藤山:建具屋さんだけではダメなんですね。
鈴木:建具屋さんだけだと建具を入れる「建具枠」がつくれないから、そこは大工さんにやってもらう必要がある。建具は、建具協同組合みたいな団体が各地域にあるから、そこに連絡すれば、一緒にやってくれる大工さんを紹介してくれるかもしれない。
藤山:リフォーム会社に丸投げしないで、自分で職人さんを手配すればずいぶん安くできるわけですね。
鈴木:昔、うちの事務所でも、予算が少ないのでできるだけ自分でやりたいというお客さんがいらっしゃって、そのお手伝いをしたことがあるけど、少しずつ材料を買ってきて自分の手でリフォームするというのは、それはそれで格別の楽しさがある。まあ、面倒といえば面倒なんだけど。
藤山:ただ、みゃ~さんの相談内容を拝見すると、「収納内部の細かい棚などは自分たち夫婦で設置してみたい」とありますから、基本的にはリフォーム会社などにほぼお願いするかたちでしょうね。
鈴木:「間取り自体を大きく変更して暮らしやすくしたい」とも書いてある。だったら設計事務所や工務店、もちろんリフォーム会社でもいいんだけど、いずれかに依頼して一気にリフォームするしかないだろうね。
藤山:ちなみに、築29年のマンションのリフォームは、コストとしてどれくらい見ておけばよいですか?
鈴木:60~70㎡くらいのマンションを丸ごとやり直すスケルトンリフォームでいくなら、1,500万円以上はかかるかな。
藤山:やっぱり、それくらいしますか。
鈴木:現状の下地をうまく使いながら、水廻りやその他の部屋を部分的にリフォームしていくだけなら1,000万円くらい。間取りはそのままで内装だけしか変えないなら500万円くらい。
藤山:みゃーさんは間取りを大きく変えたいということですから、最低でも1,000万円以上は見ておいたほうがよさそうですね。
鈴木:うちの事務所でも、金額の話をするとたいていのお客さんがびっくりされる。「1,500万円もかかるのなら、もう少しがんばれば一軒家が買えるじゃないですか~」って。ただ、戸建ての場合、実際にはさらに1,000万円以上必要になるから、もう少しがんばっても一軒家が難しい。だけど、折込広告などに書いてある建売の価格を見ると2,000万円以下という数字も珍しくないから、なんとなく1,000万円台でまともな戸建てが買えると錯覚してしまうんだね。
藤山:私の感覚だと、一般の人が想定している戸建ての価格って、なぜかほとんどの人が1,000万円くらい安く見積もっているような気がします。3,500万円くらいの住宅をイメージしながら、2,500万円で建てられそうと考えている人が多い。東京の場合ですけど。
鈴木:雑誌に載っている「素敵なリフォーム」の事例を見ても、そこに書いてあるリフォーム費用はだいたいウソだからね。そんなにお金をかけていないように書いてあるけど、実際はもっとかかっていることが多い。純粋な工事費用しか書いていないことも多いし。
藤山:ちょっと話がそれましたが、みゃ~さんのお悩みに対する答えはどうなります?
鈴木:まずリフォームの重心を、住環境の満足度アップに置くのか、ローコストのほうに置くのか、どちらでいくかを事前に決めておいたほうがいいね。
藤山:普通はどちらも両立させたいですけど(笑)。
鈴木:でも、リフォームに関しては両方の良いとこ取りはなかなか難しい。専門の業者としっかり打ち合わせをして一気に工事するか、自分の手を動かしながらじっくり時間をかけてやるか、そのどちらかしかない。
藤山:間を取るとしたら、業者に依頼はするけど、なるべく安い材料を使ってコストを下げるとか。
鈴木:まあ、それも一つの手かな。もし、一気にリフォームするなら仮住まいの費用もかかってくるから、なるべく短時間で工事が終わるよう、事前の入念な打ち合わせが超大事になる。少しずつリフォームする場合は、住みながらのリフォームができるぶん、そういう生活が長期にわたると精神的に苦痛を覚える人もいるから、本当にそれでいいのかしっかり確認しておく必要がある。そのあたりをどう考えるかだね。
藤山:それでも悩んでしまうという場合は、鈴木さんまでご連絡くださいということで(笑)。
(つづく)
会員登録 が必要です