ワインバーで聞く、ワインライフのちょいワザ集。

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さとう

こんばんは、カウンター空いていますか?後輩と一緒なんだけど。

オーナー

いらっしゃいませ。お二人ですか?カウンター大丈夫ですよ。

さとう

今日は、後輩にワイングラスの違いについて飲みながら話しようと思って。今、新しくオープンした店にお邪魔してきたんだけど、グラスによってワインの味わいが変わるという話になったんだ。ここならいろいろな種類のグラスもあるし、ピッタリだと思って。オーナーさんも協力してください。

2種類のグラスでシャンパーニュを飲みくらべ

オーナー

もちろんです。あとで同じワインを違うグラスで試してみたりしますか?

さとう

そうだね。是非よろしくお願いします。後輩のやない君。

やない

よろしくお願いします。

オーナー

まずはどうされますか?シャンパーニュですかね?それも違うグラスでお出ししましょうか?

さとう

さすが!ではシャンパーニュを2つ、別々のグラスでお願します。

やない

ここにはたくさんの種類のグラスがありますね。ワインを飲むにはこんなにたくさんの種類のグラスを揃えなければならないのですか?

オーナー

うちのお店はワインを楽しむためのお店ですから、一番おいしく飲んでもらうためにそれぞれにあうグラスを揃えているんですよ。でも、まだまだほしいグラスはありますけどね。 はい、シャンパーニュです。こちらは、よく使われているフルートグラス。そしてこちらが、リースリングとかの白ワインに使っているグラスです。試してみてください。 ちなみに、中身は同じです。

やない

ほんとだ、味が違う、同じシャンパーニュなのに。先ほどのお店と同じだ。

さとう

普段こういうことしないだろうけど、並べて飲むとすぐわかるよね。

比較した3種類のグラス。左から、白ワイン用、ブルゴーニュタイプ、ボルドータイプ。

やない

細い方のフルートグラスは、僕らが知っているシャンパーニュの味で、すきっとしていて・・・・

さとう

白ワイン用のグラスの方は、いろいろな味が感じられて・・・だよね。でも、感じられすぎて、ちょっと・・・と思う部分もある。と、いう感じかな。

やない

こんなに違うんですね・・・。面白くなってきました。詳しく知りたいです。先ほど、こちらのはリースリングとかに使うグラスと仰っていましたけど、もしかして、ブドウ品種ごとにグラスの種類があるのですか?

さとう

ワインに使われるブドウの品種は世界中に数えられないぐらいたくさんあるので、全てではないけど、主だった品種には適したワイングラスがありますよ。

やない

それを全部揃えるのは大変ですね。さとうさんは、揃えているんですか?

さとう

当然!と、言いたいところですが、お店か、よほどのマニアでもない限り全ては揃えられないでしょう(笑)僕も日常的に使うのは、せいぜい6種類ぐらいかな。主に使うのは3~4種類。

オーナー

店みたいですね(笑)

やない

そんなに何種類も揃えるのは無理ですが、せっかく飲むならばおいしく飲みたいと思うので、グラスの選び方を知りたいんです。ネットで、ワイングラスを調べてみたのですが、たくさんありすぎて、どうもピンと来ないんですよ。最近ではグラスのためのセミナーもあるみたいですが、もともとワインにそこまで詳しくないし・・・わかりやすく教えてもらいたいなと思って。

さとう

わかるわかる、その気持ち。僕も最初の頃、わけわからずワイングラス買ったけど、あとから無駄な買い物したなぁと。

オーナー

いくつぐらい必要なんですか?何人で飲むことをイメージしていますか?ワイングラスは購入するだけでなく、置くにも場所をとるので普段はかなり邪魔な存在になります(笑) このブルゴーニュグラスなんて広がっているので、棚があっという間に埋まります。

さとう

僕も普段使っていないグラスは、購入した時のケース(紙のBOX)に入れてしまってありますよ。リーデルなんてしまいやすい&持ち運びしやすいようなBOXに2脚ずつのセットで売っていますね。

やない

なるほど・・・それいいですね。

さとう

他に箱のなくなったグラスは、緩衝材に包んで衣装ケース的なものに入れてしまっています。友人のホムパの時にはそのまま衣装ケースごと持っていくこともあります(笑)

オーナー

それグッドアイデアですね。うちの店もそうしよう。ほこりもかからないし。

さとう

さて、話をグラスの買い方に戻すと、まずは3種類揃えるのがよいのかなと。シャンパーニュ用、ピノ・ノワールとかを飲むためのブルゴーニュグラス、ボルドーやカベルネソービニオンとかメルローとかを飲むためのボルドーグラス。オーナーさん見本になるのを持ってきてくれますか?

オーナー

はい。こちらですね。

やない

この3種類ですか。でも先ほどの話を聞くと、赤ワインの話ばかりで白ワインはどれで飲むんですか?

オーナー

シャルドネならばブルゴーニュグラス、リッチな白ワインならばボルドーグラスでよいと思いますよ。うちでも、普通はそうやって使っています。もちろん特別なブルゴーニュの白ワインはモンラッシェグラスもありますが。それはその時用で。あとは先ほどリースリングとかに使うと言っていたこの白ワイングラス、ほとんどの白ワインに問題なく使える万能グラスですね。

さとう

最初に比べたシャンパーニュと白用のグラスの比較で、もし、白用のグラスのほうが美味しいと感じるならば、シャンパーニュ用のフルートグラスは買わずに、少し小さめのこのグラスで代用するのもありかもね。

オーナー

それならばテイスティンググラスにもなりますしね。最近プレステージシャンパーニュをオーダーされる方は、フルートグラスではないものでとお願いされることも増えてきました。

やない

えっ、グラスまで指定されるお客さんがいるんですか?大変ですね!!

オーナー

はい。やないさんのお隣に(笑)

さとう

(笑)

やない

でも、大きなグラスを2種類、合計3種類買うのか・・・。2種類に絞るならばどれですか?

さとう

僕ならば・・・

オーナー

では、せっかくだから、それぞれに白ワインとブルゴーニュ赤とボルドー赤をついで試してみますか?(笑)

さとう

いいね!でもそうすると3種類3グラスで9杯も飲めないからそれぞれ半分ぐらいでね。

3種類のグラスに同じワインを注いで飲み比べ

やない

これは壮大なる実験ですね。

オーナー

かしこまりました。テーブルにご用意しますね。

やない

美しい景色ですね(笑)

さとう

まず、それぞれの香りをかいで、どれがよいか、選んでみてください。

やない

白ワインは、小さいのか、ブルゴーニュグラスで、最初の赤ワインは、ブルゴーニュグラスで、濃い赤ワインは、ボルドーグラスが良い感じの香りがします。

オーナー

さすがですね。教科書通りです(笑)

さとう

では次に一口ずつ飲んでみて試してください。味わいはどうかな?

白ワイングラスと真ん中のブルゴーニュグラスを選択。両脇は同じグラス。

やない

白ワインと最初の赤ワインは、香りの時と同じです。濃い赤ワインは、ボルドーグラスもよいですが、小さい方でも同じように感じます。今すごくびっくりしているのは、ワインとグラスの関係でこんなにも香りとか味わいが変わるものなんですね。

オーナー

香りは、グラスの形によって広がったり集まったりしますし、鼻の位置も変わるので、香りを強く感じたり、弱く感じたり。

さとう

味わいは、グラスから口に入った時に、すっと奥までいくものと、比較的早く口全体に広がるものと。

やない

サイエンスですね。

さとう

僕、文系だけどね。

オーナー

僕は、体育系です(笑)

さとう

こういう機会はあまりないけど、こうやって直接比較すると違いが良くわかるでしょう。

やない

本当に。おかげさまで、なにを買ったらよいかわかってきました。

オーナー

何種類にされるんですか?

やない

まずは、2種類にしようかなと。少し小さめの白用のグラスと、ブルゴーニュグラスです。

さとう

使うイメージはできているの?

やない

はい。シャンパーニュと白ワインは、小さな白用のグラスで、ブルゴーニュに代表されるピノ・ノワールとか他のものでも軽やかなものは、ブルゴーニュグラスでボルドーとかの濃い赤ワインは、少し小さめの白用のグラスでも大丈夫かなと。

オーナー

僕も2種類ならばそうします。 小さめのグラスとはいっても、ボウルの大きさはそこそこにあったほうが香りも出やすいし、良いと思いますよ。そうすれば万能グラスになりますよ。

さとう

で、次に買い足すとしたらどれにするの?

やない

いつもシャンパーニュばかりではなく、いろいろなスパークリングワインをカジュアルに飲むときもあるので、気分が上がるシャンパーニュグラスかなって思います。で、その次が、ボルドーグラスかな。ローヌ地方のワインも最近好きなんで、ボルドーグラスが活躍するかなと思って。

さとう

なるほどね。確かに、最初の2種類でいろいろなワインを飲んでみて、良く飲むものがわかってきたらそこをめがけて買い足すのが良いかもね。

やない

しかし、こうして比較すると、色々なグラスが欲しくなっちゃいますね。お客さんが来た時のこととか考えると数も必要だし。

さとう

そうだね、数を揃えても普段使うのが2脚ずつならば、残りは、買った時のBOXをとっておいて使う時だけ出すようにすると場所を取らないですよ。なので箱は捨てない。

オーナー

あとグラスは飲んだ後、ちゃんとキレイにしておくといつも気持ちよく飲めますよ。スポンジもできれば、ワイングラス専用にしてなるべくグラスに油がつかないようにしていますし、水分が乾かないうちにふき取っておくと、光にあててみた時に水滴の跡が無く、美しく見えます。グラス磨き専用のクロスがあるのでそういうのを使うと簡単にキレイになります。メガメふきクロスの大きいものです。

さとう

あと繊細なグラスも素晴らしいけど、普段使いするならば、最近は、割れにくいように強化ガラスでできたものや、強化コーティングしてあるグラス、ステムレスと言って、ステム(脚)の無いボウルだけのものでも十分よいものがあるので、そのあたりも意識して調べるとよいね。

やない

本当にありがとうございました。10年分の経験をしたみたいです。

オーナー

ところで、このあとは何か飲まれますか?

さとう

いや、今日はさすがにもう十分、少しずつ飲んでいたらいつのまにかたくさん飲んでた(笑)

ワインバーで聞く、ワインライフのちょいワザ集。

佐藤 なおきさん

学生時代にワインに目覚めてひたすら趣味としてワインを飲み続けるワインラバー。ワインはテーブルに話題を運び、会話を弾ませる存在として味そのものだけなくワインにまつわる様々な要素に関心を持っている。著名ソムリエやワインラバーとの親交も多く、世界のワインの潮流を意識している。ソムリエとかとは違った飲み手の視点、ホームパーティや仲間での集まりでのおもてなしの視点、ストーリー発想からのワイン選びが得意。

ホームパーティやワイン持ち寄り会などでのワイン選択で困ったときのワインチョイスの仕方などについて、ワインラバーの立場からワイン専門誌でも連載中。ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会 オフィシエサーブルドール騎士団 オフィシエコマンドリー・ド・ボルドー コマンドゥール

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)