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藤山:昔、鈴木さんにうかがったお話で、どこで話してもウケる話があるんです。
鈴木:何の話?
藤山:鉄筋コンクリート打放しの家を新築されたご夫婦の話です。その家の中で話しをしていると、自分たちの声がコンクリートに反響してイライラする。最初のうちは我慢していたけれど、そのうちだんだん嫌気が差して、しまいには家の中で話すのをやめてしまったという哀しい話。
鈴木:あった、あった。夫婦の会話がなくなった家。コンクリート打放しの家は、ホント、音がうるさいんだよ。
藤山:というわけで、きょうは音の話です。ご存じない読者もいらっしゃると思いますので、まずは音の基本的な性質について、簡単にレクチャーをお願いできますか。
鈴木:ものすごく簡単に言えば、音というのは硬いものにぶつかると強く反射して、柔らかいものにぶつかると弱く反射する、あるいはそのまま吸収される。ちょうどビリヤードの球と同じで、音という「球」が硬いものにぶつかれば、そのエネルギーが消えるまで、音はいつまでも跳ね返り続ける。
藤山:たとえば、コンクリートは非常に硬い物質ですから、そこに音がぶつかると跳ね返りも当然大きくなるわけですね。
鈴木:あっちの壁で跳ね返った音が、こっちの壁で跳ね返って、またこっちの壁でも……というように続いていき、それが人間の耳にうるさいと感じられる。