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鈴木:これも実際に設計した家だけど、壁と天井に真っ白い漆喰を塗って、床は深みのあるチークのフローリング張り、そこに間接照明でボワッと明かりを灯す。見た目にはしっとりと落ち着いた、大人の空間って感じがするじゃない?でも、いざその部屋に入ると音の反響で、ガチャガチャと小うるさい空間だとすぐに分かった。じつを言うと、この手の失敗は私も何度か経験している。空間のビジュアルに凝り始めると、そっちにばかり気をとられて、つい音のことがスコーンと抜けてしまうの。たいてい、完成してからハッとするわけ。「あっ、音のこと忘れてた」って。
藤山:そういうとき、鈴木さんは素直に「白状」するわけですか?
鈴木:白状しません(笑)。というのも、音についてお客さんからクレームを寄せられることはまずないから。プロの耳で聞いて、「ちょっと反響しているかな」と勝手に気がついているだけで……。
藤山:お客さんはその家の音しか知らないのだから、比較のしようもありませんしね。
鈴木:ただし、反響がちょっと気になる家は、音を吸収してくれる布製品――さっき話に出たラグやカーテンを意識的に持ち込んで、少しでも反響を抑えてもらうようにアドバイスはしておきます。
藤山:前回のテーマだった「光と風」もそうですが、音も目に見えない世界だけに、プロの知識と技術で万全を期してあげないといけませんね。