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あの熱狂を再び! スピーディでエキサイティングな7人制ラグビー

リオオリンピックで正式種目に追加された7人制ラグビー。同大会で日本チームは強豪ニュージーランドやフランス相手に歴史的な勝利を収め、日本を大いに沸かせてくれました。

とはいえ、観戦した方のなかには「おもしろかったけど、ルールを知らないので楽しみ方がいまいちわからなかった」という方もいるのではないでしょうか。7人制ラグビーは、東京大会ではメダルも期待できる競技です。感動の瞬間をより深く味わうためにも、ぜひ楽しみ方を知っておきましょう。リオオリンピックで男子日本代表チームのヘッドコーチを務めた瀬川智広氏(現:東芝ブレイブルーパス監督)に、その魅力や見どころをお聞きしたので、瀬川氏のコメントとともに紹介します。

7人制ラグビーは、財政難から生まれた!?

ラグビー校には誕生のきっかけとなった少年の像が立っている

15人制ラグビーの誕生については有名なエピソードがありますが、7人制ラグビーはあまり知られておらず、あるクラブチームの財政難から生まれたといわれています。15人制ラグビーの起源は1823年。イングランド・ラグビー校でフットボールの試合中、ある少年がルール違反をして、ボールを抱えたまま相手ゴール目指して走り出したことが始まりといわれています。その後、各地に広まっていくなかでルールが整備され、現在の形に近づいていったそうです。一方、7人制ラグビー発祥の地はスコットランドのメルローズ。

この町で1880年代、財政難に陥っていたクラブチームを救おうと、資金調達のために15人制よりも実施しやすい7人で行うラグビーが考案されました。町をあげてのスポーツイベントに組み込んだところ、大成功を収めたそうです。

15人制よりわかりやすく、スピードあふれるプレースタイルが、多くの人に受け入れられやすかったのでしょうか。やがて、人気は世界に広がり、50年後には日本でも初めての7人制ラグビーの大会が開催されています。

7人制ラグビーは単純明快な「鬼ごっこ」

7人制ラグビーの基本的なルールは15人制と同じですが、人数と時間が大きく異なり、それが特有のプレースタイルを作り上げています。人数は1チーム7人。15人制ラグビーと同じフィールドを7人で戦うため、1人あたりのスペースはかなり広がります。その分、スピーディにボールが動き、ラグビー独特の「わかりにくさ」につながるコンタクトプレーも少なくなります。

瀬川氏はそんな7人制ラグビーのことを「鬼ごっこ」と表現します。

「激しいぶつかり合いを制することが勝利につながる15人制に対して、7人制は広いスペースを利用していかに相手につかまることなくボールを運ぶことができるかがカギになります。15人制が肉弾戦なら、7人制は鬼ごっこといえるでしょう」

シンプルでわかりやすいプレースタイルが7人制の魅力のひとつです。 そして、試合時間は7分ハーフの計14分間。15人制の40分ハーフに対して、かなりコンパクトですよね。7人制ラグビーは「番狂わせが多い」といわれますが、瀬川氏はその理由に、試合時間の短さをあげています。

「試合時間が短いにも関わらず、1試合で両チーム合わせて5~6個のトライが生まれています。15人制の80分間に換算すると、1試合で30個以上のトライが生まれていることに。スペースが広いので防御する側は難しくなり、攻撃側がトライをとるチャンスが圧倒的に多くなるのです。ですから、攻撃の機会を多く得られる試合展開に持ち込めれば、実力で劣るチームでも強豪国に勝つチャンスが生まれます」

そのため、試合展開はいつもスリリング。攻守がめまぐるしく変わり、最後のワンプレー、ツープレーで勝敗が入れ替わるケースも度々あり、観る者を飽きさせません。トライシーンが多いということもあり、あまりラグビーを知らなくても盛り上がれます。

スキルの高い選手による個人技は、爽快感たっぷり!

7人制ラグビーのもうひとつの魅力は、選手たちの華麗な個人技です。試合展開が速い分、7人制の選手 たちには15人制よりも高いフィットネス、スピード、パワーが求められます。

その結果、身体能力に優れた選手が集まることになり、超人的なプレーも続出。自陣で相手ボールをインターセプト、そこから一気に相手ゴールまで走り抜ける……そんな胸のすくトライが観られることもあります。選手にとっての醍醐味も、ラグビーの原点である「ボールを持って走ること」だと瀬川氏は話します。

「7人制ラグビーの多くの選手が、スピードや鋭いステップを駆使して相手を抜き去ることを得意としています。広いスペースがあるので、ボールを持った選手が一気に外へ加速したり、急に止まって方向転換をしたり、キックを蹴って自ら追いかけたりと、グラウンドを自由に走り回り、トライを奪ったときは爽快です」(瀬川氏)

観る側もスカッと爽快な気分になること間違いなし。この爽快感、一度味わうと必ずハマると思いますよ。

世界の強豪や、女子「サクラセブンズ」にも注目!

7人制ラグビーの国際大会は、国ごとのスタイルの違いを楽しめる、またとない機会です。東京オリンピックで はその楽しさも感じてもらいたいところ。最後に、注目国や見どころを瀬川氏に紹介してもらいます。筆頭にあげられたのは、リオオリンピックで金メダルに輝いた7人制の強豪国フィジーでした。

「彼らの変幻自在のパスワークや、緩急をつけたランニングは「フィジアンマジック」と呼ばれています。高い身体能力を利用して繰り出されるスーパープレーは、いつも観客を魅了しスタジアムを沸かせてくれます。また、15人制での世界ランキングでは下位にあるケニアやアメリカなども、スピードスターがそろい、メダルを争える位置につけています。15人制とは違った勢力が、ニュージーランド、南アフリカ、イングランドといったラグビー強豪国と対等に戦う姿を観られることも、7人制ラグビーの魅力ですね」(瀬川氏)

話題のほとんどは男子チームですが、女子チームも存在します。

女子日本代表チームも東京大会に向けて強化が進み、現在はアジアで1番のチーム。世界の強豪国相手にも対等に戦える力をつけています。もちろん日本男子代表チームも、その攻撃が世界トップチームに通用することはリオオリンピックで証明済み。次は自国開催ということもあり、男女そろってメダル獲得、なんて可能性もあり得ます。

2020年東京オリンピック、7人制ラグビーは再び、日本を熱狂の渦に巻き込んでくれるでしょうか。大いに期待しましょう!

------教えてくれたのはこの方-----

上妻 靖子(コウヅマ ヤスコ)さん

ラグビー好きのフリーライター。
テレビ番組情報紙の編集や広告制作会社コピーライターを経て、フリーランスに。ラグビーの聖地・花園ラグビー場がある東大阪出身で、中学時代にラグビー部の練習を見て「何だ、この不思議なスポーツは」と興味を持つ。高校生のとき花園ラグビー場で高校ラグビーの試合を観戦し、その爽快感に魅せられラグビーの虜に。そのうち花園だけでは満足できず、イギリスやNZまでW杯やスーパーラグビーを観に訪れたことも。好きなポジションはナンバー8。 
 

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