鈴木:でも、写真には写るじゃない(笑)。ビジュアルに残ることを考えると、設計者としては二の足を踏んでしまう。「あっ、この人、ヘンなデザインの吸音板張っちゃってる」って思われたくない。
藤山:その価値観、よく分からないなぁ。
鈴木:いわゆる、“建築界のゆがんだ価値観”ってやつ。
藤山:ところで、鈴木さんは建築界でも有数のギターコレクターとして有名ですが、家でもギターは弾かれるんですか?
鈴木:家でも弾きます。
藤山:ご近所迷惑になっていません?
鈴木:鉄筋コンクリートのマンションだから、大丈夫じゃないかなぁ。もしかしたら、多少音が漏れているのかもしれないけど(笑)。
藤山:防音の工夫は、何かされているのでしょうか?
鈴木:してます。まず、壁面に鉛のシートを張って、その上に吸音材を入れる。さらにその上にゴム製の吸音シートを張って、最終的に有孔ベニヤで仕上げるという仕様。
藤山:かなり本格的。自作ですか?
鈴木:自作。その部屋ではパンッと手を叩いてもまったく反響しません。
藤山:その手の防音室って、私が住んでいるような木造のアパートでも製作可能ですか?
鈴木:できるんじゃない?あ、でも、もし自分でやるなら、卵のパックがあるじゃない?あれにグラスウールをつめて天井に張り巡らせれば、超強力な吸音材になるよ。
藤山:それ、「オーディオマニアのお宅拝見」みたいな記事で見たことがあります。卵パックが天井に張り付いている部屋。ちょっと異様な雰囲気でしたが……。
鈴木:でも、あれは本当に効く。吸音の仕組みとしては無響音室とまったく同じだから。
(つづく)
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