鈴木:来客が使うかもしれない、ある種の客間でもあるのだから、油断は禁物。
藤山:たしかに。
鈴木:そういえばさ。
藤山:はい。
鈴木:いまは男でも座って小便をする人が増えているというじゃない。
藤山:なんですかいきなり。
鈴木:2割くらい?
藤山:さあ、もっと増えているんじゃないですか。
鈴木:そういう統計ってあるのかな?
藤山:それこそ、リクシルさんがお持ちなんじゃないですか。
鈴木:じゃあ今度うかがってみたいね、トイレにまつわる最新統計。
藤山:それは面白そう。逆に鈴木さんのほうから、何か提案はないんですか?こういうトイレをつくったら売れるのではないか、みたいな。
鈴木:私ごときがリクシルさんに言えるようなことは何もございません(笑)。
藤山:一つくらいあるでしょ。
鈴木:いや、私が気づいていることなんて、もう何年も前に先方は気づいているよ。
藤山:そうですか。
鈴木:あ。
藤山:ありました?
鈴木:一つあるとすれば、きょうの話じゃないけど、トイレの事例写真に「狭いトイレの場合」も掲載してもらえると助かるね。
藤山:広くてきれいなトイレばかりではなく?
鈴木:そう。トイレの写真が、広くてきれいなものになるのは仕方ないと思うけど、現実にはもっと狭いトイレが世の中の大半じゃない?そんな狭いトイレでも、「こうすればもっと気分が上がるトイレになりますよ」みたいな提案をしてもらえると、設計者としては面白いし参考になる。あ、あと……。
藤山:まだありますか。
鈴木:ユニットバスはあるけど、ユニットトイレがないのはなぜなんだろう。
藤山:建築現場に置くような簡易トイレではなくて?
鈴木:そう。トイレを空間丸ごと売るみたいなユニットトイレ。1坪のユニットに飾り棚やら手洗い器やら、気分アップの要素が何から何までセットで収まっているの。
藤山:これさえはめ込んでおけば、ちょっとセンスが微妙な工務店の自社設計でも、お客さんが大満足するみたいなトイレという意味ですね。
鈴木:天井がドーム状になっていて、間接照明の反射がトイレ全体にやわらかく広がってきれいとか、そういうの。在来工法の工事では難しいけどユニットなら簡単にできるじゃない。あ、でも現実的には開口部の設け方とか、いろいろ問題があるかもしれない。うーん、どうなんだろうね?
藤山:いろいろ考えたわりに、リクシルさんにうかがったら、ユニットトイレがない理由をあっさり告げられそうで怖いです。
鈴木:だから、私ごときが……って言ったでしょ。おそらくちゃんとした理由があるはずだよ。