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2025年問題とは?

皆さんは「2025年問題」をご存知でしょうか。

2020年の東京オリンピックから5年後の2025年にはいったい何が起こるのでしょうか。簡単にお伝えすると、団塊の世代※が後期高齢者(75歳以上)に達することで、介護や医療費等の社会保障費の急増が懸念されるという問題です。

※団塊の世代とは 第二次大戦直後数年間のベビーブーム時に生まれた世代。普通、1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)にかけての生まれをいう。(出典 三省堂/大辞林) 
 

どういうことか人口推移で見てみましょう。図1は世代別に見た高齢者人口の推移です。2015年に「ベビーブーム世代」いわゆる団塊の世代が前期高齢者(65~74歳)に達します。その10年後の2025年、高齢者人口は、約3,500万人(人口比約30%)に達すると推計されています。

高齢者は増える一方、日本の総人口は右肩下がりとなっていくのです。つまり働き手である生産年齢人口(15~64歳)が減ってくるのです。今後、急速な高齢化が進み「1人の若者が1人の高齢者を支える」という厳しい社会が予想されています。

では実際にどういった事を考えていけばいいのでしょうか。家の中での注意するべき場所から介護サービスの種類、状況に合わせたリフォームのあり方を見てみましょう。

家の中の事故

いつまでも健康で、元気に暮らしていきたいと思うのですが、高齢になるにつれて視力の低下や筋力の衰えなどにより「家の中の事故」が増えてきます。実は交通事故よりも、この家の中での事故が多いのです。家の中と聞くと「浴室?」と思われるかもしれませんが、実際は「リビング」での事故が一番多く発生しています。

事故発生場所

1位:居室

2位:階段

3位:台所・食堂

(参考:独立行政法人国民生活センター医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故~高齢者編http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130328_3.pdf) 

 

高齢者のかたは浴室など滑る場所や玄関などの大きな段差には気をつけています。しかし、和室の敷居部分、カーペット、こたつのコードなど少しの段差が危険なのです。

高齢になるにつれて、視力が低下し、筋力は衰えてきます。いつも暮らしている家の中でも、少しの段差が見えず、足が思うように上がっていないことで転倒してしまうのです。介護施設の職員さん曰く、昔の家(段差のある家)は高齢者にとってはアスレチックパークのような状態で、気をつけなくてはいけないそうです。

近年では部屋と部屋の段差をなくしたバリアフリー、廊下や階段の手すりなどが新築当初から設置されている家屋が増えてきました。高齢化の進む日本では、家庭内での事故を防ぐために家の中の段差などに注意しておきたいものです。

在宅介護とは

介護には大きく分けて「在宅介護」と「施設介護」とがあります。

在宅介護は自宅に暮らしながらデイサービスや訪問介護などを受けるものになります。施設介護は介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの施設に入居して介護サービスを受けるものです。長く暮らした家、慣れている家にずっといたいという思いから、はじめは在宅介護を受けるかたも多いのですが在宅介護は家族の負担も多い為、介護レベルによって在宅介護から施設介護へと変えられているかたも増えています。

施設介護は専門の医師や介護士さんがいる為、安心して生活できるのですが、反面、費用もかかり 経済的な負担があります。また、今後の急速な高齢化により、施設が足りない、介護士さんが足りないといった問題も大きいのです。 国は在宅介護を推奨していますが、出来るだけ家族の負担が軽減できるよう事前に情報収集などをしておくと良いでしょう。お住まいの地域で利用できるサービスや施設を調べておくのも1つです。

介護サービス例

1)訪問介護サービス

自宅へ訪問し洗濯や食事の準備など家事のサポート、入浴の介助などをしてくれるサービス

2)通所介護サービス(デイサービス)

デイサービスセンターに通い、様々なレクリエーションを受けたり、食事や入浴の援助を受けられたりするサービス

介護状態になると、中々家から出られない、出たくないというかたもいる為、はじめは訪問介護サービスから受けられるかたが多いのです。デイサービスは家族以外の人と交流することができ、一度行くと楽しいと感じられ、定期的にデイサービスを受けるかたも増えています。訪問介護サービスや通所介護サービスをうまく取り入れて、介護を受けるご本人が快適に過ごすことができ、また、介護をする家族の負担が軽減できればと思います。

在宅介護・ケアに備えた家のリフォーム

在宅介護や病気やケガなどになってしまった家族のケアに備えた家のリフォームはとても重要です。 介護を受ける人だけでなく、介護をする人「介護者」にも配慮したリフォームでなければいけません。例えば車いすや歩行器でも移動しやすい玄関や廊下、トイレなどは介護を受ける人にとっては自立支援(できるだけ自分で行う)にもつながりますし、介護者にとっては掃除や介助がしやすいなどのメリットがあります。

介護保険支給対象となる介護リフォーム(住宅改修)もありますのでチェックしておきましょう!

介護保険支給対象となる介護リフォーム(住宅改修)

・手すりの取り付け

・床の段差解消

・滑りの防止、移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更

・引き戸などへの扉の取替え

・洋式便器などへの便器の取替え

注:条件や適用外となるケースがあります。住宅改修をする際は、担当のケアマネジャーさんに相談して下さいみてください。 

これから急速な高齢化が進みます。ご家族が安心して暮らせる家、介護が必要になっても対応できる家にしておくための事前の情報収集やリフォームは、ご家族皆さんの安心へとつながるでしょう。

 

------教えてくれたのはこの方------

藤井亜也さん

株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長。教育カウンセラー、派遣コーディネーター、秘書等、様々な職種を経験した後、マネーセンスを磨きたいと思い、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。「お金の不安を解決するサポートがしたい」、「夢の実現を応援したい」という想いからCOCO PLANを設立。独立系FPとして個別相談、マネーセミナー、執筆業など幅広く活動中。著書:今からはじめる 理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方 (女性FPが作ったやさしい教科書) 

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)