住まいのカビを予防する 第3回

一年中カビが生えにくい家づくり

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意外とカビが生えている場所

 前回、家の中でもとくにカビが生えやすいエアコン、浴室、キッチンのカビ対策&掃除方法をご紹介しました。ここでは、カビが生えやすいその他の場所と対策についてご紹介します。

1) 網戸

 前回も解説しましたが、土の中にはたくさんのカビが生息しています。ということは、土埃が多く付着している網戸には、当然、カビが多く含まれています。

「網戸が汚れていると、窓を開けた時に、土埃の中のカビが室内に入ってきてしまいます。汚れが目についたら両側から挟むように雑巾などで拭いてください。余裕があれば、網戸を外して水をかけて洗うのが理想です」

2) 布団

 汗で湿った布団や寝床も、カビが生えやすい場所です。

「人は寝ている間にコップ1〜2杯の汗をかくといわれています。湿った布団はそのままにせず、天気のいい日は天日干しをしてから押入れにしまいましょう。部屋の中で干すなら、布団干し用のスタンドなどを使うと便利です。
 また、布団をそのまま敷きっぱなしにしていると、畳にカビが生える原因になります。万年床にせず、朝起きたら布団を乾かす習慣をつけましょう」

3) 冷蔵庫の製氷機

 給水タンクに水を入れるだけで氷をつくってくれる便利な製氷機ですが、長い間掃除を怠っていると、カビが生えてきてしまう可能性があります。

「給水タンクは、水を足すだけでタンク自体を洗わないでおくと、隅の方が黒ずんだり、フィルターが汚れてしまうことがあります。給水タンクの汚れが氷の中に入ってしまうと、知らず知らずのうちにカビを摂取することになってしまうので、こまめに掃除するようにしましょう」

4) 脱衣所

 汚れた洗濯物が置かれることのある脱衣所も注意が必要です。とくに、「洗濯槽を洗濯カゴ代わりにしている人は危ない」と矢口先生。

「洗濯槽の中に汚れた洗濯物を入れていると、中がしけってしまい、カビの温床になります。カゴは別に用意して、洗濯槽は使用後はフタを開けっ放しにしておきましょう」

それでもカビが生えてきてしまったら……

 どんなにカビ対策をしていても、カビを完全になくすことはできません。「カビは放っておいてもなくならないので、見つけたらできるだけ速やかに取り除くことが大事」と矢口先生。

 また、カビは拭き取るだけではすぐにまた生えてきてしまうので、次亜塩素酸ナトリウムが入った「カビキラー」や「キッチンハイター」などのカビ取り剤を使うと効果的だそうです。

「次亜塩素酸ナトリウムには殺菌作用があるので、その場をきれいにするだけでなく、次に生えにくくするという効果もあります。
 また、漂白作用によって、細かい隙間にまで入った黒いカビを漂白してくれます。仮に細かい隅のところまで完全にカビを取り切れなかったとしても、漂白されて色が抜けると見た目がきれいになります」

 なお、リビングやクローゼットの中など、カビ取り剤が使えない場所には、アルコールや逆性石鹸が有効だそうです。

もうカビに悩まされたくないなら、
業者に掃除してもらうのがおすすめ

 前回、掃除してもすぐにカビが生えてきてしまうのは、掃除でカビを取り切れていないからだとお伝えしました。しかし、素人の手でカビを完全に除去するのは難しいもの。だからこそ矢口先生は、カビが生えやすいエアコンや浴室だけでも、業者に依頼してクリーニングしてもらうことを推奨しています。

「エアコンの内部を掃除するのは難しく、素人が分解すると壊してしまう可能性もあります。可能であれば、夏に冷房を使い終わったらすぐに業者さんにクリーニングをお願いして、冬までにきれいにしてもらうことをおすすめします。
 エアコン同様、浴室も一度業者さんに頼んで掃除してもらうと良いでしょう。さらにオプションで、カビが生えにくくなるコーディングをしてもらうことをおすすめします。
 一度きれいにした後は、毎日乾燥をし、目についた部分を掃除していれば、ほとんどカビが生えてこなくなりますよ」

〈お話を伺った方〉

矢口貴志さん

1961年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。明治製菓株式会社を経て現千葉大学真菌医学研究センター准教授に就任。生活環境のカビ、特に病原性のカビを専門に研究している。

文◎八木麻里恵
人物写真◎加々美義人
画像提供◎Shutterstock

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