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藤山:では、リフォームに関する最後のご相談。
ちく○さん
「2階の部屋を減室して、1階のリビングから吹抜け構造にリフォームした場合、耐震設計(構造)の考え方について教えてください。現状は在来工法です」建築の構造に関するご相談です。まずは、一般の人たちにも分かるように、木造住宅における耐震設計の概要をレクチャーしていただけますか?
鈴木:木造住宅の在来工法における耐震性能は、基本的には1階と2階に設けるx方向とy方向の壁の強度と量で決まる。
藤山:壁といっても単なる壁ではなくて、構造的に「効く」壁のことですね。専門用語で「耐力壁」といいます。さっき、みみなさんの相談のなかにも出てきました。
鈴木:極端にいえば、耐力壁があればあるほどその家は地震に強い。ただ、その強さを成立させるためには、床にも強さ(剛性)が求められる。
藤山:剛性の高い床があることで、耐力壁の強さも正常に発揮されるわけですね。
鈴木:吹抜けというのは床がない状態のことだから、耐震上はそこが大きな弱点になる。1階と2階の間に部分的にでも床がなくなれば、力のスムーズな伝達は難しい。特にリフォームで吹抜けをつくる場合は、もとあった床を部分的に抜くわけだから、新築で吹抜けをつくるよりも難しくなる。
藤山:われわれの説明、うまく伝わっていますかね?
鈴木:まあ、いま説明したようなことは素人ではとても調べられないから、各自治体が行っている耐震診断に申し込んで、専門の建築士に相談するのがいちばんだろう。
藤山:結論をいえば、専門家に相談してくださいと。
鈴木:いまは無料相談の窓口も多いから。
藤山:鈴木さんご自身は、こういうリフォームの経験はありますか?
鈴木:吹抜けをつくりたいと要望されたことはあるけど、実際にやったのは2階の屋根架構を見せるようなリフォームくらいで、厳密には吹抜けというより天井板をなくしただけ。1−2階を抜くようなリフォームはやったことがない。なぜかというと、いま説明したとおり、リフォームの段階で吹抜けをつくるのは耐震上のリスクが大きいから。おそらく、リフォームで吹抜けをつくるのが許される唯一の条件は、建物の真ん中に吹抜けを設けるときだけだろう。