

藤山:60代の方が若い人に設計を依頼するって珍しいですね。
鈴木:海外に留学経験もあるイケメン設計者で、それまでの設計事例を見せてもらうと「しゃれた豪邸」みたいな住宅を数多く手掛けていたので、この人がいいかなと思ったんだって。でも、図面が完成していよいよ工事が始まるというタイミングで、「やっぱり変更させてください」と言われると、ちょっとねえ……。
藤山:で、鈴木さんの「診断」は?
鈴木:変更後の図面を見せてもらったんだけど、斜線制限のラインにぶつかったところだけ屋根の形をムリヤリ曲げて、おかしな形になっていた。でも、よくよく調べたら、屋根の形は元のままでも、建物全体の高さを下げれば、それでうまくいくと分かった。むしろそのほうがデザイン的に締まって良くなるし、片流れのきれいな屋根形状が残せるので良いのではないかと。そんなアドバイスをしたの。そしたら、「ほかにもありませんか?」って。
藤山:この際、洗いざらい(笑)。
鈴木:まあ、この際だからと思って細かく見ていくと、テラスの防水の処理が怪しそうとか、ジャグジーの水が漏れたときにチェックできる床下点検口がないとか、サッシの納まりがアクロバティック過ぎてサッシの納まりがアクロバティック過ぎて3年後には雨漏りしていそうとかそんな調子で、気づいたら6時間くらい経ってた。
藤山:一日潰れましたね。