鈴木:そういう相談を受けて思ったけど、なんか違うな~おかしいな~と感じていても、設計者と納得いくまでやり合えない人が、世の中には意外といるのだろうね。
藤山:あるいは、相手の力量不足でまったく話に ならないとか。
鈴木:占い師と同じだね。なんとなく人生がうまくいっていないとか、将来のことが不安とか、どうしてよいか分からないときって、占い師に見てもらいたくなるじゃない。セカンドオピニオンというのは、そういうポジション。
藤山:しかも、占いより信憑性がある。
鈴木:その奥様があまりに喜ばれたので、 この仕事、真剣にやろうかと思ったよ。「あなたの家の間取りを診断します」って看板出したら、けっこうお客さんが来るんじゃないかな?
藤山:それ、同じことを考えている人が山ほどいますよ。昔ちょっと調べたことがあるんですけど、「間取り」「セカンドオピニオン」で検索すると、小規模な設計事務所のサイトが大量に引っかかってきます。
鈴木:あ、すでにあるの。
藤山:だけど、そういうサイトは共通して「普段、仕事に恵まれていません」という残念なオーラが漂っています(笑)。
鈴木:ああ、なんとなく分かるかも。
藤山:あくまでイメージですよ。みなさん真面目にセカンドオピニオンに取り組まれているのでしょうけど、なんとなくそう感じさせる何かがある。
鈴木:セカンドオピニオンをきっかけにデカイ仕事を手繰り寄せてやろうという必死さが透けて見えるのかな。じゃあ、やっぱりうちは看板出さない(笑)。
藤山:ほかには、どういうお客さんが来られました?
鈴木: 二人目は、60代の元気なご夫婦。子育てが終わったので、親の代から受け継いで住んでいる古い家を建て替えて、自分たちが亡くなったら子供たちにその家を受け継ぎたいと。でも、設計を依頼した30代の若い設計者から、「役所に確認申請を出したら斜線制限が引っ掛かったので、急遽設計を変更したい」という連絡があったんだって。それをきっかけに、それまで何となく引っ掛かっていたことが次々と気になり始めて、ほかの設計者の意見もちょっと聞いてみたいと。
(つづく)
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