藤山:なるほど。
鈴木:親世帯は夜早く寝るけど、子世帯は遅くまでテレビを見たりしているじゃない? 小さな子供たちが夜中にドタドタ走り回っている音やその振動は、あまり口には出さないけど、下の階に住んでいる親世帯にはストレスなんだよ。二世帯住宅で気づきにくい問題はそこだね。
藤山:では、親世帯を2階に住まわせる場合、足腰問題はどう解決します?
鈴木:階段の昇降に不安があるなら、エレベーターでも昇降機でもつければいい。面白いのは、これが2階建てではなく3階建てになると、何の迷いもなく親世帯は3階で決まり、となるところだね。
藤山:エレベーターがつくから?
鈴木:そう。親のほうから堂々と「私らは3階がいい」って主張される。3階建てなら、スパッと3階。2階建てなら、悩んで1階。「1階は違うんだけどな~」っていつも歯がゆい思いをする。
藤山:実際、子世帯が2階部分で暮らす家は、その後、危惧したとおり問題が生じていますか?
鈴木:やっぱり、上の音が響くという話はよく聞かされる。そうなると、若夫婦のほうも気を使って、「静かに歩きなさい!」と子供たちを叱ってしまう。すると今度は、子供のほうにストレスが溜まる。絵に描いたような悪循環。どちらにもよくないわけ、2階を子世帯にするパターンは。
藤山:ただ、音って気にならない人はまったく気にならないっていいますよね。とてもセンシティブな問題です。
鈴木:そこも性格の影響するところが大きい。細かいことは気にならないという人なら、どちらを親世帯にしても関係ない。やはり二世帯住宅の成否って、住む人の性格に影響される部分が大きいよ。
藤山:いまみたいな問題点を指摘されると、さすがにお客さんは2階を親世帯にされるでしょ?
鈴木:それが、そこまで言っているのに、「いや~、やっぱり~、親は1階で」って。
藤山:あれっ? そうなんですか。
鈴木:「地震のとき避難しやすいので~」とか、そのあたりを心配されて、最終的に親世帯が1階になることがほとんど。ほかのことでは意見が割れても、この問題については親世帯も同意される。「地面に接していたほうがいい」って。
藤山:地面に接していないと、そんなに不安ですかね?
鈴木:それを言い出したら、マンションには住めないんだけどね。
(つづく)
会員登録 が必要です