秋と言えば、月が一層美しい季節
そこで、アレンジメントの形状は、クレッセント(三日月)を選びました。オアシスを使って作り、壁を背にして飾るタイプのアレンジメントです。クレッセントを形作るためには、花材にちょっとした細工が必要です。茎にカーブをつけるテクニックをこの機会に身に付けましょう。では、さっそくご紹介します。
【道具】
花器:縦11.5 cm×横11.5 cm×高さ16 cm
セロファン:40 cm四方
トレイ
オアシス:23cm×11cm×8cm
花ばさみ
パレットナイフ(食事用ナイフで代用)
※そのほか、バケツをご用意ください。 ※花を長持ちさせる方法は、7月のアレンジメントをご参照ください。
【花材】
(上段左から)
ルスカス:3本
オンシジウム:2本
ソリダコ:2本
(下段左から)
赤いバラ:5本
オールドローズ色のトルコキキョウ:7本
赤紫のスプレイ菊:2本
あずき色のワレモコウ:3本
ソリダコはつぼみの状態ですが、時間が経つと小さな黄色い花が咲きます。ワレモコウと共に、秋が旬の花としてアレンジメントに盛り込みましょう。オンシジウムの黄色は月の色として、また明るさを出すものとして使います。手に入らない場合は、そのほかの茎がたわみやすい花材を選んでください。
【下準備】
オアシスはたっぷり水の入ったバケツに入れ、中までゆっくり吸水させておきます。沈んだら吸水完了の合図です。
ステップ1:土台作り、ルスカスの加工
トレイの上にオアシスを置いてナイフでカットし、花器に合うサイズになるようにします。今回の花器は高さがあるので、最初はオアシスを縦に入れようかと思いましたが、試してみると花器がスカスカになってしまったので、オアシスを2つに切り分けて2段重ねで入れました。オアシスの一番広い面を横置きにして2つに切り分け、それぞれ花器の口の面積に合うようカットしましょう。下部がすぼまっている花器なので、オアシスの側面は下がせまくなるよう斜めにカットします。また下の段のオアシスは、上の段のものより小さくします。
セロファンの上に2段に重ねたオアシスを中央に置き、そのまま花器に入れましょう。セロファンは、陶器製の花器を使う際、水漏れを防止するために使用します。はみ出たセロファンはカットしてください。オアシスは、花器の口から指2本分の高さが上に出るよう、ナイフでカットします。そして、花材を挿しやすいように面取りをしておきます。
オアシスの準備ができたら、ルスカスをたわませます。折れないように、カーブをつけていきましょう。 親指と中指、薬指などで茎を挟み、親指側だけ力を入れて押しながら、少しずつずらしていきます。カーブは茎のどの部分からつけ始めてもかまいません。これを何度か繰り返すと、緩やかなカーブがつきますよ。
ステップ2:骨組みを作る
はじめに、ルスカスを挿します。写真のように、花器の上にはみ出ているオアシスの側面の真ん中あたりに入れましょう。まず、右に入れます。高さの目安としては、花器を置いている作業台から先端までが65~70 cmくらいになるイメージです。
次に左側に、右より短めにルスカスを入れます。この段階では、クレッセントというより、V字型に近くなります。カーブが多少開いていくので、少しきつめのV字にしておいてください。
つづいて、オンシジウムを入れます。ステップ1の要領でカーブをつけてから、ルスカスに絡めて固定しましょう。ルスカスより多少長めに入れるときれいです。
ステップ3:サイドの肉付けをする
ソリダコをルスカスの後ろに入れます。V字部分を肉付けし、ボリュームを出しましょう。
ステップ4:メインのバラを入れる
一番よく咲いている大きいバラを選び、オアシスの中央に入れます。このとき、手前に45度くらいの角度をつけて、よく見えるように挿しましょう。
ステップ5:残りのバラを入れる
左右に2本ずつバラを入れます。長さはルスカスが描くラインよりも短くなるようにし、クレッセントをなぞるようなイメージで配置します。2本のバラは、1本は花が手前に来るもの、もう1本は奥に来るものといったように置いて、奥行きを出すのがポイントです。また花の向きに変化をつけて、いろいろな角度のバラを見られるようにすると、自然な仕上がりになります。
ステップ6:トルコキキョウを入れる、オアシス隠しをする
バラの合間を埋めるようなイメージで、短めにトルコキキョウを入れていきます。またこのとき、トルコキキョウの葉をオアシス隠しとして挿しておきましょう。
ステップ7:スプレイ菊を入れる
スプレイ菊を切り分け、バラとトルコキキョウの合間を花でさらに埋めるように挿していきます。
ステップ8:ワレモコウ、残りのソリダコで輪郭作り
ワレモコウを切り分けて、手前や奥に挿していきます。ポンポンとした動きをつけつつ輪郭を作っていきましょう。飛び出し過ぎてクレッセントの形を崩し過ぎないように気をつけてください。また、ソリダコを短くして配置していくことで、輪郭を整えていきます。
ステップ9:残りのオンシジウムを入れる
残りのオンシジウムを入れていきます。黄色がクレッセント上にまんべんなく入るよう、足りない部分を補うように配置していきましょう
ステップ10:ラインの補正する
アレンジメントから少し離れたところから、全体の形を確認します。クレッセントに近づけてもよいのですが、せっかく自然のものを使っているので、今回は無造作な感じを出しました。お好みで調整してみてくださいね。チェックポイントは以下のとおりです。
ポイント
・バラ同士が離れ過ぎていないか
・トルコキキョウ同士がくっつき過ぎず、適度にばらけているか
・ワレモコウが飛び出し過ぎていないか
・オンシジウムの黄色が密集し過ぎず、うまくばらけているか
・ルスカスの葉が花を隠していないか
・ソリダコがモサモサしすぎていないか
・オアシスはきちんと隠れているか
・花材が前側だけに寄ってしまっていないか
・メインのバラの後ろ部分が、ボリュームが足りずくぼんで見えてしまっていないか
・右のルスカスの下側がスカスカになっていないか
チェックした結果、右のルスカスの下側がスカスカだと感じたので、もう1本短く切ったルスカスを追加しました。そのほか、花首をほかの花材にひっかけて固定することでバランスを変えたり、挿し直したり、長過ぎる部分をカットして足りない部分に回したりといった対応もしています。
完成です
三日月のバリエーション
もっとくるんとした深さのある三日月(トルコの国旗にある三日月のイメージ)に近づけることもできます。花器を横長のタイプにして、最初のルスカスをオアシスの上部に垂直に近い角度で挿すといいでしょう。
全6回にわたって、季節のフラワーアレンジメントをご紹介してきました。これまでの記事で作ってきたアレンジメントを、違った季節に、違った色合いの花材で作ってみると楽しいはずです。これからも、フラワーアレンジメントが彩る豊かな生活を実践してみてくださいね。
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