藤山:ポイントは「通路」ですか?
鈴木:そうそう。部屋の広さを浸食する通路をどこに設けるかが、間取りのカギを握る。
藤山:そういえば、みみなさんの相談に、「リビングも20畳あるわりには狭く見えます」「リビングとキッチンまでの空間が無駄のように思える」とありましたが、これも通路が原因ですか?
鈴木:みみなさんのご自宅は、図面に「LDK19.5畳」とあるじゃない?でも、こういうとき気をつけたいのは、「LDK○畳」のうち、必ず4畳半~6畳はキッチンに割かれているということ。そして、リビングやダイニングからキッチンに移動する通路もLDKの面積に含まれているということ。
藤山:「通路」や「廊下」とは書いていないけれど。
鈴木:たいてい書いていない。だから、通路がどれくらいの面積を食っているか自分の目で確かめないといけない。みみなさんのご自宅は、キッチンに4畳半、廊下(通路)に4畳近く使っているから、残りは11畳くらい。となると、リビング・ダイニングは6畳2間もなくて、そう聞くとそんなに広いわけでもないなぁと分かるわけ。
藤山:19.5畳と聞くと広そうですけど。
鈴木:そこに数字のトリックがある。
藤山:「リビングも20畳あるわりには狭く見えます」というのは、ある意味当然なんですね。
鈴木:狭く見えるのではなく、実際に狭い。ジャネットさんのご自宅もそうだけど、細長い形の建物はどうしても動線上不利にならざるを得ない。
藤山:部屋のなかに通路ができてしまう。
鈴木:設計者の感覚だと、一般に住宅というのは1つの場所に最低4.5畳必要という基準で発想していく。調理するのに4.5畳、食べるのに4.5畳、くつろぐのに4.5畳、全部足して13.5畳あればどうにか住める。もう一部屋ほしい場合は、さらに4.5畳足して18畳。9坪だね。これが一つの基準になる。この基準にしたがえば、みみなさんの家もジャネットさんの家も一見大丈夫そうなんだけど、13.5畳がスムーズに機能するのは「田の字プラン」の場合だけ。各部屋を田の字に並べると通路が必要なくなるから、13.5畳でもうまくいく。だけど、細長い敷地では各部屋を直列に並べざるを得ないから、どうしても通路が必要になって部屋が削られる。
藤山:昔から、「間取りは田の字プランがよい」といわれるのはそういう理由からなんですね。
(つづく)
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