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藤山:お客さんのほうから、「吹抜けのある家にしてください」とリクエストされることはありますか?
鈴木:それはあまりないけど、天井を高くしてほしいという人はけっこういらっしゃる。最低でも2,400㎜以上にしたいとか、具体的な数字を言われたりして。
藤山:そういう要望を出されるのは、どういう方ですか?
鈴木:もともと天井の高い家に住んでいたという人が多いかな。海外の生活が長くて、日本の家の天井高がどうにも気に入らないという人。あとは、天井の高い家に対して憧れがある人。
藤山:天井が高いというのは憧れの対象ですか。
鈴木:私たちの親世代にそういう人が多いよ。グレース・ケリーみたいな女優が、大きな回り階段を優雅に降りてくるシーンに憧れを抱いた世代。いまの若い人には分からないかもしれないけど、ある世代にとっては高い天井というのは、いまだにセレブ感の象徴として存在している。
藤山:天井高のリクエストって常にあるものですか?
鈴木:いや。よく言われたのは、住宅の設計を始めてすぐの頃だから、いまから20年くらい前かな。自分としては特に低い天井にした覚えはないんだけど、図面を見せると間髪入れずに「天井は何㎜ですか?」ってよく聞かれた。たとえば「2,200㎜です」と答えると、「えぇー、2,200ぅ!?最低でも2,400㎜はないと困るなぁ」って(笑)。でも、ここ10年くらいは言われなくなったかな。
藤山:やはり、CMの影響でしょうか。
鈴木:ん?そういうCMがあったっけ?
藤山:ご存じないですか、ミサワホームのCM。たしか、「大物は天井の高い家で育つ」みたいなコピーのCMをやっていましたよ。皆さんそれを見て真に受けちゃったんじゃないかと思いますけど。
鈴木:あぁ、そういうことなの。
藤山:だって、当時そのCMを見た私も「へぇーそうなんだ」と真に受けましたもん(笑)。で、わが家の天井を見上げて、「あ、オレは小物にしかならないな」と了解しましたから。