藤山:なるほど。同じ作業もその場でやるのと、外の物干し竿のところまで行ってやるのとでは、気持ちも手間も変わるような気がするかもしれません。やっていること自体はそんなに変わらないのでしょうが。
鈴木:ずいぶん前に、あるお客さんからそういう要望を出されたのがきっかけ。なるほどぉと思って次のお客さんにその話をしたら、「それはいいわね」となった。で、次のお客さんにも、その次のお客さんにも……って感じで定番化した。人によってはハンガーを吊るすだけじゃなく、家族の人数分、そこにバスタオルを干している家もある。
藤山:いま、洗濯機と聞いてふと思ったのですが、ここ最近はドラム式の洗濯機が急に増えたじゃないですか。個人的にはドラム式の何がいいのかよく分からないのですが、鈴木さんのお客さんは何割くらいがドラム式を使われています?
鈴木:半々くらいかな……ドラム式と縦型で。ただ最近は、ドラム式から縦型に買い換える人が増えている。一時期ドラム式が多かったんだけど、最近また縦型に戻る傾向にあるみたい。
藤山:おお、それは縦型派としてはうれしい。私はドラム式の何がイヤかというと、洗濯物を出し入れするとき、腰をかがめるのが怖いんです。あの格好はギックリ腰を誘発するポテンシャルが高すぎる(笑)。腰が悪い人にとっては悪魔の姿勢です。
鈴木:それは一理あるね。ちなみに、設計上のメリットをいえば、ドラム式は「上が使える」というのが大きい。洗濯機の上に棚がつくれる。あと、イメージがよさげ。外国映画みたいで。
藤山:たしかに、上が使えるというのは大きいかもしれません。特に洗濯機をキッチンに納めたければ、ドラム式でなければ納まらないでしょうし。
鈴木:間違いなくそうだね。でも減ったよ、ドラム式は。逆に、ちょっと増えているのが2槽式。
藤山:えっ、新たに2槽式を買う人がいるんですか?
鈴木:いるいる。割合からすれば少ないけど、根強いファンに支持されている。メーカーも新製品を出しているしね。
藤山:それは知らなかった。2槽式のメリットって何です?
鈴木:ある意味、使い勝手がよいこと。全自動は便利なようだけど、なにもかも自動で最後までやってしまうから、細かな融通が利かない。たとえば、形態安定のYシャツを洗濯するとき、脱水までするとシワになりやすいから、いちばんいいのは脱水前に取り出してそのまま干す方法。そのとき、全自動だったらいったん止めてシャツだけ取り出さなければならないけど、2槽式なら洗濯の工程が終わればイヤでも取り出さざるを得ない。
藤山:おお、そこは盲点でした。
鈴木:あと、洗濯機を2度3度と回したいときに、全部終わるまで待たなくていい。
藤山:そうか。先発が脱水に入ったら、すぐに次発の洗濯に入れますもんね。
鈴木:少量の洗濯物でも気兼ねなく回せるというのもいいところかな。
藤山:頼もしいじゃないですか、2槽式って。
(つづく)
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