新生活をスッキリと!
スピード重視のクローゼット整理術

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整理収納悩み

【1】逆算した計画がキモ!日程の決め方、整理の進め方

「短時間で心に負担なくクローゼットの整理を終わらせたい」というわがままなお願いを、時短整理術を得意とする瀧本真奈美さんに聞くと、「まずは日程を決めること、その日程の決め方こそが重要です」と、段取りが時短の重要なポイントだと教えてくれました。

 おすすめの“決行日”は、ゴミ収集日の前日、もしくはリサイクルに持って行ける付近の日程。大量に出た不要な衣類が目に入ったまま生活しなくてもすむという理由と、日が空いてしまうとまたそこから引っ張り出してしまうことがあるので、それを防ぐ意味があるそう。

 日にちが決まったら次に、その日にどのくらい時間をかけられるのかを考えます。

「時間に余裕を持たせないと終わらなかったときに、『私は片付けられないんだ』というネガティブな気持ちが残ってしまい、次に進まなくなってしまう方が多いです。
 無理はせずに、『ケース何個分やろう』『クローゼットの半分だけやろう』というように、時間とスペースの設定をしましょう。日や時間を決めて実行すると爽快感がありますよ」

 その際に、不要なもの、リサイクルに出すもの、寄付に出すものごとに箱や袋を用意。その置き場所も確保してから片付けを進めていきます。

【2】ハンガー・フックの間隔はおよそ2cmが目安。
“ランキング形式”の時短思考法

ハンガーの間隔を2cm以上に設定した瀧本さんのクローゼット(写真提供:瀧本真奈美さん)

「クローゼットの中身をすべて出して空にして、出したものを一つひとつ手に取って向き合い必要なものを選ぶ」といった一般的な“整理収納のセオリー”がありますが、時短整理を考えたときに一番時間がかかるのが、この「選ぶ」という行為。

「“必要なものを選ぶ”ことが苦手な方には、『よく着る服、着たい服からクローゼットに戻しましょう』とお伝えしています。そうすると自ずと『実は手に取ることがない、必要ではない服』が残ります。
 逆に、好きなものを瞬時に判断できない人には、『絶対着ないランキング』を選んで、その順に手放していくのもおすすめです」

 そうやって減らした服を戻すクローゼットは、吊るすハンガーやフックの間隔を「最低でも2cm」空けておくことが、長年の経験で編み出した“瀧本流ポイント”だそう。

「およそ2cmというのは、洗濯して戻すときにちょっと手を添えて入るくらいの間隔です。これ以上ぎゅうぎゅうになると出し入れがしにくくなり、おそらく将来的に溢れてきます。収納ケースや引き出しの収納もそうですが、出しにくくなるということはすでに収納スペースに見合った量を超えているということになります」

 およそ2cmの間隔は、収納スペースの適量を知るセンサー的な役割も果たします。間隔=余白の重要性についても、「収納スペースがあると限りなく活用したくなってしまいますが、心のゆとりにもつながるので余白はとても大事です」と、きれいな状態を保つことは服の探しやすさにもつながり、結果として出がけの時短になると教えてくれました。

「ただ、家族が多い場合は難しいと思うので、オンシーズンの本当によく着る服だけ吊るしたり、すぐ着ない服は外しておいたりしてもいいと思います。
 あとは、可能なら色別に吊るすと、それだけで見栄えが良くてきれいでおすすめです。パッと見て偏りすぎた色が出てくると、その色を今季は買わないでおこうとか、ちょっと減ってきた色があったら足してみようかなといった指標にもなります」

【3】最強の時短整理術!一気に片付ける方法とは?

「ハンガーから外すのさえ面倒」といった人には、服がかかっている状態のクローゼットから始める、“一気に片付ける”テクニックを教えてくれました。

「まずは、ハンガーにかかった状態のまま、好きな服・無意識にいつも手に取っている服だけを取り出します。クローゼットに残った服は畳んでしまうものと、家から出すものに分けましょう。そして空になったクローゼットに好きな服をランキング順にハンガーのまま戻していき、入りきらない服は先ほどと同様にします。これが一番早い方法だと思います」

 悩む時間を減らすことこそが最大の時短になるとはいえ、どうしても手放すことを悩んでしまうクライアントを側で見てきた瀧本さんは、「自分にとって大事かどうか分かっていないから減らせない、という方が多いですね」と実感を込めて語ります。

 そういう人には「着ていて気分がいい服、顔映りのいい服、人に褒められた服」などで絞っていくと決めやすくなるとアドバイスをしているとのこと。

 また、瀧本さんは着る季節を問わない“合服(あいふく)”を所持することもおすすめしています。「お気に入りの合服を持っておくと、クローゼットにかけっぱなしでいいし、衣替えで畳んで仕舞う手間もなくてすみます。そういう服を増やしておくと楽ですよ」

 放っておけばおくほどものが増えて大変になるクローゼットの整理ですが、計画を立てて片付けてすっきりとした状態を保つことは日々の時短にもつながり、生活や思考にも余裕を生みだすことに。

「ものも服も、数があればあるほど管理の労力が伴います。年齢を重ねるごとに体力は落ちていくのに、ものは増えていくといった悩みも多く見られます。
 年を取ると体の痛いところも出てきて、力もなくなりますし、下にあるものや上にあるものが取りにくくなるし、そもそも疲れて片付けどころじゃなくなることも(笑)。ご自分に合ったやりやすい方法でクローゼットのバランスを見直してもらえたらと思います」

 時短なだけではなく、心と体に負担のない方法でクローゼットの整理をして、春の新生活をすっきり気持ちよく迎えてみてはいかがでしょうか。

≪お話を伺った方≫

瀧本真奈美さん(整理収納コンサルタント・暮らしコーディネーター)

「暮らしが変われば 未来が変わる」をテーマに収納や時短家事、心地よさにつながるインテリアや部屋づくりを提案している。テレビ、雑誌などのメディア出演多数。著書に『あなたを苦しめるものは、手放していい』(主婦の友社)、『自分に心地よい小さな暮らしごと』(主婦の友社)、『部屋をオシャレに、心地よく インテリア&収納10のルール』(マイナビ出版)などがある。株式会社クラシングR代表取締役。

文◎藤本あき
画像◎Shutterstock

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