

藤山:鈴木さんのお客さんは、階段をリビング内に設置したいという方が多いですか?
鈴木:特に多いというわけではないけど、よくあるリクエストの一つではある。
藤山:子供がリビングを通過して2階の子供部屋に行くようにしたいという理由で?
鈴木:たいていそうだね。玄関から子供部屋に直接上がるのを嫌がる親御さんは多い。男のお子さんがいらっしゃる家庭は、わりとそうしたがる傾向にあるかもしれない。
藤山:男女で違いがあるんですか?
鈴木:何年か前に設計したお宅は、女の子2人、男の子1人の5人家族だったけど、お母さんのほうから、「息子の部屋はキッチンの隣にしてほしい」と要望された。2階の奥のほうに部屋をつくると何をしているか分からないから、息子は常に目の届く範囲に置いておきたいって。
藤山:へえー。私がそこの息子なら、すぐに家を出ますね。
鈴木:(笑)。もしかしたら、それがねらいだったのかも。子供をパラサイト化させないための間取り。
藤山:以前、設計者の人たちと議論していて、「子供にとって本当にいい家は、ある程度居心地の悪い家だ」という話になったことがあるんです。居心地が悪いから早く家を出ようとして独立心が芽生える、いうのがその根拠でした。鈴木さんは、ニートとか引きこもりの人がいる家を新築したことってあります?
鈴木:ありますよ。
藤山:そういうときって、何か策を練るものですか?この子の部屋をこのあたりにつくったら、ますます家から出て行かなくなるんじゃないかとか、働かなくなるんじゃないかとか。
鈴木:あのね。それはね、非常に微妙な問題なの。まず親がね、彼のことをニートと呼ばない。
藤山:そりゃそうでしょう。「ご紹介します、うちのニートです」とは言わない(笑)。
鈴木:会話の流れで、「お子さんは何をされているんですか」ってなんとなく聞くと、「就職活動中」って。それで、ははーんと(笑)。ただ、ニートとか引きこもりとかが分かっても、こちらができることはほとんどない。子供部屋の要望って、たいていお母さんが決めてしまうから。お母さん自身が、自分の近くに置くか、どこか別の安全な場所に置くかを決めてしまう。




