

藤山:二世帯住宅の打ち合わせって、一般的にはどういう流れですか?
鈴木:最初は子世帯だけか親世帯だけか、どちらかの世帯だけが相談にいらっしゃる。で、互いに感触がよければ、ではご家族全員で顔合わせをしましょうとご自宅にうかがう。そのときは平凡な打ち合わせが進んで……
藤山:平凡な(笑)。
鈴木:ある程度設計が進んで個別の打ち合わせが必要になると、「おじいさん、おばあさんの部屋で早めに決めておきたいことがあるから」って後日あらためてうかがう。するとそこから、ちょびっ、ちょびっと小さな不満が漏れ聞こえ始める。
藤山:どういう不満ですか?
鈴木:いちばん多いのは、「自分たちの部屋の広さについて」かな。子供にはずっと遠慮していたんだけど、本当はもう少し広くしたいって。
藤山:へぇー。 逆に子世帯からは、後出しの不満は出ませんか?
鈴木:不満ではないけど、親の介護の心配を小声でされるよね。親のどちらかが亡くなったあと、残されたほうをどうするかとか。そういうとき、奥様はずっと黙っていらっしゃる。
藤山: 二世帯住宅に限らず、子供としては当然心配になりますよ。
鈴木:それが二世帯住宅の場合、完全分離型で在宅介護することになったら、いったん外に出てから親世帯の部屋に入り直さなければならないから面倒なんだよ。なので、事前に子世帯から親世帯の建物に通り抜けられる間取りにしておいたほうがよいのではないかとか、親が亡くなって空いてしまった部屋はその後どう活用するのがよいかとか、そんなことが気になりだす。
藤山:たしかに。