

藤山:前回は、玄関のあるべき姿について考えましたが、今回はその「洗面・脱衣室バージョン」でいこうかと思います。「理想の洗面・脱衣室」とは、どのようなものでしょうか。
鈴木:最近やたらと増えているのが、室内干しのニーズだね。
藤山:洗面・脱衣室に洗濯物を干したい、と。
鈴木:そう。室内であれば、なにも洗面・脱衣室である必要はないのだろうけど、脱水まで終わった洗濯物を洗濯機から取り出してその場で干せれば、それがいちばんラクだよね。室内干しのスペースをつくるなら、洗面・脱衣室が、結局はいちばん合理的といえる。
藤山:室内干しのニーズが高まっているのは、花粉症の影響もあるのでしょう。
鈴木:それは大きい。あとは共働き家庭のニーズかな。夜、帰宅して洗濯する場合、朝、出かける前に洗濯する場合、どちらも外に干すよりその場で干せるほうが時間的にも断然有利。
藤山:ただ、単なる洗面・脱衣室であれば1坪もあれば十分でしょうが、室内干しスペースを設けるとなれば1坪ではちょっと足りませんよね。
鈴木:まったく足りない。まだ小さな子供がいる家庭は洗濯物の量も多いだろうから、かなり広めのスペースを設けないと満足に干せない。長さ1m程度のパイプを掛けたくらいでは全然ダメ。3mでぎりぎりかなという感じ。理想としては、ピンチハンガーが4つ掛けられるくらいの長さがほしい。
藤山:そうなると、あと1畳分くらいは広くしないと満足な室内干しは出来ませんね。実際、どうされてます?
鈴木:よくやるのは、長さで1間半(2.7m)から3m、幅で60cmくらいのスペースを通常の洗面・脱衣室にプラスするかたち。そこに物干し用のバーを掛けて、その下は収納棚にする。これが、「鈴木式の室内干しスペース付き洗面・脱衣室」。
藤山:お客さんの評判はいかがでしょうか?
鈴木:「とても重宝してます!」って、誰からも喜ばれているよ。
藤山:ということは、新規のお客さんとの打ち合わせで、室内干しを設けた洗面・脱衣室の写真を見せたら、「うちもこうしたい」と言われたりしません?
鈴木:みんな言う(笑)。ただ、敷地が狭くて60cmの余裕すら取れない家では、ちょっと苦労するね。