が出ていることがわかりました。
電磁波対策のカギは「アースをする」こと
では、電磁波から身体を守るために、どのような対策をとっていけばいいのでしょうか。土田さんは、磁場については「家電製品から距離をとる」ことで解決すると話します。
「磁場は、コンセントに電源コードを挿しただけでは発生しません。そのため、電源が入った状態の家電製品に長時間触れ続けないことが大切です。
また、磁場には距離の二乗に反比例して弱くなるという特性があるので、電源が入った状態の家電製品からは距離をとってください。たとえば、電子レンジの場合はチンと鳴るまで1.2m以上離れるようにすると、磁場の影響を受けずに済むでしょう」
電場については「アースをする(地面に電気が流れるようにする)」ことが有効だといいます。
「アースとは、機器の誤作動や人体の感電を防止するための“電気の逃げ道”のことです。日本語では『接地』といいます。アースには電場を大地に逃してくれる効果があるため、電場の問題はアースをすることで解決します」
日本の電磁波問題の裏には、コンセントにアースの取り付けが義務付けられていないという潜在的な問題が潜んでいると、土田さんはいいます。
「欧米や韓国などの諸外国は200V超えの高電圧が主流なので、感電から身を守るために、アースが義務付けられています。一方、100Vの低電圧が主流の日本では、冷蔵庫の裏やトイレなど、一部のコンセントにしかアースが備わっていません。そのため、ご自分で対策を行う必要があります」
第2回では、いますぐ家庭でできるアース対策、電磁波対策をご紹介します。
(→ 第2回に続く)
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