

藤山:家づくりにおける「スペシャルの重要性」に気づかれたのが、住宅の設計を始めて10年目くらいのときですか?
鈴木:いや、40歳くらいのときだから、すでに10年以上経っていたかな。
藤山:そこでようやく、自分なりの設計スタイルが確立された?
鈴木:そうなるかなぁ。それ以来、講演会を初めいろいろな場所で、住宅の設計に必要なのは、「収納」と「設備」と「スペシャル」だと話すようになった。講演会ではキャッチーなほうがいいと思って、収納を「スッキリ」、設備を「スマート(な暮らし)」に言い換えて、3つの頭文字を取って「3S(スリーエス)の法則」と呼んでいる。
藤山:スリーエス。なかでも、スペシャルは特に重要だと。
鈴木:そう。家ってやっぱり、スペシャルな何かがないと住んでいるうちに飽きてくるんだよ。「収納」は家族構成が変われば必要度が変わる、「設備」はだんだん古くなる。「設備」はだんだん古くなる。でも、スペシャルな “そういう場” は、時間とともに、住む人のニーズに合わせて使い方を変えていけばいい。
藤山:たしかに。自分の家に対して「飽きがこない」という感情を持ち続けられたら、それはとても幸せなことですよね。仕事とか結婚とか、なんでもそうなのかもしれませんけど……。それはそうと、「スペシャルな場」についての打ち合わせは、普段どういうかたちで行われるのですか?